NY出身の35歳、日本に魅せられたアメリカ人が福岡に移住した理由とは?

日本の公立中・高等学校で英語教師を務めた経験から生まれた、ブラックジョーク満載の英語参考書『DARK HORIZON』シリーズの著者として知られるアメリカ出身のブライアン・レイスさん。高校の卒業旅行で初来日して以降、日本に魅せられ、大学卒業と同時に日本へ移住。今年で日本での生活は14年目に入ったそうです。

日本では、さまざまな地域で働きながら、自分にふさわしい働き方を模索してきたというブライアンさんですが、今年7月に福岡市に移住。福岡では、ご自身の考える最高の働き方が実現できているといいます。そこで、ブライアンさんに福岡移住の動機や理想的な働き方について、お話をうかがいました。

――高校の卒業旅行で、どうして日本に来ようと思われたのでしょうか。

ブライアン 最初は別に来るつもりはなかったんですよ。本当はメキシコに行こうとしていたんですが、親から「そんな危ない国に行くな!」と反対されてしまって(笑)。「治安もよくて、友だちも留学している日本になら行ってもいいよ」と、ようやく許しをもらえて行った初めての海外旅行が日本、というか東京だったんです。

――初めての日本はいかがでしたか?

ブライアン 自分が育った世界とはなにもかもが違っていて、まさにカルチャーショックでしたね。みなさんご存知のようにアメリカ、特にニューヨークは白人や黒人、ヒスパニック、アジア系、アラブ系とあらゆる人種が共存する街。ところが、日本は東京という国際的な大都市にも関わらず、ほぼみんな同じ人種しかいません。もう、それだけでビックリなんですよ(笑)。それに、買い物のときの支払い方法やエレベーターの並び方など、色々な生活ルールがニューヨークとはまるで違う。同じような都市生活を送っているのに、この違いは何なんだろう、と日本に興味を持つようになったんです。

――その後、日本に留学を果たし、さらに日本で就職することになったそうですね。

ブライアン そうです。まず、長野県の安曇野市で英語講師の仕事に就きました。大自然に囲まれたすごくいいところだったんですが、正直、ニューヨーク育ちの自分にはあまりにも田舎すぎた(苦笑)。そんな環境で半年働くうちに、やっぱり都会の方が自分には向いているなと思い、名古屋に移って、11年くらい公立の中高で英語講師をしていました。それから、クリエイター育成の専門学校、HAL(ハル)に通ってコンピューターグラフィックを勉強した後に、DMMの東京オフィスでマーケティングの仕事に携わっていました。

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――ちなみに、日本以外で働いてみようと思ったことはないんですか?

ブライアン 実は、1年間だけ韓国で働いたことがあるんですが、すぐに日本が恋しくなってしまって予定を変更して戻ってきてしまいました(笑)。やっぱり僕は日本が好きみたいなんですね。将来はアメリカに帰るつもりかって? それはないですね。アメリカは20年以上も住んでいたし、もう十分です(笑)。将来的に日本以外のところに移り住んだとしても、最終的に戻って来るのはアメリカではなく日本だと思いますよ。

――そんな日本大好きなブライアンさんが、福岡に移住しようと思ったきっかけは何だったんですか?

ブライアン 正直、福岡のことはつい最近まで全然、知らなかったんですよ(苦笑)。多くのアメリカ人にとって福岡はそこまでメジャーではないんです。

――う~ん、それは残念ですね。

ブライアン で、今年6月に母が日本へ遊びに来たとき、九州へ旅行に連れて行ったんですね。メインは熊本だったんですが、少しだけ福岡に寄ることになって、それで初めて福岡に来たわけです。そしたら、まず街の規模に驚いた。え、なに、都会じゃんって(笑)。

――福岡はもっと田舎だと思っていたわけですね。

ブライアン そうそう!! 正直、熊本とか長崎の方が大きい街だと思ってたから(笑)。しかも福岡は大きさだけでなく街の雰囲気もいい。その時点で、僕の住みたいリストに入ったんですよね。で、その流れから、知人の紹介で今宿にある海辺のシェアオフィス「SALT」を見学させてもらうことになったんですが、もう完全に一目惚れ(笑)。なに、ここ、オフィスの目の前に海があるじゃんって!ここで絶対に働きたいって、直感的に思っちゃったんですよね。その足で東京に戻り、すぐに辞表を提出して、1ヶ月ほどで福岡へ移住しました。

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――ものすごい行動力ですね。まだ移住して間もないですが、東京と福岡で、ライフスタイルは変わりましたか?

ブライアン 180度変わりましたね。まず仕事に行くのにストレスを感じなくなった。東京にいた頃は、朝起きると「あー、仕事行くのいやだな」とか思ってたけど、今は職場に行くのが楽しみでしょうがない。僕は今、大濠公園に住んでいるので、いわば都市部から郊外に働きに出ているんですね。仕事に行く=海辺に行くことなので、もうその時点で気分が上がっちゃう(笑)。実際、仕事の前後や合間にマリンスポーツを楽しんだり、ビーチで気分転換をしたりしてますし。もう、最高の職場環境を手に入れたと思ってます。

――そんなに最高な職場環境だと、かえって緩んで仕事が手につかなくなるなんてことはないんですか?

ブライアン 全っ然!!東京にいた頃よりも仕事は捗っていますよ。仕事がしやすいから結果的に働く時間も増えていますが、不思議とストレスは感じていません。仕事とオフの境界線がいい意味でなくなって、生活の中に仕事がうまく紛れ込んでいるような感じですかね。しかも福岡だと生活にかかるコストが安い。福岡は都心でも家賃が割安で、東京に比べて生活コストがかかりません。今、住んでいる大濠公園のマンションの家賃は東京時代の1/3ですよ。僕の望む都市生活と、自然溢れるオフィス。これ以上の環境があるなら、是非教えてほしいくらいです。

――福岡では起業されるとのことですが、どんなビジネスをはじめるのでしょうか?

ブライアン 現在、アプリの開発やラインスタンプの制作、マンガの出版やwebサイトの制作など、10くらいのプロジェクトを立ち上げる準備をしています。新しい著書の執筆もするつもりです。たくさんのプロジェクトを同時に立ち上げてますが、この職場環境があればどれも効率よく進められそうです。

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――それでは最後に福岡移住を検討している人にメッセージをお願いします。

ブライアン 皆さんは半年後、一年後の自分を想像できますか? 僕は東京での生活に大きな不満もありませんでした。引っ越したいという理由もありませんでした。ただ、そのままずっと同じ生活を続けることになんとなく違和感を感じてきたのです。そんな時に福岡の話を聞き、それから引っ越すまでは本当にあっという間でした。キレイな海が見えるシェアオフィスで仕事をしていると、「やっぱり来てよかったなぁ」としみじみ思わされます。今と変わらない繰り返しがイヤなら、環境を変えて福岡で新しいスタートをしませんか?


[プロフィール]
ブライアン・レイスさん
ニューヨーク生まれ、ニューヨーク育ちの35歳。米フロリダ大学卒業後、日本に移住。以来、14年間日本で生活する。公立中・高等学校の英語教師や日系IT企業でのマーケティング担当者を経て、現在は福岡市の今宿でスタートアップに挑戦。某英語教科書のキャラクターの10年後を描いたヒップな英語参考書「DARK HORIZON」の著者としても人気を博す。

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