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更新日:2026年8月3日

令和8年度第2回市民活動広聴事業

なごみの家しかたの皆さんと高島市長が、「認知症になっても安心して暮らせるまちづくり」をテーマに意見交換を行いました。 

 

集合写真

 「なごみの家しかた」の活動内容

「なごみの家しかた」は、特定非営利活動法人なごみの家が早良区四箇田団地内で運営する小規模多機能ホームです。
高齢者をはじめ、”住み慣れた地域で安心して暮らせる地域づくり”を目指し、支援を行っています。

 

また、介護サービスのみにとどまらず、併設するコミュニティスペース「しかたの茶の間」を利用し、地域住民の交流や相談の場として活用しています。

 

さらに、代表理事の宮川さんは、福岡市ユマニチュード地域リーダーや福岡市認知症ライフサポートワーカーとして、地域の小学校などで講座を行うほか、近隣の小学校と連携し、総合学習の一環として地域のごみ問題に取り組むなど、高齢者支援にとどまらない幅広い地域活動を展開しています。

 

 

施設玄関

 

なごみの家のイメージ図

ばあちゃん喫茶~ときどきじいちゃん~

コミュニティスペース「しかたの茶の間」では、うきはの宝株式会社と連携し、毎週月曜日に「ばあちゃん喫茶」を開設。
施設利用者が料理を作り、定食を提供しています。

 

うきはの宝は、75歳以上の高齢者が主役となって活躍する”ばあちゃんビジネス”を展開している会社で、高齢者に生きがいと収入を創出し、働くことを通じて健康寿命の延伸を目指しています。

 

また、高齢者を単なる支援や保護の対象として捉えるのではなく、それぞれの得意なことを活かして、社会や地域を支える大切な担い手として活躍できる機会を提供することで、超高齢社会における新たな地域づくりに挑戦しています。

 

ばあちゃん喫茶は、現在、福岡県内に3店舗(早良区四箇田、城南区梅林、春日市)で展開しており、今後はさらなる店舗拡大を目指しています。

 

 

【意見交換当日の調理場の様子】

キャベツを切っている施設利用者

体が自然と動く、驚くほど速いキャベツの千切り

 

施設スタッフのサポートを受けながらハンバーグの確認をする平川さん

宮㟢さん(施設スタッフ)のサポートを受けながら、ハンバーグの焼け具合を確認する平川さん

「なごみの家しかた」を見学しました

高島市長が「なごみの家しかた」を見学し、施設利用者の皆さんと交流を深めました。

 

施設を利用しながら毎週月曜日に「ばあちゃん喫茶」で働いていることや、近隣の幼稚園児や小学生との交流について、宮川理事から説明がありました。

 

また、高島市長は利用者の皆さんと「今日のランチメニューは何ですか?」、「子どもたちとの交流は元気がもらえますね」といった会話を交わし、終始、和やかな雰囲気に包まれていました。

 

小規模ホームなごみの家での集合写真

後ろの壁には、普段から交流のある近隣の幼稚園児や小学生からのメッセージがたくさん

 

施設利用者と話す市長

「今日のランチメニューは忘れたけど、私たちが作った料理なので美味しいですよ」

役割があることで生まれる笑顔

宮川理事(特定非営利活動法人なごみの家代表理事)

私たちは、介護サービスを利用しながらも施設に入所せず、住み慣れた団地で最期まで暮らし続けられるよう支援しています。

 

認知症の症状があっても活躍できる場があれば、ご家族の見方も変わってきます。これまで「いつ施設に入ろうか」と話していたご家族が、「まだまだ頑張れるね」と前向きに考えられるようになることもあります。

 

何より、皆さんが働くことを通じて元気になって、人前に出る機会があることで、「きれいにしておこう」という意識も生まれています。なごみの家で高齢者でも活躍できるといった地域モデルを証明できていると思います。

 

市長

身体的なケアももちろん大切ですが、ここだったらみんなに笑顔になってもらえる、ありがとうといってもらえることがモチベーションになりますよね。

 

宮㟢さん(なごみの家しかた計画作成担当)

色々な方と関わることで、自分の存在価値というか、”社会の一員なんだ”という実感につながると思います。
ここに来ると誰かの役に立つことができる、そして、働いた対価として報酬をもらうことができます。その報酬で好きなものを買ったり、予定を立てたりと、日々の楽しみにもつながっています。

 

また、ご家族も本人がいきいきと活躍している姿を見て、とても喜ばれています。

 

みんなで団らんする様子

「好きな馬刺しを買いに行く」と笑顔の田中さん

 

市長

何でも周囲が手助けをしてあげればよいということではなく、社会の中で自分の役割があり、やりがいを持って過ごせることが大切ですよね。

 

宮川理事

皆さん年齢に関係なく、「誰かのために何かをしたい」という思いを持っています。その思いを形にできる環境や機会をつくることが、私たちの役割だと考えています。

 

特に認知症については、まだ十分に理解が進んでいない部分もあり、「何もできない人」「支援を受ける側」といった見方が強いので、ばあちゃん喫茶のような働き方がそれを変えるきっかけになればいいと思っています。

 

市長

中村さんはどんなときにやりがいを感じますか?

 

中村さん(なごみの家しかた管理者)

やはり、利用者の皆さんが元気になっていく姿を間近で見ることが、一番のやりがいですね。
また、職員の皆さんの負担が少しでも軽くなるような仕組みづくりも心掛けています。簡単ではありませんが、うまくいったときは私自身も喜びを感じます。

得意なことを活かし、自分らしく働く

宮川理事

施設の利用者で認知症のあるおばあちゃんが、息子さんの喜ぶ顔が見たい一心で、毎日のように息子さんの好物であるとんかつを揚げるので、息子さんが対応に困っていました。

 

その話を聞いて「逆にその得意料理のとんかつをたくさんの人に食べてもらおうよ」ということから、こども食堂を始めました。

 

この話をうきはの宝の大熊さんに伝えると「それはとても価値のあることだから、活躍できる場としてきちんと対価を得られる仕組みをつくったほうがいい」と言われて、「ばあちゃん喫茶」を一緒にスタートしました。

 

市長にランチを運んでくる利用者

自分たちで作ったランチを市長にお届け

 

市長

田中さんの作るメニューは決まっているんですか?

 

宮川理事

お味噌汁担当です。毎週木曜日に梅林店にも働きに行ってるんです。

 

宮㟢さん

田中さんがお出汁や味噌の具合など、最後の調整をしています。田中さんが美味しいと言わないと出来上がりません。

 

市長

おばあちゃんの家で出てくる料理って、シンプルなのにすごく美味しいんですよね。田中さんは、ここで働いてどうですか?

 

田中さん(施設利用者)

楽しいです。悪い人がおらんもんね。

 

市長

今日の豚汁、田中さんの味付けが良かったね。具もたくさん入ってて、野菜の甘味もあって。

 

田中さん

食堂しよったけんね。

 

今日のランチメニュー

本日のランチ「平川さんちのハンバーグ」

豚汁のチェックを行う田中さん

ポイントは”すりおろしニンジン”

ニンジンをすりおろして加えることでふっくらやわらかく、野菜が苦手な子でもパクパク食べられます。
平川さんが子育てしていた時、ニンジン嫌いの我が子のために工夫を重ねて誕生した逸品です。

つながりが新しいチャレンジへ

市長

75歳以上の方に注目されたきっかけは何ですか?

 

大熊さん(うきはの宝株式会社代表取締役社長)

私が住むうきは市の地域は、高齢化率が約60%に達していて、私自身も含めて「この先どうなってしまうのだろう」と将来に不安を感じていました。だから、私は良い意味でおじいちゃんやおばあちゃんにもどんどん活躍してもらって、一緒に経済活動をしていこうと考えました。

 

この先、少子高齢化が進む中で、地域のマンパワーもお金もますます不足していきますし、そうした課題を乗り越えていくためには、多世代で協力していくことが欠かせないと思っています。皆さん、働くことで健康寿命が延びますし、特に女性は人前に出ることでとても若々しくなります。

 

私はこの取り組みを”ビジネス”として行っていますが、これからの超高齢社会にはこうした仕組みが必要だと考えています。仕組みさえできれば、私が引退した後も後継者によって広がっていくと思っています。

 

市長

働き始めてから、認知症の症状があることが分かるケースもあるのですか?

 

宮川理事

症状は様々だし、年齢関係なく色々な方がいますね。ただ、私たちが大切にしているのは、どのような方であってもその人らしく輝ける場をつくることです。大熊さんも私も、その思いは当初から同じでした。

 

大熊さん

福岡市の担当者が”オレンジパートナーズ”の取組みを通じて宮川さんとつないでくれたことがきっかけで「ばあちゃん喫茶」の取組みも大きく広がっていきました。

 

この出会いがなければ、うきは市の中だけにとどまっていたかもしれません。オレンジパートナーズの取り組みがあったからこそ、福岡市外の私たちも宮川さんだけでなく、多くの事業者の方々とつながることができました。

 

宮川理事

今は、国内外からたくさん視察に来てくれます。高齢者が働く仕組みは世界でも注目されていますね。

 

 

認知症の人とその家族、企業・団体、医療・介護・福祉事業者、行政で構成し、認知症について自主的に「知る」「考える」「つながる」「行動する」ためのコンソーシアムです。認知症になっても自分らしく生きるために何ができるかを考え、実際の取り組みにつなげていくことを目指します。

 

認知症の方向けコンロ

オレンジ人材バンク(認知症当事者)とオレンジパートナーズ参画企業で協働開発した認知症の方や高齢者向けコンロ

聞き取りやすい音声案内や大型の五徳(鍋を置く金属製の台)、識別しやすい色使いなどが特徴

「見る・話す・触れる・立つ」で育む信頼関係

福岡市では、2018年度から先進的にユマニチュードの普及に取り組んでおり、市内の全小・中学校でユマニチュードの授業をしたり、市民向けの講座を行ったりしています。
10月には、世界各国の専門家らが参加する「国境なきユマニチュード国際会議in福岡2026が開催されます。

 

 

「見る・話す・触れる・立つ」の4つの柱を基本にした認知症の人とのコミュニケーションをスムーズにするケアの技法です。

 

ユマニチュードのイラスト

 

市長

なごみの家では、どのようにユマニチュードを取り入れてますか?

 

宮川理事

不安を和らげ、安心を伝えるためのコミュニケーションツールとして活用しています。また、子どもたちでも理解しやすいと感じています。目線を合わせて話すことや友達と接するように話しかけることが、高齢者とのよい関わり方につながるよと伝えています。

 

市長

ユマニチュードの有効性は理解していても、現場では研修を受けたり実践する時間や余裕がないという声を聞いたりもします。皆さんは、取り入れるにあたって、日頃から工夫されていることはありますか?

宮㟢さん

やること自体が目的ではなく、利用者さんとの信頼関係を築くことが目的なので、私たちは目線を合わせることを大切にしています。相手を見ているようで、意外と目線が合っていないんですよね。黒目と黒目を合わせることで、「私はあなたを見ていますよ」というメッセージが伝わり、それが信頼関係につながるので、そうしたことを意識しています

 

市長

全てを実践するのではなく、ポイントポイントを意識してやられてるということですね。

 

今は多世代で暮らす家庭が少なくなり、おじいちゃんやおばあちゃんと一緒に生活した経験のない子どもも増えています。そのような背景もあり、福岡市では全ての小・中学校などでユマニチュードを学ぶ授業を行っています。

 

ユマニチュードの活用事例を発表し合う場があると良いかもしれませんね。
「意外と簡単に取り入れられたよ」とか「少し実践しただけでもこんな良い変化があったよ」といった気づきを、介護事業者が集まる場で共有できると参考になると思います。

 

いきなり「講座を受講してください」ではなく、小さな実践や成果を発表し合う場であれば、より取り組みやすいのではないでしょうか。

介護施設からコミュニティ拠点へ

宮川理事

市内には集合住宅が数多くありますが、住民同士の交流が減少している団地も多いと思います。「なごみの家しかた」のような小規模ホームと交流スペースを兼ね備えた団地が増えることで、地域の安心や活性化につながると思っています。

 

市長

団地内に交流スペースを作って、食堂や、安否確認などの機能を備えたりコミュニティ拠点ができるといいですよね。何より、同じ屋根の下に住んでいるのに交流がないのはもったいない。

 

宮川理事

私たちは施設の利用者さんだけじゃなく、地域住民に対しても安否確認を行っています。「困った」と連絡があれば、すぐに駆けつけています。

 

業界全体として、もちろんケアの在り方も大切ですが、生活の質の向上や、元気になるお手伝いをするということも大切だと思います。そうした視点から、ばあちゃん喫茶のような取組みが注目されているのだと感じています。

 

市長

福岡市では、”住み慣れた地域で安心して自分らしく暮らせるまち”を目指して「福岡100」という取組みを進めていますが、「なごみの家しかた」がまさにそれを体現されていると感じました。このような素敵な取組みが大きく広がってほしいと思います。
今日はみなさんありがとうございました。

 

「福岡100」の取組みについて、詳しくは福岡100ホームページをご覧ください。

 

寄せ書きをもらう市長
市長に花束を渡すご婦人
なごみの家のTシャツ
自治会長と市長