80歳のシニアもやってくる! 「スタートアップカフェ」に起業家が集まってくるワケ

福岡だからできる-今、はじめる起業。-

昨年10月、福岡市天神にオープンした「スタートアップカフェ」は、「起業したい」「こんな事業を始めてみたい」というすべての人を支援するために誕生したスペース。起業のプロであるコンシェルジュが常駐し、スタートアップに関する相談から起業に役立つノウハウを得ることができるイベントの開催まで、幅広い形での起業支援活動を行っています。

そんなスタートアップカフェで、去る4月9日、オープン半年を記念したイベントが開催されました。

市長も驚き! スタートアップカフェ誕生で市役所の負担が減った!?

イベントのトップバッターには髙島宗一郎市長が登場し、これまでの半年間を振り返るプレゼンテーションを行いました。冒頭、市長はスタートアップカフェがオープンしてからの6ヶ月を「愛された半年間でした」と評価し、さまざまな成果を発表。例えば、昨年10月から今年3月末までにカフェに寄せられた相談件数は533件。市役所の窓口の154件に比べ3.5倍にものぼります。また、これまで市役所が行ってきた開業の手続き、ビジネスプランの作成や資金調達などのセミナーもカフェが行うようになり、「市役所の負担が減った」とも。

高島市長

髙島市長も、「この流れは、自発的に動き出した『福岡のエコシステム』。行政が手を入れずとも、自分たちの中で成長していけるシステムができ上がってきていると実感しています」と手応えを感じている様子でした。

株式会社って何……!?そんな私が起業できたワケ

昨年10月のオープン以降、スタートアップカフェからは、なんと10社以上が「創業」を実現しています。イベントでは、その中の1社である株式会社Medy代表の原田真美さんが登壇。女性にまつわる事業で起業したいという思いから、「女性が多い」「実家の広島が近い」という理由で福岡にやってきたという原田さんですが、移住当初は「株式会社が一体どのようなものだったのかも分からなかった」と告白します。

「スタートアップカフェに初めて来た時は、まだやりたいこともはっきりせずモヤモヤとした状態でした。そこで、コンシェルジュの方と、まずはアイディアを紙に書き出すことから始めたんです。それから、市場の成長率、マーケットの規模、マネタイズするまでの時間……自分一人では決して調べることができなかったことを、“起業のプロ”に教えてもらいながら、一歩一歩進めていくことができました」

トークセッションの様子

スタートアップカフェでは、具体的にどのようなサービスを展開していくのか、どんなマーケティング手法を取るのかといったビジネスにおける“攻め”の部分はもちろん、会社の基礎固めといった“守り”の部分までサポートしてくれるのが大きな特長。原田さんも、「法律や税金の知識がない私にとって、一人で弁護士事務所や税理士事務所のドアを叩くのはハードルが高い。スタートアップカフェには、行政書士の方や税理士の方など、多くのプロフェッショナルが常駐しているので、創業までワンストップで進めていくことができた」と語ります。

80歳のシニアも訪れる、スタートアップカフェの魅力

スタートアップカフェ最大の特長は、常駐するコンシェルジュの存在。朝10時から夜9時まで常駐し、どんな相談にも乗ってくれるコンシェルジュは、まさにスタートアップの案内人です。イベントにも登壇したコンシェルジュの藤見哲郎さんは、この半年間をこう振り返ります。

「実は、走り出した当初はどういうニーズがあるのかあまり予想ができていなかったんです。しかし多くの方の相談を伺う中で、『起業したい』と考える人たちにはそれぞれ“段階”があることが分かってきた。例えば、事業を立ち上げる意味とか、具体的に何をすればいいのか分からない、といった『事業の構想化』に悩んでいる人もいれば、資金の調達、実際のマーケティングについて頭を抱えている人もいます。そうして、創業までのフローを考えた時、つまづきやすい問題点が顕在化してきたんです。結果、今では僕たちもどんな方にも的確にアドバイスやサポートをすることができるようになってきました」

藤見さん

スタートアップカフェに来る“明日の起業家”は、福岡市内はもちろんのこと、東京や京都など県外の人もいるとか。さらに藤見さんはこう続けます。

「とにかく年齢層が幅広い。市政だよりにスタートアップカフェの紹介記事が載るとミドルやシニアの方までいらっしゃるんですよ。例えば、昔やっていた事業のノウハウを若い世代の人たちに伝えたいだとか、中には80歳のおばあちゃんが、下駄の鼻緒を作る伝統工芸技術を活かせないかという相談をしてくださったこともあります」

この半年間で様々な相談を受けてきた藤見さんですが、あるポリシーがあるそう。それは、どんな相談がきても「その事業はダメだ」とは絶対に言わないようにしている、ということ。

「その代り……と言ってはなんですが、その人のアイディアを客観的に見て『もう少しこういう視点から考えてみませんか』『こんな人をご紹介しましょう』といったアドバイスはしっかりするようにしています。“門前払い”しないことによって、福岡は『何かをチャレンジする』ということに非常にハードルの低い場所になる。それが行く行くは、起業をしたいと考える人たちの裾野を広げることになると思っています」

何かにチャレンジしたいという熱量を汲み取り、一人ひとりの夢を実現させたい――そんな思いがある福岡だから、できる・はじめる起業。やってみたい、挑戦してみたい、そんな気持ちが少しでもあるなら、あなたもスタートアップカフェで新しいビジネスを始めてみてはいかがでしょうか。

 

[関連リンク]
スタートアップカフェ https://startupcafe.jp/

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