福岡市の公共施設の多くは、政令指定都市移行期の行政需要が拡大した昭和40年代から50年代にかけて集中的に整備されており、今後、建替えや大規模な改修等を必要とする施設が増加する見込みです。
そのため、財政負担の軽減・平準化を図りつつ、市民が公共施設を安全・安心に利用できるよう維持し、良質な公共サービスを持続的に提供するため、「福岡市アセットマネジメント基本方針」および「福岡市アセットマネジメント推進プラン」に基づき、全庁的に施設の長寿命化や既存施設の有効活用などに取り組んでいます。
| (アセットマネジメントとは) 公共施設を適切な管理水準に保つとともに、計画的な施設の整備、維持管理、大規模修繕などを実施することにより、施設を長寿命化してコスト縮減を実現する資産管理手法。 |
市としての方向性や取り組むべき内容、推進体制など基本的な枠組みを定めた①「福岡市アセットマネジメント基本方針」を平成20年に策定し、その基本方針に基づくアセットマネジメントの取組みを推進するため、②「福岡市アセットマネジメント推進プラン」を4年毎に策定しています。また、個別の施設については、施設の類型毎に、具体的な対応方針を定めた③「個別施設計画」を策定しています。
なお、福岡市では「福岡市アセットマネジメント基本方針」及び「福岡市アセットマネジメント推進プラン」を合わせて、国の『インフラ長寿命化基本計画』に基づく『公共施設等総合管理計画』に位置付けています。
■ 計画の体系図
市が所有する全ての公共施設(庁舎、市営住宅、学校、道路、公園、港湾、上下水道、地下鉄等)
公共施設は、不具合が出てから修繕する事後保全による管理に比べ、計画保全(計画的な維持管理)により長期間使用することが可能となり、1年当たりのコストを低減できます。福岡市では、市営住宅や学校など、各施設の個別施設計画に基づき、施設の長寿命化を図りつつ、施設の状況に応じ、建替え・改修等の時期を調整して投資を平準化することで、財政負担の軽減を図っています。
■ 長寿命化改修事例(外壁改修工事)
施設の長寿命化や建替え時期の調整などに取り組んだ結果、従来の40~50年で建て替えた場合と比べ、基本方針策定以降の建替棟数を5割以下に低減させるなど、更新経費の上昇を抑えてきました。
■ 従来手法による想定と実際の建替棟数の推移
一定規模以上の施設の建替え・改修等にあたっては、民間ノウハウを活かしたPPP/PFIなど多様な事業手法を活用し、施設整備費の平準化や運営の効率化に取り組んでいます。
| (PPPとは) 公共と民間事業者が連携し、互いの強みを生かすことによって最適な公共サービスの提供を実現し、地域の価値や住民満足度の最大化を図る事業手法。(官民協働事業) (PFIとは) PPPの一形態で、公共施設の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力および技術的能力を活用して行う手法。 設計・建設工事費を後年度に分割して支払うことが可能なため、建設時の市の支払いが突出せず、財政に与える影響を抑えることができる。また、その事業方式によってBTO(Build Transfer Operate)、RO(Rehabilitate Operate)などの分類がある。 |
■ PPP/PFIによる建替え等の事例
施設の建替えや改修等にあたっては、社会経済情勢の変化や市民ニーズの多様化を踏まえ、類似施設の統合や用途が異なる施設の複合化、敷地の有効活用に取り組むことで、機能の充実や効率化、利便性の向上を図っています。
また、設置から長期間経過した施設については、社会経済情勢の変化や市民ニーズの多様化を踏まえて、用途の変更や廃止をすることもあります。
■ 施設の統合・複合化の事例
■ 施設の用途変更・廃止の事例
福岡市の公共施設については、大規模な改修等が必要になる築30年を経過した建築物が全体で6割を超えており、また、道路や上下水道などのインフラ施設についても、建設から30年を経過したものが多く存在しています。
■ 市有建築物の建築年度別延床面積(令和6年3月末時点) 【一般会計及び特別会計の施設】
■ インフラ施設の状況(令和7年3月末時点)
地球規模での気候変動の深刻化による脱炭素の機運の高まりや、Well-being やダイバーシティ&インクルージョン等の新たな価値観が重視されるなど、社会経済情勢の変化や市民ニーズの多様化に適切に対応する必要があります。
公共施設の維持修繕・更新等に係る経費(アセットマネジメント事業費)は、施設の老朽化の進行や現下の物価高の影響等により増加傾向にあり、令和7年度以降の30 年間では、一般会計で約2兆9,600 億円、全会計で約5兆900 億円を見込んでいます。
■ アセットマネジメント事業費(当初予算額)の推移
現下の物価高などの社会経済情勢の変化や市民ニーズの多様化にも対応しつつ、引き続き、市民が公共施設を安全・安心に利用できるよう維持し、良質な市民サービスを持続的に提供するため、基金の活用も図りながら、中長期的な視点に立って、適切に建替えや改修等を実施していきます。そのため、今後も引き続き基本方針に定めた6つの取組みを着実に推進していきます。
■ 計画的な維持管理による施設の長寿命化のイメージ
■ 長寿命化および平準化のイメージ
■ PFIの財政負担のイメージ
■ 既存施設等の有効活用(統合・複合化・用途変更・廃止)のイメージ
各施設の取組みについては、推進プランの下記ページに掲載しています。
| 施設類型 | 取組み概要 |
|---|---|
| 一般建築物 | 【26~29ページ】(PDF:3,266KB) |
| 市営住宅 | 【30ページ】(PDF:3,266KB) 参考:福岡市市営住宅ストック総合活用計画 |
| 学校施設 | 【31~32ページ】(PDF:3,266KB) 参考:福岡市学校施設長寿命化計画 |
| 環境関連施設 | 【33~34ページ】(PDF:3,266KB) |
| 農業用施設 | 【35ページ】(PDF:3,266KB) |
| 林道施設 | 【36ページ】(PDF:3,266KB) 参考:福岡市林道橋梁長寿命化計画 |
| 漁港施設 | 【37~38ページ】(PDF:3,266KB) |
| 公園施設 | 【39~41ページ】(PDF:3,266KB) |
| 道路施設 | 【42~44ページ】(PDF:3,266KB) 参考:福岡市道路施設アセットマネジメント基本方針・個別施設計画 |
| 河川施設 | 【45~46ページ】(PDF:3,266KB) 参考:福岡市河川施設アセットマネジメント基本方針・実行計画 |
| 港湾施設 (一般会計・ 特別会計) |
【47~51ページ】(PDF:3,266KB) |
| 海岸施設 | 【52~53ページ】(PDF:3,266KB) |
| 市場施設 | 【54~55ページ】(PDF:3,266KB) |
| 渡船施設 | 【56ページ】(PDF:3,266KB) |
| 競艇場施設 | 【57ページ】(PDF:3,266KB) |
| 集落排水処理施設 | 【58~59ページ】(PDF:3,266KB) |
| 下水道施設 | 【60~62ページ】(PDF:3,266KB) 参考:福岡市下水道アセットマネジメント基本方針・実行計画 |
| 水道施設 | 【63~65ページ】(PDF:3,266KB) 参考:福岡市水道長期ビジョン2028 |
| 工業用水道施設 | 【66~67ページ】(PDF:3,266KB) 参考:福岡市工業用水道長期ビジョン2028 |
| 地下鉄施設 | 【68~69ページ】(PDF:3,266KB) |