海外12拠点のキーパーソンが福岡に集結!「明星和楽」キャンプレポ

明星和楽は、平成23(2011)年に福岡で始まった「テクノロジーとクリエイティブの祭典」。さまざまな業種の人が交流し、新しいモノ・コトを創り出す「異種交創」をテーマに、福岡のIT・クリエイティブシーンの潮流を生み出してきました。

平成30(2018)年から実行委員が若手に交代。同年3月には福岡アジア美術館とスタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next」で開催し、福岡内外のクリエイターやアーティストが交流しました。(参考記事 https://www.city.fukuoka.lg.jp/hash/news/archives/202

さらに今回は、海外12拠点からゲストを招き、9月13、14日に福岡市西区の能古島(のこのしま)で「WARAKU CAMP」、15、16日にFukuoka Growth Nextで国際ビジネスマッチングイベント「WARAKU SUMMIT」を開催。海外ゲストと親密なコミュニケーションを図ろうと初開催されたWARAKU CAMPに潜入してきました。

キャンプという非日常空間だから深まる絆

WARAKU CAMPの会場となったのは、福岡市内の渡船場からフェリーでわずか10分の距離にある、能古島。対岸に福岡市街地のビル群を眺めながら、豊かな自然を楽しめるこの島は、「コンパクトシティ福岡」の魅力を伝えるのに絶好の場所。ここに、地元福岡勢をはじめ、バルセロナやサンクトペテルブルク、台北などヨーロッパからアジアまで、各国・地域のスタートアップ企業のCEOや、ベンチャーキャピタリストなど総勢100名が集まりました。

海外からのゲストは、福岡市と各国・地域のスタートアップ支援機関における相互支援のMOU(組織間の合意を記した覚書)の締結などで縁ができた、福岡進出に興味のある人たち。視察も兼ねてキャンプに参加したそうです。参加者のひとり、マーク・オーガスティンさんは、フランスのボルドーでスタートアップ支援に携わっている人物。スタートアップにとって重要なのは「イノベーションや機敏性、顧客指向、そして世界に開放されていること」と語っています。

書道パフォーマンスで「明星和楽」を書き上げる豚星なつみさん
(書道家の豚星なつみさんのパフォーマンスでお出迎え)

キャンプのメインはチームディスカッション。ランチやフリータイムを挟みながら2日間にわたり開催し、国籍や年齢を問わずランダムに組まれたチームで「2020年東京オリンピックの暑さ対策」について考えました。「休業している企業のオフィスを休憩所として使う」「涼しい音を聞かせる」など、さまざまなアイデアが飛び出します。ディスカッションを終えると、各チームがプレゼンテーションを行い、会場の投票で優秀なアイデアが選ばれました。

プレゼンテーションの様子
(ディスカッションからプレゼンテーションまで、すべて英語で行われた。)

そして夜はネットワーキングのための交流会。DJタイム、コーラスグループによる音楽、浜辺での花火などが行われ、会場は盛り上がりました。成功した方から一方的に話を聞くイベントはありますが、このキャンプは気軽に話せる貴重な機会になったようで、参加者からは「隣の人に話しかけたら、実はえらい方だったなんてことがよくありました(笑)」という声も。

2日目は、スタンドアップパドルやシーカヤックなど能古島の自然を活かしたアクティビティのほか、習字や染色などの日本文化体験、地元クリエイターによるTシャツ作成などのワークショップが開かれ、海外から来たゲストたちとのコミュニケーションを深めるプログラムに参加者たちは大満足の様子でした。

2018warakucamp05.jpg

「逆説(パラドックス)」。疑うことから何かが生まれる

今年から明星和楽の実行委員長を務める松口健司さんは、このキャンプでやりたかったことを、こう語ってくれました。
「今回のテーマは、『逆説』です。逆説とは、真理だと信じてきたことに疑いを持って考えること。これまでの環境や慣れた方法を見直し、新しい発想や価値を生み出していきたいと思いました。能古島でのキャンプという初の試みは、常識を捨てて、逆説的に価値を生み出せないかと考えた結果のチャレンジです」

実行委員長の松口さん

この挑戦に対して、福岡の次世代を担っていく大学生たちも、反応しています。

「明星和楽は、普段会えない人と会って繋がることができるので、注目しているイベントです。キャンプは周囲の人と協力しないとできないことが多いので、交流会や懇親会よりも親密になれた気がしました。自分が興味のなかった業界の人とも話せて、新たな発見がたくさんありましたね」(大学3年生の湯船武龍(ゆふね・たける)さん)

アクティビティの「スイカ割り」を楽しむ海外ゲストたち

海外からのゲストは、その後に行われたWARAKU SUMMITのセッションにスピーカーとして参加したほか、福岡のスタートアップによるピッチの審査員も務めました。キャンプという特別な体験を事前に共有したことで、サミットでの交流も深まった様子。

「事前にキャンプをして、お互いのキャラクターがわかるまで交流が深まっていたから、ビジネスの現場でも本音で話がしやすかったようです。お互いの拠点を行き来する約束が、いくつも取り交わされていましたね」(松口さん)

ビジネスシーンで活躍する大人から学生まで、立場も年齢も国籍も関係なく、皆が一体となることを目指したという今回のWARAKU CAMP。「異種交創」のテーマを体現する場となったこの試みが、また次の福岡の動きを作っていくのかもしれません。

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