現役大学生が実行委員長を務める「明星和楽2018」、今年の見どころは?

平成23(2011)年に福岡のITコミュニティから生まれたイベント「明星和楽」は、“クリエイティブとテクノロジーの祭典”として年々認知度を増しています。

平成28(2016)年には、岩田屋、ソラリア、天神地下街など天神地区の商業施設を巻き込んだ大規模な開催に。平成29(2017)年は、「日本の和の文化」をテーマに台湾の高雄で開催し、現地のエンジニアやアーティストなどと交流を深めました。そして平成30(2018)年は3月に、福岡アジア美術館と大名小学校跡地を利用したスタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next」で開催予定。福岡のスタートアップシーンの象徴とも言える「明星和楽」の今年の見どころについて、明星和楽の実行委員長であり、現役(取材時)の九州大学の学生でもあるマツケンこと松口健司さんにお聞きしました。

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カオスを感じる人を呼びたい

--まずは明星和楽がどんなイベントかを、ご説明いただけますか?

松口 実は僕自身も説明するのが難しいんですが(笑)、一言で言うと「テクノロジー・スタートアップ×エンターテインメント」のフェスティバルです。スタートアップイベントでよく見るのは、投資家が集まってスタートアップがピッチを行うという構成ですよね。それをより面白くするために、ピッチの合間に歌手のライブを入れたのが始まりです。ライブ目当ての参加者がピッチも聞くという形が作れれば、セレンディピティな出会いが生まれるんじゃないかと。“福岡のスタートアップシーンを盛り上げる”という明確な目的があるわけではなく、自分たちが面白いことをしたくて、毎年開催しています。イベントというよりフェスに近いですね。関わっていただく企業さんも、宣伝効果よりも僕らの思いに共感してくださる方々が多いです。

--出演ゲストはどのように決めているのですか?

松口 実行委員のメンバーでアイディアを出し合って決めています。年齢もバックグラウンドもそれぞれ異なるメンバーですが、共通している考え方は「普通じゃ面白くない」というところ。例えば、今年のゲストの一人DOZAN11(ex.三木道三)さんは平成13(2001)年に『Lifetime Respect』というヒット曲を出しましたが、現在は『PhotoMusic2.0』という音楽生成ソフトを開発しています。異例なキャリアを歩んでいて、カオスなところがある方が面白いと思ってます。

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(平成24(2012)年開催の明星和楽での一コマ。元気ロケッツ氏のDJで会場が盛り上がる)

--松口さんは、これまでの明星和楽にどう関わっていましたか?

松口 明星和楽2016で学生向けのコンテンツを企画したのが始まりでした。前夜祭で学生ピッチ大会、学生のトークセッション、岩田屋前広場で高校生のファッションショーなどいろいろあった中で、特に印象的だったのが孫泰蔵さんの若者に向けたトークでした。泰蔵さんのスケジュールに空きがあるのが夜のみだったのですが、22時から0時までという予定を延長して朝の4時近くまで話をしてくれました。若者への教育に熱心で、AIのスタートアップに投資しているという話や、未来は家のような車での生活が始まるといった話を、写真や資料付きで詳しくしてくださって。ワクワクするような話をご本人の口から聞いて、とても刺激を受けたんです。そして、この年の最後のトークセッションで明星和楽の立ち上げメンバーである株式会社ヌーラボの橋本正徳さんや、同じく立ち上げから関わってくださっている株式会社nomadの小笠原治さんから、実行委員長の役目をノリも含めて任命されました(笑)

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(孫泰蔵氏によるセッションの様子。すでに深夜にもかかわらず、ほぼ満席の状態)

--松口さんには「福岡の次世代を担う」という意識はありますか?

松口 この2〜3年でスタートアップという言葉が浸透してきて、起業に興味を持っている若者が圧倒的に増えました。でも僕自身は、福岡にこだわっているわけではなくて。シリコンバレーに留学したのをきっかけに海外にも興味を持ってますし、昨年10月は2カ月間ヨーロッパを見て回ったりして、大学卒業後(平成30年3月以降)の進路として福岡以外の選択肢も考えていました。それでも福岡に残ると決めたのは、福岡市の事業で台湾に行った際に高島市長とお話しさせてもらったことがきっかけなんです。市長から直接、福岡市のビジョンをお聞きして、「こんな人がトップにいるんだ」と感銘を受けました。福岡にコミットするタイミングとしては今しかないと思ったんです。

--松口さんたち20代前半の世代は、Fukuoka Growth Nextをどのように役立てていますか?

松口 コミュニティ生成には場所が必要で、明星和楽のミーティングもFukuoka Growth Nextで定期的に行うことで、僕らの世代のコミュニティもだんだんとできていきました。シリコンバレーのエコシステムを見ても若者の存在は重要なポイントだと感じたので、福岡にその流れができている気がしてうれしいですね。上の世代も常に一緒に話し合っているので、若者だけ増えたというわけではなく年齢層が幅広くなったという感じです。

 

今年の明星和楽は「廃校フェス」と「美術館」!?

--「明星和楽2018」の見所を教えてください。

松口 「明星和楽2018」のテーマは「融合」です。これはコンテンツ間の融合と世代間の融合を意識しています。会場は福岡アジア美術館(以下、アジ美)とFukuoka Growth Next。アジ美では面白いクリエイターさんやアーティストさんを福岡にお呼びしてグループ展やトークセッションを開催します。最後の二日間はFukuoka Growth Nextにまとめて、廃校内のいろんな教室を好きに回れる「廃校フェス」の感覚を楽しめるように企画しています。校舎入り口にフードトラックを出して、大名の街を歩いている人たちも中に入りたくなるような企画も考えています。

--福岡外から「明星和楽2018」に参加する人に向けて、イベントを楽しむコツを教えていただけますか?

松口 30日は、Fukuoka Growth Next内のイベントスペースで1日中トークセッション&ライブをしています。また、福岡を代表するスタートアップ企業の見学ツアーも企画しています。効率よく企業訪問ができるので、県外から来たIT起業家におすすめしたいですね。awabar fukuokaでも昼からエンジニア交流会を開くので、福岡のIT界隈を一気に知ることができるのではないでしょうか。学生向けには、30日に学生ハッカソンを開催するのでぜひ参加してもらいたいです(3月23日までに要申し込み、24日にミートアップあり)。31日は、各教室がIoT展示やe-Sportsのゲーム会場、廊下に企業ブースがあったりするので、いろいろ巡ってみてください。18時からはアフターパーティーイベント(前売り3000円、当日4000円、学生2000円)を行います。

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(3/30(金)14:00からはFukuoka Growth Next内にある“awabar fukuoka”でエンジニア交流会も開催されるそうです)

--県外から「明星和楽」をチェックしている人たちに向けて、メッセージはありますか?

松口 福岡の実際の盛り上がりを、来て感じてほしいですね。新しくて面白いことをやるには、支えてくれる人が多い今の福岡の環境がやりやすいと思っているので、ここから世界へと広がるような事例を作っていきたいです。

 

実行委員長として今年の明星和楽を企画しながら、自身の成長と重ね合わせて変化の最中にある福岡を楽しんでいる様子の松口さん。彼らが作り上げる「明星和楽2018」がどんなイベントになるのか、興味を持った方は気軽に参加してみてはいかがでしょうか。

 

[関連リンク]
明星和楽2018
http://myojowaraku.net/
3月23〜27日 会場:福岡アジア美術館
3月30〜31日 会場:Fukuoka Growth Next

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