
『ドラゴンクエストⅧ 空と海と大地と呪われし姫君』の成功から、『レイトン教授と不思議な町』、『妖怪ウォッチ』などユーザーに”楽しさ”を提供し続けているレベルファイブ。今回は『妖怪ウォッチ』シリーズの第一弾から開発に携わるプログラムディレクターの森雄二氏に話を伺った。
CGWORLD(以下、CGW):まずはレベルファイブがどのような会社かご紹介いただけますか?
森雄二氏(以下、森):資本や規模ではなく、ソフトの楽しさで「世界一」と言われる会社を目指しゲームの開発を行っています。現在は『妖怪ウォッチ』などのようにゲームだけに留まらずアニメ、マンガ、玩具など、クロスメディア展開にも力を入れています。『妖怪ウォッチ』に続くクロスメディアプロジェクトとして『スナックワールド』というタイトルを現在開発中です。
また、「福岡をゲームのハリウッドに」を合言葉に福岡のゲーム開発会社と連携しGFF(GAME FACTORY’S FRIENDSHIP)を2004年に設立し福岡を世界に誇るゲーム都市にすることも目指して活動をしています。
CGW:森さんの仕事内容について教えていただけますか?
森:職種としてはプログラマーになります。時期によってプロジェクトは異なりますが、『妖怪ウォッチ』シリーズは2013年に発売されたシリーズ第一弾からプログラムディレクターとして携わっています。現在は2016年の夏に発売予定の『妖怪ウォッチ3』の開発を行っていますが、最近では、スタッフの管理やサポート、タスクの割り出し、仕様やスケジュールの調整などの管理業務が多くなってきています。
▲森氏が現在プログラムディレクターとして携わる「妖怪ウォッチ3」のイメージイラスト
「妖怪ウォッチ3」
©LEVEL-5 Inc.
CGW:仕事をしていてやりがいや楽しさを感じるのはどのような時ですか?
森:遊んで頂くユーザーがどうやったら喜んでもらえるのか?を考えて、こだわりながら作ってる時が一番楽しですね。みんなで意見を出し合いゲームがどんどん面白くなっていく。その結果として得られるユーザーからの反響で、良い意見があるとやりがいを感じます。
また、『妖怪ウォッチ』は直接ゲームの進行に関わらない細かいところまでこだわって作っています。例えば家に入る時は靴を脱ぐとか、何でもない神社の立て札を調べるとストーリーと関係ないことが書いてあるとか。そういうところにユーザーが気づいてくれて評価をしてもらうと嬉しいですね。QAからは「これいるの?」と嫌がられるのですが(笑)
▲(左)玄関のケータ (右)くつを脱いでいるケータ
「妖怪ウォッチ2 元祖/本家/真打」
©2014 LEVEL-5 Inc.
CGW:社内の雰囲気はいかがですか?
森:入社したばかりの社員も含めて、セクションや立場に関係なく意見を言える環境があります。毎週、現在の進捗について共有する会議がありますが、その場に必ずプロジェクトリーダーが参加をするので、自分たちの意見を言うことができます。妖怪のスキルの効果だとかNPCのセリフなど、プログラマーとしての本来の仕事ではないのですが、それらの意見がゲームに反映されることもありますね。
CGW:レベルファイブに入社するキッカケを教えてください。
森:もともと、佐賀市出身なんですけど、1人っ子ということもあり、いずれは九州に戻らないといけないかなと何となく思っていました。家庭の事情と結婚を機に、そのタイミングで転職しようと。前職でもゲーム会社でプログラマーをしていたので、同じように九州に戻ってもゲーム業界で働きたいと思ったら必然的に福岡になりレベルファイブにお世話になることになりました。
CGW:仕事をしていて難しく感じるところはありますか?
森:特にクロスメディア展開をやっていると、多くの企業と足並み揃えてやらなければならないので、スケジュールを守ることが大切になります。でも面白いゲームを作りたいとこだわる部分もあり、なかなかスケジュールとのバランスが難しいです。
また、スケジュールだけではなく、スタッフのアサインやモチベーション管理も難しいところです。忙しくなるとどうしてもスタッフのモチベーションも下がってきます。そのような時は、忙しくても「この3時間だけはゲームをしてください」と自分が作っているゲームを遊んでもらうようにしています。そうすることで、どこが面白くてどこが面白く無いかがわかってきます。それを考えながら仕事をすると自分なりの意見が出てきて、ゲームにも反映されるとどんどん面白いゲームになっていく。そうなるとモチベーションも自然に上がってきますね。
CGW:最後に今後チャレンジしたいことはありますか?
森:『妖怪ウォッチ』シリーズにずっと携わっているので、なかなかこれ以上のタイトルに携わることは難しいかと思うのですが、いつかはこれを超えるタイトルを作りたいですね。そして、いずれはプログラマーのリーダー的な立場になって、プログラマー全体を管理できるようにはなりたいと思っています。
『妖怪ウォッチ3』や『スナックワールド』など、注目の新作タイトルが控えているレベルファイブ。ユーザーに対して楽しさや喜び、感動を与えている裏側には常に「ユーザー視点」を大事にしている同社の姿勢があるからだと感じた。今後、レベルファイブはどのような”楽しさ”をユーザーに提供してくれるのか、非常に楽しみだ。
【プロフィール】
森 雄二 / Yuji Mori
佐賀県出身。東京のゲーム会社等を経て、2009年レベルファイブへ入社。最近では『妖怪ウォッチ』シリーズのプログラムディレクターとしてプロジェクトに携わるプログラマーの管理業務を行っている。
【関連リンク】
福岡クリエイティブキャンプ2015 公式サイト
http://fcc.city.fukuoka.lg.jp/