「既存建築物の建替」とは何か。(都市計画法第34条第14号)
「既存建築物の建替」とは、市街化調整区域において、従前より建築物が存在していた場合に、その敷地の範囲内で、同一の用途で同様の規模・構造の建築物を建築することです。新たに建築することができないはずの市街化調整区域で比較的新しい住宅などが多くみられるのは、「既存建築物の建替」の取扱いによって再建築がなされているためです。
■「既存建築物の建替」が認められる場合は次のとおりです。
□(1) 許可を要する場合
市街化を促進するおそれがないことなどが認められれば、開発審査会の議を経て、許可される場合があります。この場合の手続きは開発許可又は建築許可になります。
□(2) 許可を要しない場合
建替後の床面積の合計が従前の建築物の床面積の合計の1.5倍以下であるものについては、構造及び用途が従前とほぼ同一であり、必要な条件を満たせば、許可を要しない「改築」として取扱うことができます。この場合の手続きは「開発行為等適合証明申請書(通称:不要証明、六十条証明書)」によって行うことになります。
■上記の許可を要しない場合(2)においては、従前の建築主及び一般承継人(相続人等)の方のみに対して認められる場合(属人性あり)と第三者の方でも認められる場合(属人性なし)があります。
□(2-1) 従前の建築主及び一般承継人(相続人等)のみに対して認められる場合(属人性あり)
線引きの日より後に許可等を受けて建築された建築物(農家住宅、分家住宅等)の建替は、原則として第三者に対しては認められません。ただし、やむを得ない事情がある方は下記の【お問合せ先】でご相談ください。
□(2-2) 第三者の方でも認められる場合(属人性なし)
線引きの日以前から線引きの日をまたいで存在していた既存建築物や既存宅地の確認を受けて既存宅地制度が廃止される前に適正に建築された既存建築物の建替は第三者の方でも行うことができます。
既存建築物が存在していたことの証明は、登記事項証明書、閉鎖登記簿謄本、航空写真(撮影記録証明付き)等の公的文書によって行っていただくことになります。航空写真のみでは多くの場合建築物の用途が不明で、根拠資料としては不十分ですが、ほかの資料(住民票、戸籍等)を組合わせて判断できる場合があります。
なお、基準時(線引きの日又は既存宅地制度の廃止日)以前に建築工事(杭打ち工事、基礎工事等)に着工したことが確認できる場合も、建築物が既に存在していたものとみなします。
<<参考>>
※既存建築物の増築についても同様の取扱いがあります。詳細は「福岡市開発審査会附議基準」第1-8号(リンク先の「開発許可申請等の手引き【開発指導ホームページ】」に掲載)をご覧ください。
※以上の取扱いについては、ここで説明した以外にも様々な条件がありますので、具体的な内容については、下の【お問合せ先】でお尋ねください。
【くわしい解説(関係者向け)】
以下に、法令や関係基準等をあげておきます。
●都市計画法第34条第14号←※開発審査会関係。「既存建築物の建替」で許可を要する場合は、この規定に基づく取扱いになります。
●国土交通省「開発許可制度運用指針」I-7-1-(9)←※国土交通省の技術的助言です。「既存建築物の建替」についてくわしく示されています。
●昭和44年(1969年)12月4日建設省計宅開発第117号、建設省都計発第156号「都市計画法による開発許可制度の施行について」二-4-(6)[廃止]←※旧建設省の通達(通称:【施行通達】)です。許可してさしつかえないものとされているもの(イからリまで)の中に「既存建築物の建替」は掲げられていません。
●昭和57年(1982年)7月16日建設省計民発第28号「市街化調整区域における開発許可制度の運用について」記一-(2)-ロ-(ハ)[廃止]←※旧建設省の通達(通称:【局長通達】)です。上記施行通達において列挙されていない事例の一つとして「既存建築物の建替」が掲げられています。
●昭和57年(1982年)7月16日建設省計民発第31号「市街化調整区域における開発許可制度の運用について」記六[廃止]←※旧建設省の通達(通称:【民宅局長通達】)です。上記【局長通達】に関する留意事項が詳しく示されています。この時に「1.5倍以下」の規定も追加されました。福岡市においては、これを受けて、昭和57年9月1日改訂の「福岡市開発審査会審査基準」にこの規定を追加しました。
●「福岡市開発審査会附議基準」第1-8号←※「既存建築物の建替・増築」に関する福岡市の運用基準です。下記のリンク先:開発許可申請等の手引き【開発指導ホームページ】よりご覧ください。
●「福岡市開発審査会附議基準」第1-18-1号←※「相当期間適正に利用された建築物の用途変更」に関する福岡市の運用基準です。上述の「やむを得ない事情」がある場合に、適用される可能性があります。
【お問合せ先】
部署:住宅都市局建築指導部開発・建築調整課
住所:福岡市中央区天神一丁目8番1号(市庁舎4階)
電話番号(1):092-711-4587(東区、博多区、中央区及び南区の担当:開発指導第1係)
電話番号(2):092-711-4588(城南区、早良区及び西区の担当:開発指導第2係)
FAX番号:092-733-5584
電子メール:kaihatsu-kenchiku.HUPB@city.fukuoka.lg.jp
WEB:開発許可申請等の手引き【開発指導ホームページ】(索引附き)
受付時間:月曜~金曜(休庁日除く)午前9時15分~午前12時