「大事なことは横のつながり」 移住者が語る福岡で成功する秘訣とは?

近年、移住者が増え続けている福岡市。平成15(2003)年に約138万人だった市の人口は、10年後の平成25(2013)年には150万人を超え、今なお増加傾向にあります。平成23(2011)年に東京から福岡に移り住んだ照山章子さんもそのひとり。小学2年生の息子さんを母ひとり、子ひとりで育てる照山さん。なぜ彼女は、福岡移住を決断し、そしてどのような生活をしているのでしょうか。お話を伺いました。

照山 福岡移住のきっかけは2011年の東日本大震災です。やはり震災後、まず考えたのは息子の安全面のことでした。移住先を福岡に決めたのは、食生活の安全性と知人の紹介があったからです。移住してからは仕事をしながら、安心して子どもを育てられています。

――今年8月に転職をご経験されているとか。

照山 ええ。転職活動時に今の会社に訪れた時、とても雰囲気が良く、すぐにメンバーに入っていけそうだと感じたんです。また、この会社は、子育てに関してすごく環境が整っているのも魅力的でしたね。転職する際、私が一番重要視していたのは「子供の生活環境」だったので、なおさらに魅力を感じました。実際、この会社は、授業参観とかPTAの活動があると「(学校の行事に)行ってください」と促すくらいですから。

照山さんが働いているのは福岡市を拠点とし、CMS(コンテンツ・マネージメント・システム)の設計・開発、企業向けのウェブサイト制作などを行う株式会社キャッチアップ。平成24(2012)年に設立と、まだ3年目の若い会社で、従業員数もわずか8名しかいませんが、創業以来、業績は好調だとか。その理由について照山さんは、こう話します。

キャッチアップ社員一同

照山 もちろんいろいろな理由はありますが、ひとつは福岡市が、とてもビジネスをやりやすい環境だということはあると思います。まず、福岡はコミュニティ活動がとても盛んです。福岡では以前から、一般企業や個人が集まって、福岡の活性化を目的とした勉強会を頻繁に開催しています。弊社代表の江頭竜二も、そういったコミュニティ活動への参加をきっかけに、それまで個人で行っていたウェブサービスを2012年に法人化。その後、会社経営を軌道に乗せるにあたり、コミュニティ活動を通じて知り合った仲間の手助けも大きかったようです。福岡は、お互いに助け合う精神がとても強く、それもビジネスがやりやすい要因のひとつではないでしょうか。また、ビジネスがやりやすい理由として、3〜4年前からコミュニティ活動に行政のバックアップが入ったことも挙げられると思います。

――素朴な疑問ですが、福岡に移住して良かったと思うことはありますか?

照山 まず、ご飯が美味しい(笑)。あと、福岡の人たちは、とにかく心が温かくて“ウェルカム精神”がありますよね。だから、よそから来た人でもすぐ輪の中に入れてもらえる。大人の世界でも子どもの世界でも同じです。たとえば毎年7月に博多祇園山笠というお祭りが開催されますが、私の息子も毎年参加させてもらっています。最初は中に入っていけるか不安でしたけど、すぐに馴染めて、いろんな子どもたちと仲良くなれました。こういうオープンマインドは、移住者にとってはとてもありがたいことです。

――街の規模はいかがでしょうか?

照山 当然、東京と比べるととてもコンパクトです。それが思いのほか便利なんですよ。博多駅を中心に、ビジネス街の天神や飲食店が多く並ぶ中洲など、便利な施設や建物が徒歩10分圏内にある。打ち合わせするにしても、大体オフィス周辺で事足りるので、移動に時間を取られなくて済む。これって、ビジネスをする上で、すごくメリットだと思いますよ。

――ずばり、福岡で成功するにはどうすればいいですか?

照山 “横のつながり”を大事にすることではないでしょうか。先ほどもお話しましたが、福岡はとにかく、みんなで協力しあいながら仕事をするという感覚が強い。実際に私も仕事をしていて、いろんな方をご紹介いただいていますが、中には「こんなプロが!」と驚くくらい実績のある人物もいる。でも、彼らはそんな特権意識はなく、普通に「仲間」なんですよね。そういうつながりの意識を大事にすれば、福岡でもきっといい仕事ができると思いますよ。

 

[プロフィール]
照山章子さん
専業主婦を経て、1996年に東京のIT企業に就職。6年間エンジニアとして従事した後、メンタルヘルスマネージメントを取得。エンジニアのメンタル面のバックアップと育成を行う。2011年、東京から福岡へ移住。2014年、キャッチアップに入社。現在は、経理から人事までバックオフィス全般を担当している。小学2年生の息子がいる。

 

[関連リンク]
株式会社キャッチアップ
http://www.e-catchup.jp
2012年設立。江頭竜二代表取締役。コンテンツマネージメントシステム(CMS)の設計・開発、ウェブサイト制作などを行う。自社で開発したサービスの「baserCMS」は、福岡工業大学、JAさが(佐賀県農業共同組合)など多くの企業や施設が導入。今年6月、利用数1万サイトを突破するなど、業績は好調。