【女子大生スタートアップ取材ブログvol.6】北欧のスタートアップ国家エストニアと福岡市は繋がっている?!  卒業旅行で行ってみることにした

こんにちは、九州大学の上田りさこです。このブログでは福岡市のFukuoka Growth Nextという施設やスタートアップの動きを、イチ大学生の視点からわかりやすくお伝えしています!…が、大学4年の私は、平成30(2018)年に入ってからというものの大変忙しくしておりました。口癖は「ソツロン」になり、ネットで「卒論 終わらない」を2日に1回は検索する生活…。最後は70ページほどの卒業論文を納品しました。ふ〜、ほんとに終わってよかった。

そして嵐のような日々を乗り越え、私はこれから卒業旅行にいってきます!  行き先は、ヨーロッパ!

行きと帰りの飛行機だけとって、それ以外の宿も何も決めていなかったのですが、気持ちが昂りすぎて鉄道時刻表だけ買っちゃいました。うふふ。1ヶ月くらいかけて、旅程はガチガチに決めずバックパックでまわる予定です。…実のところは、卒論にかまけて何も決めないままあっという間に直前になっちゃって。

実はこの前、#FUKUOKAの編集者の方と打ち合わせをすることになったんですが、内心は「ひえ〜、次の記事できてないけど福岡にいないよ…どうしよう」という緊張を隠していた私。思い切って、「実は1ヶ月ヨーロッパに行こうと思ってるんです。エストニアも見てこようかなと……」と打ち明けたところ、「せっかくだから、それを記事にしちゃえば?」と。な、ナイスアイディア!  旅も楽しめるし、エストニアの人と話せる口実もゲットできるし!

エストニアという国、実は私の中で昨年くらいからひっそりとブームになっているんですが、「なんでエストニア? 何があるの?」ってよく聞かれます。スタートアップやITに詳しい方にとってはもう説明不要なくらい有名な国らしいのですが、いろんな行政手続きが電子化していたり、国外にいながら居住権がネット上で取れちゃったりと、「電子国家」「バーチャル国家」なんて言われています。オンライン通話サービス「Skype(スカイプ)」を生み出したのもエストニアのスタートアップ。人口は約130万人と、福岡市の人口(約160万人)よりも少ない、小さな国なんですよ。

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(エストニアの位置。ロシアの西側に隣接し、フィンランドからはフェリーで2時間程度で行けるくらいの近さ)

そして実は、福岡市はいち早くエストニアとつながっていたんです!

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(福岡市スタートアップカフェウェブサイトより抜粋)

 

福岡市とエストニアの意外なつながり

福岡市は「エンタープライズエストニア」、「スタートアップエストニア」、「テクノポール」という3つの組織(拠点)と、MOU(覚書)を結んで連携しています。

私がエストニアに興味をもったきっかけの一つは、昨年8月にスタートアップカフェで行われたイベント。「IT先進国家エストニアの生の雰囲気を知る1時間」というタイトルで、実際に現地のイベントに参加された福岡の方や短期留学してきた福岡の高校生の話、Skypeで生中継してエストニアのスタートアップの方とのトークセッションもあり、短いけど濃密なイベントでした。

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(会場となったスタートアップカフェの様子。わずか1時間のイベントにたくさんの人が。エストニアの注目度の高さとみなさんのアンテナの高さがすごい…!)

エストニアの歴史は、これまでドイツ、スウェーデン、ロシアなどに支配されてきた過去があり、1918年に一度独立します。しかし再度ソ連に占領され、その後1991年に再独立を果たしました。エストニアが電子国家として注目されるようになったのは、他に先駆けて公的機関のIT化や効率化の取り組みが発展してきたから。しかしそれは「便利だから」というより、新たな社会システムを作る際、人口が少ないなどの制約があったために、電子政府のような仕組みを始めざるを得なかったということでした。

エストニアは政府や行政主体で毎年5月に「Latitude59」という大規模なスタートアップイベントを開催しているんですが、実は福岡市もブースを出しています。Latitude59に出展している日本の団体は福岡市だけだったそう。スタートアップイベントに自治体がブースを出すことすら、とってもめずらしいことみたいです。2年連続で出展したこともあって、「あ、福岡市!去年も出てたよね」って声をかけられることも多く、「FUKUOKA」の知名度は上がってきているとのことです。

もう一つびっくりしたのが、エストニア人と日本人って結構似てるという言葉。謙虚なところが似ているらしい。地理的な環境も、海も山もあって空港も近くにあるところが、福岡市と近しいとか。へー、それはちょっと意外!

今回、卒業旅行で思い切ってエストニアに行くことにした私は、このイベントに登壇されていた福岡市スタートアップカフェコンシェルジュの佐藤さんに、事前にアドバイスを聞きにいきました!

 

電子国家エストニアの生活って、実際どうだったんですか?

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佐藤さん  一昨年(福岡市の人たちと)みんなでエストニアのスタートアップイベント「Latitude59」に参加しました。街中にもIT国家の所以があるんじゃないかと考えて、ある日の夜に映画館に行くことにしたんです。そしたら思わぬ発見があって。それは、エストニアは性善説を前提にした効率化の国なのだということ。というのもポップコーンなどのスナックが全部棚の中に作り置きされてて、自由に取れるようになっている。飲み物も自分で注いで、レジに持って行くだけ。レジ以外には店員さんがいないのでローコスト運営ができる。日本の映画館では飲食物購入はフルサービスだけど、エストニアはレジ以外はセルフサービス。お客さんは会計しないで商品を持ち出すこともできちゃうけど、当然誰もやっていない。飲食購入に限らず、チケットをもぎりする人もいなくてバーコードをかざして入場をする。確かに効率化されているけれど、その土台には性善説、というかエストニアの人の良さがあるなと実感しました。

上田  へ〜。エストニアって素敵な国なんですね。人口がそれほど多くないということもあって、小売店でも積極的に電子化されているんでしょうか。エストニアに行く前と行った後でのギャップってありました?

佐藤さん  そうですね、書店なども回りましたけれど、小売店ではそれほど、電子電子してる感じはなかった。IT国家感みたいなのはぱっと見は分からない。住んでみないと分からない部分なのかもしれないですね。

上田  そっか……。でも実際どうなのか、ますます気になります!

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上田  わ、いい写真。この方と一緒に回ったんですか?

佐藤さん   エストニアに行く3日前に連絡を取って、現地で初めて会ったにも関わらず、半日もエストニアの街を案内してもらいました。とても親切な方で、タリン(エストニアの首都)の南側に住んでいるみたいで、すぐに来てくれました。もしよかったら、現地を案内できないかお願いしてみようか?  住んでる人じゃないと分かんないこともあるだろうし。

上田  な、なんと! ありがとうございます!

この後、すぐにメッセージの返信をくださって(ものの2分で返信をくれた! 誠実に違いない)、現地でお話を聞けそうです。楽しみ!

なんだか気分が盛り上がってきた私は、もう一人、エストニアに詳しい人にお話を聞きに行きました。それはまた、次回の記事でお伝えします!