「楽しさに対して真面目なゲーム会社」と語る小林和豊氏にガンバリオンの魅力を伺った。

バンダイナムコエンターテインメント発売の「ONE PIECE グランドバトル!」シリーズ、「ワンピース アンリミテッド」シリーズ、任天堂発売の「パンドラの塔 君のもとへ帰るまで」などの開発を手がける福岡のゲーム開発会社、ガンバリオン。今年で設立16周年を迎えたガンバリオンの魅力とは?同社でプログラマーリーダーを務める小林和豊氏に話を伺った。

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CGWORLD(以下、CGW):ガンバリオンはどのような会社ですか?

小林和豊氏(以下、小林):家庭用ゲームソフトの開発が主になります。最近だとガンバリオンとしては初めてとなるスマートフォンアプリ『ワールドトリガー スマッシュボーダーズ』(配信:バンダイナムコエンターテインメント)を開発、さらに、ガンバリオン初パブリッシングタイトルとなる『ゴロンディア』を9月7日に配信しました。「永く愛されるゲームをつくる会社へ」をビジョンとして、10年、20年経っても思い出として語り合えるようなゲーム開発を目指しています。

CGW:ひと言で言うとどのような会社ですか?

小林:ガンバリオンは、ひと言で言うと「楽しさに対して真面目な会社」ですかね。
もちろん、納期を守ることは大前提としてあるのですが、さらにその中で”いかに面白さを極限まで高めていけるか”ということに対して非常に真摯に取り組んでいて、「えっ、そんなに真面目にここまでやるの?」ということが多々あります。

最近では、『ワンピース 超グランドバトル!X』の発売後のアップデートで「海賊RUSHコロシアム」という新しいモードの追加を行ったことが印象に残ってますね。

それは、次々に現れるキャラクター達をひたすら倒し続けて1万人K.O.を目指す!というモードなのですが、実は、もともと新しいモードの追加予定はなかったのです。

新規プレイヤーでも楽しめるものをいれたいという要望があがってきたので開発も終盤の、人数も時間も限られたギリギリの中で試行錯誤を繰り返しました。
もともと組み込まれていた対戦バトルシステムを使ったので、キャラクター数に制約があるなど苦労はしましたが、爽快感のあるやりこみ度の高いモードができました。

ユーザーの方からも、発売後しばらくたってからこれだけのモードを追加するなんて驚いたという声がありました(笑)

CGW:小林さんはどのような仕事をされてますか?

小林:プログラマーです。プランナーやデザイナー、サウンドエンジニアからくる様々な要望をまとめて組み込むのが仕事です。また、彼らが作業しやすいような環境を提案して構築することも僕らの仕事ですね。

最近の仕事としては『ワールドトリガー スマッシュボーダーズ』の一部をお手伝いしていました。メインプログラマーとしては昨年11月に発売されたニンテンドー3DS™の『ワンピース 超グランドバトル!X』に携わりました。全体的なプログラムの統括からメンバーへの作業の割り振り、スケジュール管理などを行っていました。

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▲『ワンピース 超グランドバトル!X』
©尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション
©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

CGW:入社するきっかけを教えていただけますか?

小林:東京にいた時に付き合っていた彼女が、熊本に就職が決まって行くことになったのがきっかけですね。…あ、今の妻です(笑)

当時は別れ話も出たのですが、よくよく考えたら自分の仕事は九州でもできるんじゃないかと。その頃ちょうどGFF(GAME FACTORY’S FRIENDSHIP)が設立されて福岡のゲーム会社は活気がありましたし、自分自身のステップアップを考えても、そういった最前線に近いところで仕事ができるのは逆にチャンスだと思いました。東京と熊本よりも福岡と熊本の方が近いですしね。

GFF…「福岡をゲームのハリウッドに!」をスローガンに、2004年に発足した九州・福岡のゲームソフト制作関連会社からなる任意団体(http://gff.jp/

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ガンバリオンは『ワンピース』で有名だったこともありますが、ちょうどニンテンドーDS®で『JUMP SUPER STARS』が任天堂から発売されたばかりで、プレイしてみたら面白く感覚的にも楽しかった。ニンテンドーDSの開発にも携わりたいという思いもあったので受けてみたら、縁があって入社することができました。

CGW:社内の特徴的なところは何かありますか?

小林:オンオフがはっきりしているところですかね。毎日、始業時間の9時と朝礼前の9時4分、お昼休みの12時と13時、定時の18時にチャイムがなります。これのおかげで仕事をしている時は「本当に仕事をしているの?」と思うくらい静かでみんな集中しているんですけど、チャイムがなるとワイワイガヤガヤと話始めます。この感覚は自分にとっては仕事モードに入りやすく集中しやすい環境ですね。

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▲社内に設置されている「駄菓子コーナー」

あとは、駄菓子ですかね。オフィスグリコもあるのですが、総務の方が仕入れてきて駄菓子を10円単位で売ってるんですよ。そこにみんなが集まるので、別のチームの人とのコミュニケーションにも役立っていますね。また、リフレッシュルームにゲーム機が置いてあるので新作のゲームが発売されるとみんなワラワラと集まって遊んでいます。

CGW:今後チャレンジしたいことや仕事としてやってみたいことはありますか?

小林:やらなければいけないことはプログラマーの質を上げていくことですね。個人の力量というよりは組織全体でのレベルアップにつながることを模索していきたいと考えています。あと、チャレンジという意味ではPS4などのハイエンドゲーム機の開発をやりたいですね。

「楽しさに対して真面目」というひと言で会社を表現した小林氏。それは「永く愛されるゲームをつくる会社へ」という会社のビジョンが浸透している証であると感じた。新たにスマートフォンアプリの開発にも領域を広げたガンバリオンは今後も最先端の技術を追求し、より一層ユーザーに永く愛されるゲームを作り続けるだろう。
 

【プロフィール】
小林 和豊 / Kazutoyo Kobayashi
新潟県生まれ。東京のゲーム系の専門学校を卒業後、ゲームプログラマーとして東京で2社ほど経験。2006年にガンバリオンへの入社に伴い、福岡へ転居。『ワンピース 超グランドバトル!X』をはじめ、メインプログラマーとして複数のタイトルの制作に携わる。現在、2児のパパ。


【関連リンク】
福岡クリエイティブキャンプ2015 公式サイト
http://fcc.city.fukuoka.lg.jp/

U/Iターン経験者に聞く福岡のここが魅力!

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プログラマー
小林 和豊

新潟 県出身[東京からのIターン]

色々なところで言われてることですが、福岡は街がコンパクトにまとまっていて生活の利便性が非常に高いですね。東京に住んでいた頃は通勤に長いと2時間近くかかることもありました。今は会社から徒歩5分くらいのところに住んでいるので、お昼休みには一度家に帰って妻と子供と一緒にご飯を食べています。時間に余裕ができたので仕事にも集中できますね。