平成28（2016）年2月28日、福岡・天神イムズ11階のクリエイター養成スクール・デジタルハリウッド福岡校にて「Adobe Design Jimoto in Fukuoka」が開催されました。

このイベントの主催はなんと、デジタル写真編集ソフト「Photoshop」やグラフィックデザインソフト「Illustrator」などなど、クリエイティブ業界のみならず多くの人がお世話になっているあのアドビシステムズ（以下、アドビ）。

アドビはもともと、世界70都市以上で「Creative Jam（クリエイターが当日発表されるテーマに沿って即興パフォーマンスしながら表現を競い合うイベント）」を運営しているのですが、このイベントにクリエイティブコミュニティ活動の一貫として“地元”という要素を掛け合わせ、地元に存在する課題をデザインの力で解決するライブ感満載のイベントを試みたのが今回の「Adobe Design Jimoto」なのだとか。

イベント発起人は、平成27（2015）年7月に東京で行われた「Creative Jam」を取り仕切った、Adobe Creative Cloudコミュニティマネージャーの武井史織さん。武井さんは、今回のイベントを福岡で開催することに決めた理由についてこう語ります。

「米本社のイベントを日本で展開するだけでなく、日本の地方から世界に発信するイベントを立ち上げたいという思いがありました。このイベントの“地元”というテーマを考えると、東京とは異なる文化圏や経済圏を築きながらクリエイターのレベルも高い福岡が、初回にふさわしい場所だったんです」

当日はまず、11時から全国区でも有名な地元クリエイター8チームとデジタルハリウッド福岡校の学生6チームが与えられたお題に沿って制作をスタート。

今回のお題は「外国人でもわかるバス停」。外国の旅行者を目にすることが増えてきた昨今、路線が複雑に絡み合い国内最大級の福岡のバスを外国人が使いこなすのは至難のワザ……。そんな福岡ならではの地域課題に、各界で活躍するクリエイターが挑みました。

13時からは一般のお客さんも入場可能になり、コンテンツプランナー眞鍋海里さんをはじめとする地元クリエイターを交えたトークが行われました。その間も、ふたつの別室スタジオではクリエイターチームによる制作が着々と進行中。制作の様子を自由に見学できることもあり、会場内は大盛況でした。

15時には制作が打ち切られ、そのままプレゼンテーションへ。出てきた作品は、お題に対して直球勝負したものから、お題そのものを覆すようなユニークなアイデアまでさまざま。作品だけでなくプレゼン資料までをたった4時間という制限時間内に準備するとあって、終了間際はピリピリと緊張感が漂いましたが、プレゼンでは一転して終始和やかな雰囲気。考え抜いたアイデアに歓声が上がるシーンも多く、ライブ感溢れるイベントとなりました。

気になる勝負の行方は・・・

参加者全員によるオンライン投票の結果、ビジュアル部門ではキャラクターデザイナーの谷口亮さんとWebデザイナー・ディレクターの西村宗倫さんによる「ディーゼロ推しメンチーム」、モーション部門ではモンブラン・ピクチャーズ株式会社の映像ディレクター・村上ヒロシナンテさんと映像ディレクター・猪口大樹さんの「mtblancチーム」がそれぞれグランプリを獲得。また、学生チーム賞には「ママグロースハッカーズチーム」が選ばれました。

前出・武井さんは、今回のイベントの手応えについてこう語ります。

「福岡の皆さんは、プレゼンテーションの技術が高く、作品もユニークで、おまけに地元愛がとても強いですね。東京や上海などのクリエイターが口を揃えて言っていた“いま福岡がアツい”という理由がわかった気がしました。今回、本当に多くの方々の協力を得て実現できましたが、継続的に実施するということが重要です。今後も、課題の洗い出しから地元の方々とともに行い、地域の課題解決という軸をぶらさずにスケールアップしていけたらなと思っています」

福岡で初回を開催し、確かな手応えを掴んだこのイベント。次はどの都市で開催され、どんな地元クリエイターが参戦してくれるのか、今後の展開が楽しみです。

今回のイベントで作られた作品は、下記のURLでぜひチェックを。
https://www.behance.net/gallery/34434261/Design-Jimoto-vol1-in-Fukuoka