【福岡ガチ移住ブログvol.9】福岡のクラブ街といえば天神・親富孝! ヒップホップ好きの私が福岡のクラブ事情を探ってきました

東京から移住してきた田中ゆいです。趣味はクラブで夜遊びすることです。

東京から福岡への移住となると、クラブ遊びできなくなっちゃうんじゃないの? と心配になる人もいるかもしれません。でも大丈夫! 福岡のクラブ事情もなかなか興味深いです。

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福岡のクラブ街と言えば、何はなくとも「天神・親富孝通り」。

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この「親富孝通り」という愛称はもともと「親不孝」という文字が使われていたそうです。予備校があって浪人生が集まる場所だったからとか、その予備校生が周辺のクラブや居酒屋に出入りしてどんどん親不孝になっていくからとか、いくつかの由来を聞きました。とんでもない名前ですがクラブ街としてなんとも期待感高まる愛称!

ここには大小さまざまなクラブがあります。その中から、私が実際に行ってみたおすすめのクラブを紹介するのでこれから福岡で遊ぼうとしている人は是非参考にしてください(ヒップホップが好きなのでそれ系が多めです)。

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「STAND-BOP(スタンドバップ)」は、もう23年間も営業を続けている老舗です。平日から人が集まってて、音楽好きが多い印象。低音がめちゃくちゃ出る! バーと小さいフロアだけの小箱なので、最初入るのに勇気がいりました。でも、店員さんやイベント主催者が積極的にお客さんに声をかけているので安心安全。

STAND-BOP:福岡市中央区天神3丁目6−10

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ちなみにスタッフの「DEP FROG」(写真真ん中)は唐津出身の若手ラッパー。今年のUMB(※)佐賀予選で優勝した注目選手なので要チェック。STAND-BOPや近隣の店でライブもよくやっています。

※UMB(ULTIMATE MC BATTLE)とは日本最大のMCバトルの全国大会。地方ごとに予選が開催され、年末に日本一が決まります

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「graf(グラフ)」は、福岡に来てからすでに何度も行っていて、個人的に熱いイベントをたくさんやってくれている箱です。

graf:福岡市中央区天神3丁目4-19 WITH TENJI B1

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扉を開けると地下に下る大きな階段が現れてなんだかテンション上がります。フロアも真っ暗でそこそこの広さがあるので居心地もいいです。

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UMBの福岡予選を見に行った「Voodoo Lounge(ブードゥーラウンジ)」は客席広めで一人でも遊びやすい中箱ですが、年内に閉店移転するそうな。ライブハウス的な箱で、バンドマンや地元客に愛されてる印象でした。新しくなっても期待。

Voodoo Lounge:福岡市中央区天神3丁目2−13 天神センタービル3F

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Voodoo Loungeと同じビルの隣フロアには「MUSK(ムスク)」というクラブもあります。県外からゲストを呼んだり、MCバトルだったり、派手なイベントが多い印象。

MUSK:福岡市中央区天神3丁目2−13 天神センタービル3F

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そして福岡のクラブで最も有名なのが「Kieth Flack(キースフラック)」。東京にいるときから名前だけは聞いていたんですが、実際に行ってみたらその独特な外観に度肝を抜かれました。そもそも立地が超わかりにくい。

Kieth Flack:福岡市中央区舞鶴1丁目8−28

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「まさかこの道じゃないだろう」っていう細い路地に突入していくつか角を曲がると急に開けた場所があり、ガウディ建築みたいなビルが現れます。

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なにこれ!

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夜は光ります。すごい。

ハウス、テクノ、ロック、ヒップホップなど幅広いジャンルのイベントをやっています。特にハウスやテクノに強い印象。2フロアを行ったり来たりできて快適です。いつも行くたびに「オシャレな女子がたくさんいるな〜」と感心してしまいます。

また、今泉エリアにも何軒かあります。この辺りは徒歩圏内なので、イベントが集中する週末はハシゴすることも。東京だったら「池袋BEDと中野heavysick ZEROで熱いイベントやってるけどハシゴは無理」と諦めていたのですが、福岡ならクラブがギュッと集まってくれているからとてもありがたい。東京に比べるとクラブの数は少ないのですが、ローカルならではの熱気や、適度な大きさゆえの遊びやすさが福岡の強みだと感じました。

でも、東京に比べて不便だなと思うのが「告知の少なさ」です。ある程度大きいクラブなら公式サイトにスケジュールが出ているのですが、小さい箱だと公式サイトすらないところも。あったとしても、一覧表になっているだけで、そのイベントがどんな雰囲気なのかうかがい知るのが難しい。ツイッターの告知は当日の21時、みたいな状態。

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STAND-BOPのスタッフのディウフさん(ステージ上を駆け回るエネルギッシュなライブをやるラッパーです)に「告知少なくてイベント見つけづらいです」と文句を言ったら「そうやね、そのへんは東京を真似して頑張らんといけんっちゃね」って笑っていました。絶対やらんだろ! でも、STAND-BOPの告知ブログは時事ネタや小ネタが挟んであってついつい読み込んでしまうのです。

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快適な福岡クラブ生活を送るため、私が頼りにしているのがこちら。親富孝通りにある「DARAHA BEATS(ダラハビーツ)」です。

DARAHA BEATS:福岡市中央区天神3丁目6-23-203

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2011年6月にオープンしたレコード・CDショップで、ヒップホップを中心に世界中のクラブミュージックを扱っています。

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店長の原田さんは、STAND-BOPで「DOWN THE LINE」というレギュラーパーティーも主催しているので、現役でクラブ事情に精通しています。移住してすぐ、イベントを全然見つけられず、DARAHA BEATSに駆け込んで助けてもらいました。「もしわかんなかったら店に電話かけてくれてもいいですよ!」とまで言ってくれました。とっても親切! クラブの無料案内所!

たいていのクラブイベントのフライヤーはここに集まるし、レコードショップなのでアーティスト情報も収集できます。福岡に来たらまずここに行けば、クラブ遊びには困らないでしょう。

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この棚に注目。CDが地方ごとに並べられているのが「とてもいい!」と思いました。ヒップホップって地方ごとに色が出るので、地方縛りでアーティストを発掘するのもありですよね。方言のラップとか、生々しくて大好き。ちなみに福岡のヒップホップは、チャラチャラしていなくて、バイブス重視な男臭さがあってかっこいいです(※個人の見解です)

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店長の原田さんに、福岡のヒップホップ事情を聞いてみました。

「福岡は音楽人口が多くて、特にクラブミュージックが盛んですね。しかもみんな自分でCD-Rを作って現場で売っちゃうっていう行動派。だから、うちの店の商品もCD-Rが非常に多くなってます」(原田さん)

レコード会社からCDをリリースするという正攻法じゃなくていいから、とりあえず曲作って自分でCD-Rに焼いちゃおうっていうタフさがステキ!

そもそも福岡に音楽人口が多いのには、何か理由があるんでしょうか?

「10年前くらいから今もずっと、福岡のシーンを牽引しているのが、OLIVE OILさんとFREEZさん。この二人に憧れて音楽を始めたっていう世代が多いんじゃないでしょうか」(原田さん)

なるほど。実際、私もOLIVE OILの幻想的なビートにハマってCDたくさん持ってますし、OLIVE OIL本人だけじゃなくVJやアートワークを含んだアーティスト集団「OILWORKS」としても超信頼していてレーベル買いします。

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そして福岡一熱いヒップホップ箱「BASE(ベース)」を率いるMC FREEZの渋くて男臭いラップは本当にかっこいいです。DARAHA BEATSが猛プッシュしてたFREEZ×DJ MAFESTICの「GOOD SUMMER MIX TAPE」を買ってみたんですが超よかった。サマーっていうか、残暑っていう感じの気だるさがあってとても好み。

彼らが未だにリリース量を落とさず、引っ張り続けているのもかっこいいですよね。

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ただ、彼らの主戦場だった「BASE」は2013年に閉店してしまいました。この時期は風営法による取り締まり強化で、親富孝通り一帯のクラブが閉店したり、営業時間を変更せざるを得なかったそうです。

原田さんもBASEの閉店をとても残念がっていて「やっぱり遊べる場所がなくなって、遊ぶ人も減っちゃいましたね」と悲しそう。私もBASEでバリバリ遊びたかった……。

ですが、今年6月に明るいニュースもありました。風営法の改正にともない、Kieth Flackがオールナイト営業を再開させたのです!

記念すべきこの日は私も様子を見に行きました。朝までバッチリ盛り上がっていて楽しかったです。営業している側はまだまだ苦労があると思いますが、福岡のクラブシーンがまた盛り上がる兆しが見え隠れしてますよね。

最後に、個人的におすすめのヒップホップアーティストも紹介しておきます。

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「座敷屋」というラップクルーは、男らしくてライブパフィーマンスのクオリティも高くてお気に入りです。こないだ座敷屋のライブに行ったら、そのイベントの主催者で「NASU」というレゲエの人が、座敷屋のラップにユーモアあふれるアンサーを返していて面白かったです。また新たなお気に入りを発見してしまいました。世界は広いなと思うばかり。

もう少しさかのぼると、私が初めて「BASE」に行った3年前の秋、有名なアーティストも出ていたイベントでしたが、その中で一番くらったのは当時のBASE店長「NAB」でした。自らサンプラーでビートを出しつつマイクを握って、日々クラブで起こったあれこれをラップしていました。まさに生き様って感じでかっこよかったです。こういう人がゴロゴロいる福岡は住んだら楽しそうだな〜とこのときに思いました。近々またライブを見に行きたい。

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DARAHA BEATSの原田さんにおすすめを聞いたら、トラックメーカー/DJの「LAF」とのこと。さっそくDJを聞きに行ったら、変態なビートなのに超踊れる感じでめちゃくちゃかっこよかったので、速攻でMix CD買いました。

全国区に名前が知られていなくても、とんでもなくかっこいいアーティストが福岡にはたくさんいます。これも音楽人口が多いから、切磋琢磨されてクオリティが上がっていくのだろうか。

東京のクラブ遊びもとても楽しかったのですが、私からすると地方のローカルな盛り上がり方が羨ましくもありました。福岡に移住した理由の一つに、「その土地に住んで地元のアーティストを追う遊び方がしたい」というのがあったので、粛々とクラブに通って少しでもシーンに貢献したいと思います。