福岡で仕事したい！　……だったらコワーキングスペースも活用してみては？

2015/02/24 スタートアップ , コラム

働き方の変化やスタートアップを目指す人が増えたことによって、近年、日本各地で増えつつあるコワーキングスペース。福岡市内でもここ数年、起業を目指す人、すでにスタートアップし仕事に励む人を対象としたスペースが続々と生まれています。

そこで、大名、天神、博多といった福岡市の中心部で営業するコワーキングスペースを取材。どのような仕事環境が提供されているのか、そして、なぜ福岡で開設したのかを聞きました。

「福岡市は人口が伸びていますよね。でも、遅かれ早かれ高齢化の波がやって来て、何もしなければほかの地方都市と同じように廃れてしまうかもしれない。それを防ぐため、地域の活性につながる取り組みもしなければ、という話をスポンサー企業である福岡リアルティの方としていたんです」

そう話すのは、大名にあるコワーキングスペース「OnRAMP」運営母体の1つである、ドーガン副社長の林龍平さん。ドーガンはベンチャー企業をはじめ九州の中小企業に投資を行うファンド運営会社。福岡リアルティは地域特化型REIT（不動産投資信託）の運用会社として福岡市内に数多くの不動産物件を保有しています。福岡に根を張る両社の「このままではまずい」という思いから、一般社団法人OnRAMPが設立され、平成24（2012）年11月、同コワーキングスペースがオープンしました。

「現在の場所に移転したのは、平成26年。広さはおよそ100坪ほどで、40〜50社ほどの法人会員や個人会員の方にご利用いただいています。会員同士の交流があることはもちろん、私のように投資する立場としても近くで仕事をしていて楽しいですね」（林さん）

一方、天神エリアのコワーキングスペースとして昨年10月にオープンしたのが、「ibb Tenjin Point」（中央区天神2）。運営するアイ・ビー・ビーは、平成12（2000）年よりIPO（株式公開）を目指す起業家向けにインキュベーションオフィスを提供する会社です。

「ibb fukuokaビルは6階建てで、3〜4階がインキュベーションオフィスとなっています。5階には以前、会計事務所のオフィスがあったのですが、業務拡大のため退居。そのスペースをTenjin Pointとして起業家の方々にご利用いただいています」（アイ・ビー・ビー・チーフオフィサーの浅田真美子さん）

インキュベーションオフィスへの入居には、同社代表による面接があります。これは、入居企業に出資することもあるためなのだとか。なお、Tenjin Pointの利用を希望する場合は、スタッフによる面談によって入居が決定し、支援者・先輩起業家から月1回の経営相談を受けることも可能。まさにスペースの提供に止まらない支援といえます。

「アドバイザリーには、はせがわ（「お仏壇のはせがわ」運営企業）の長谷川裕一相談役や当社代表の廣田稔といった経営者だけでなく、会計士など士業の方々、政策金融公庫などが名を連ねています。また、#FUKUOKAで以前取り上げられたエニセンスも当社インキュベーションオフィスの卒業企業。そのため、同社の熊谷昭彦代表もアドバイザリーとして参加されています」（浅田さん）

新幹線のターミナル駅であり、福岡空港からも程近い博多。コワーキングスペース・BASES（博多区博多駅東1）は、そんな福岡市の玄関口ともいえる場所に立地しています。

「私自身も福岡出身の人間。また、『自分でビジネスをしてみたい』と考えていたときには、福岡県が主催していた若手起業家育成塾で、恩師である井崎貴富氏（経営コンサルタント）と出会いました。自分が育った福岡が好きなことはもちろん、地元に対して恩返しができれば、と考えたのがここでオープンした理由ですね」（BASESを運営するドリームアクト代表取締役の川上晃博さん）

BASESのエントランスに足を踏み入れると、六角形のデザインがあしらわれた大きなボードやソファが目を引きます。六角形は強い力を加えても潰されにくく、建築や機械などの材料にも活用されているのだとか。そのような「堅牢な基地」であるという意味が、六角形とBASESという名前に込められているそうです。

「設備は、オフィススペースやミーティングルーム、イベントスペースなど。これだけなら他のコワーキングスペースでも提供されていると思いますが、ハードだけでなくソフト面も重視するのがBASESの特徴です。たとえば、『経営原理原則勉強会』やコンサルティング、資金調達面でのサポートを行っています。また、海外視察や趣味を通した会員同士の交流も盛んですね」（川上さん）

3ヶ所のコワーキングスペースに共通するのは、「地元・福岡の企業を応援したい」という熱い思い。スタートアップの際はもちろん、福岡の会社に転職するという場合でも、ときにはコワーキングスペースで仕事を進めてみると、いつもとは違った「気づき」を見つけられそうです。

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