福岡市では,自転車事故による被害者救済の観点等から「福岡市自転車の安全利用に関する条例(平成25年4月施行)」を一部改正し,自転車を利用中の事故により他人にケガをさせてしまった場合などに備えて,相手の生命又は身体の損害を補償できる保険(自転車損害賠償保険等)への加入が義務付けられることとなりました(令和2年10月施行)。
【義務化対象者】
(1) 自転車利用者
(2) 児童等(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者をいう。)が自転車の利用をする場合,その保護者
(3) 事業者(事業活動として従業員に自転車を利用させる者)
(4) 自転車貸出業者 ※福岡県への届出義務があります。福岡県ホームページ「自転車貸付業者の届出について」
また,自転車販売業者等には,購入者等に対し,保険加入等の責務の周知及び保険の情報提供等の努力義務が課されています。
【保険加入の確認等を行う対象者】
(1) 自転車販売業者
(2) 事業者(事業活動として従業員に自転車を利用させる者)
(3) 学校(小・中・高・特別支援)の設置者
補足1
福岡県においても,「福岡県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」が改正され,令和2年10月から自転車利用者等に自転車損害賠償保険等への加入義務が課されることとなりました。
補足2
自転車事故により生じた他人の財産の損害を賠償し,及び自身の傷害を補償する保険等への加入については,引き続き努力義務として規定されます。
近年,自転車が加害者となった事故で,高額の賠償金を命じられる事例が全国的に相次いでいます。
自転車を利用される方は交通ルールと条例を守り,自転車を安全に利用するとともに,もしもの事故に備えて,自転車損害賠償保険等に加入する必要があります。
賠償額(万円) | 事故の概要 |
---|---|
9,521 | 小学生が夜間,自転車で帰宅途中,歩行中の女性と正面衝突。 女性は頭蓋骨骨折等で意識不明の重体となった。 (神戸地方裁判所,平成25(2013)年7月判決) |
9,266 | 高校生が,自転車横断帯のかなり手前の歩道から車道を斜めに横断し, 対向車線を自転車で直進してきた会社員と衝突。 会社員に重大な障がい(言語機能の喪失等)が残った。 (東京地方裁判所,平成20(2008)年6月判決) |
6,779 | 男性が夕方,ペットボトルを片手に下り坂をスピードを落とさずに走行し交差点に進入, 横断歩道を横断中の女性と衝突。 女性は脳挫傷等で死亡した。 (東京地方裁判所,平成15(2003)年9月判決) |
5,438 | 男性が昼間,信号表示を無視して高速度で交差点に進入,青信号で横断歩道を 横断中の女性と衝突。 女性は頭蓋内損傷等で死亡した。 (東京地方裁判所,平成19(2007)年4月判決) |
自転車事故の保険等には,個人賠償責任保険やTSマーク付帯保険など,多くの種類があります。
自転車事故の保険等の種類 | 保険の概要 | |
---|---|---|
個人賠償責任保険 | 自転車利用者向け保険 | 自転車事故に備えた保険 |
自動車保険の特約 | 自動車保険の特約で付帯した保険 | |
火災保険の特約 | 火災保険の特約で付帯した保険 | |
傷害保険の特約 | 傷害保険の特約で付帯した保険 | |
団体保険 | 会社等の団体保険 | 団体の構成員向けの保険 |
PTAの保険 | PTAや学校が窓口の保険 | |
共済 | 全労災,その他共済など | |
TSマーク付帯保険 | 自転車安全整備士が点検整備した自転車に付帯した保険 | |
クレジットカードの付帯保険 | クレジットカードに付帯した保険 |
自転車事故の保険等の種類 | 保険の概要 |
---|---|
施設所有者賠償責任保険 | 業務遂行中,利用者(借受人)の事故に備えた保険 |
TSマーク付帯保険 | 自転車安全整備士が点検整備した自転車に付帯した保険 |
保険取扱事業者の案内については,福岡県のホームページをご確認ください。
福岡県ホームページ「自転車保険(自転車損害賠償保険)に加入しましょう」
自転車事故の保険等(自転車損害賠償保険等)の加入状況について,下記のフローを使って確認してみましょう。
Q1.義務化の対象者は誰ですか?
Q2.義務化されるのは,市内在住の者だけですか?
Q3.義務化される保険はどのようなものですか?
Q4.なぜ義務化するのですか?
Q5.保険未加入者への罰則は規定されているのですか?
Q6.自転車を利用しないのですが,保険に加入しなければなりませんか?
Q7.事業活動において従業員に自転車を利用させている事業者ですが,従業員全員が個人で保険に加入している場合,事業者向けの保険に加入する必要がありますか?
Q8.現在加入している保険が,条例で加入が義務付けられた保険かどうかが分からないのですが?
義務化の対象となるのは,下記のとおりです。
(1) 自転車利用者
(2) 児童等(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者をいう。)が自転車の利用 をする場合,その保護者
(3) 事業者(事業活動として従業員に自転車を利用させる者)
(4) 自転車貸出業者
福岡市内で自転車を利用する方が対象となります。
よって,市外から通勤通学や買い物等で福岡市に訪れる方も対象となります。
自転車の利用に係る事故により生じた他人の生命又は身体の損害を賠償するための保険又は共済(自転車損害賠償保険等)が義務化となります。
その他,他人の財産の損害を賠償し,及び自身の傷害を補償するための保険への加入については,これまで同様に努力義務として規定されています。
近年,自転車利用者が加害者となる事故の損害賠償において,加害者側に高額な賠償命令が出ていることなどを踏まえ,被害者の救済の観点から,自転車損害賠償保険等への加入を義務化するものです。
罰則規定はありません。
自転車損害賠償保険等については,人(利用者)にかけるものから,車両(自転車)にかけるものなど,種類が多岐にわたるため,未加入者を把握し公平に罰則を適用することが困難であることなどから,罰則規定は設けていません。
自転車を利用されない場合は,義務化の対象外となりますので,加入の必要はありません。
ただし,福岡市内で自転車を利用する児童等(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者をいう。)を監護する保護者は,当該児童等を被保険者とする保険への加入義務があります。
事業者向けの保険への加入が必要です。
個人向けの保険である個人賠償責任保険などについては,業務で自転車を利用中に発生した事故は補償されません。事業活動において従業員に自転車を利用させる場合は,事業者向けの保険(施設所有者賠償責任保険等)への加入が必要となります。
既に義務化対象の保険に加入している可能性もありますので,加入状況の確認フロー図による確認や,現在加入している保険証券をご用意のうえ保険会社等へお問合せいただくなどにより,ご自身の加入している保険の内容を把握していただきますようお願いいたします。
市民局生活安全部防犯・交通安全課
住所:福岡市中央区天神1丁目8-1
電話番号:092-711-4061
FAX番号:092-711-4059