
こんにちは。九州大学の上田りさこです。
みなさん、知ってましたか? Fukuoka Growth Next(FGN)って、毎日たくさんのイベントが開かれてるんですよ。
FGNの入口から中に入ってすぐ目につく、オシャレなでっかい黒板。右上をよく見てみると…
1週間のイベント予定が書かれていました。にしても、たくさんありすぎて字がちっちゃい。ぎゅうぎゅうです。この週は、1日に4つある日も!
今回はその中で気になったイベント「TORYUMON(とうりゅうもん)」に行ってきました。九州の学生向けのスタートアップイベントで、今年の3月に開催された第1回には、なんと学生だけで159名が参加したとか。そして第2回には、前回お話を聞いた九大起業部もステージに出るみたいです。
そもそも、スタートアップのイベントって何するの? 起業する予定のない学生も行って楽しめるの? そんな疑問とともに、行ってきました!
(受付はFGNの1階奥、イベントスペースにて。運営スタッフはほとんどが学生ボランティア)
会場に入ってまず驚いたのが、大量に並べられた「博多通りもん」! 「TORYUMON(とうりゅうもん)」と「通りもん」ってかけられてるみたいです。うまいなぁ〜。なんと参加者は食べ放題! 実は私もこの日は7個くらい食べちゃいました。
通りもんを食べながら待っていると、オープニング挨拶で「F Ventures」の代表、両角将太(もろずみ・しょうた)さんの話から始まりました。
「TORYUMONは、学生の有志団体とF Venturesとの共同団体という形で開催しています。学生に向けた学生たちのイベントという形で、学生視点で作られています」(両角さん)
確かに、会場には紺色のシャツを着た学生スタッフばかり。
(しかも楽しそう。こんなにたくさん学生が集まるなんてすごいな〜)
イベントは2会場に分かれていて、ひとつは東京や福岡の起業家・投資家が来られて話すトークセッションが中心。もうひとつの会場は運営も登壇者もほとんどが学生で、「ファイナンス」「キャリア」「テクノロジー」など、色々なテーマのプレゼンとトークセッションが行われていました。
でも、これがスタートアップにどう繋がるんだろう? 気になることが増えてきたので、両角さんにお話を聞いてきました。
◆起業するつもりのない人にもおすすめしたい、スタートアップイベント
上田 そもそも、スタートアップのイベントってどういうことをするものなんですか?
両角さん スタートアップとは、「より短期間で急成長を目指す起業」のこと。イベントでは、主にピッチと呼ばれる、プレゼンをします。あとは第一線で活躍されている起業家の方のトークセッションを聞いたり。ちなみに、フィンランドで毎年行われているスタートアップのイベント「Slush(スラッシュ)」には、世界中から数万人が集まります。ピッチイベントの後はパーティをして、会場全体がクラブみたいになって。DJが音楽をかけていたり、色々な場所で起業家同士がカジュアルに話をして、それがビジネスに繋がったりしています。
上田 カジュアルを通り越してオシャレな感じですね。TORYUMONもそういうイベントを目指しているんですか?
両角さん まだそこまでは考えていなくて。まずは九州の学生に、学校だけでなく外の世界を知ってもらい、接点を持ってもらう場にしたいと思っています。
上田 接点…?
両角さん 僕が福岡の学生に足りないのは、外部との接点だと思ってて。福岡だけで活動していると、視野が九州だけになる。良くも悪くも、福岡の人はみんな福岡大好きだし、九州大好きでしょ!?
上田 分かります。私も熊本で育ったんですけど、「九州のてっぺんは福岡だ、福岡を目指せ」って風潮が強いなぁ。
両角さん でも、福岡の本当の良さって、外を見て来ないと分からないはず。福岡の人は、「地元のために何か還元したい」って人がたくさんいて、福岡以外の地域でも横の結びつきが強いから、外に出て行きやすいと思いますよ。例えば東京にも、福岡出身者が集まる「リトルフクオカ」ってイベントがあって、東京に福岡人のネットワークができているんです。
上田 面白いですね! ところで、スタートアップに一見関係なさそうな「留学セッション」とか「キャリアセッション」ってありましたよね…? 学生ばかりがステージに出てて驚きました。
両角さん 別に、僕たちは「絶対起業すべき」と思ってるわけじゃないんです。福岡の学生には「起業」っていう選択肢がまだないので知ってほしいけど、起業を押し付けるのも違うかなと。学生でいま起業以外に色々な活動をしている人の話を聞くのも、視点を広げるきっかけになると思って。
上田 ってことは、起業する予定がなくても参加していいんですね。ちょっと身構えてたので、ほっとしました。もし起業に興味を持った時のために、F Venturesのスタートアップ支援がどんなものかも、教えてください。
両角さん 投資家から預かったお金を、僕らが選んだスタートアップの企業に投資していくという感じです。あと、起業のノウハウが無い場合も多いので、僕らが教えてあげて。
上田 ノウハウも教えてくれるんですか?
両角さん 投資だけじゃなく、一緒に事業を立ち上げたり、伸ばし方を支援するのも僕らの仕事なんですよ。
上田 私が教育NPOでインターンとしてやってたことと、似てますね。子どもたちに教材や勉強する場所を与えるだけじゃなくて、人それぞれに合った勉強法を考えたり、つまずきを見守りながら応援したりとか。
両角さん 確かに、教育に似ています。投資っていうと上から目線に見えがちだけど、伴走しながら支え合っていきたいと思ってて。
上田 投資って、勝手に縁遠いことに感じていたけど、今の話を聞くと共感できるところがたくさんあるなーって思いました。
◆TORYUMONにいた学生に聞いてみた
会場を歩いていると、かわいい後輩を発見〜! 21世紀プログラム1年の福海道登(ふくかい・みちと)くんと下村真雪(しもむら・まゆき)ちゃんです。道登くんはTORYUMONスタッフで、しかもF Venturesインターンだそうです。
道登くん 実は、僕が今回の登壇者とキャストを担当したんですよ! 両角さんから「誰呼びたい?」って唐突に聞かれて(笑)。スタートアップのこと知らない人にも来てもらいたくて、聞いたことがありそうな人や企業さんを集めました。
(筑波大学の助教授 落合陽一さんと、株式会社FIREBUG(ファイヤーバグ)および株式会社QREATOR AGENT(クリエーターエージェント) の代表取締役である佐藤詳悟さんのトークセッション。たくさんの学生が押し寄せて熱気がすごかった)
上田 へえ〜! 真雪ちゃんはどうしてここに来たの?
真雪ちゃん 起業にはあまり関心がなかったけど、気になる人が何人か出ていたからです。私は映画やミュージックビデオ制作に興味があるんですけど、アイデアを形にする時にはお金がかかるし、そのためには起業の知識も必要になるかもしれないって初めて知りました。話を聞いてみたら興味の持てる内容が多くて、おもしろかったですよ。
上田 こうしてTORYUMONをきっかけに、福岡からクリエイターや起業家が生まれていくのかな〜。それってワクワクする!
スタートアップのこと、思っていたよりもずっと身近に感じたし、起業するつもりがなくても楽しめるイベントでした。 いろんなセッションが充実していて、東京や世界、スタートアップに関することを「知る」のにはとてもぜいたくな一日。両角さんのやっているスタートアップ支援の、具体的なところも気になります。もっともっと知りたい!