2021年開催となった「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」。福岡市では、大会直前にスウェーデン選手団と、ノルウェー選手団が事前キャンプを実施することが決まっています。
このページではスウェーデンとノルウェーに関する写真やトリビアをお届けします。
幸運を呼ぶといわれる伝統工芸品のダーラヘストは、スウェーデン中部ダーラナ地方に伝わる色彩豊かな木彫りの馬のことで、その起源は400年前ほど前にまでさかのぼります。日本では英語読みでダーラナ・ホースとも呼ばれていますが、任天堂のゲーム『あつまれ どうぶつの森』の住人にとっては、スウェーデン語のダーラヘストという呼称の方が馴染みがあるのではないでしょうか。
(c)2020 Nintendo
任天堂のゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」に登場するダーラヘスト
スウェーデン語でダーラ(Dala)はダーラナ地方、ヘスト(häst)は馬を意味します。つまりダーラヘスト(Dalahäst)は、ダーラナ地方の馬。当時、農耕や交通の手段としてとても貴重な存在だった馬を木彫りのモチーフしたのだと考えられています。もとは子ども用の玩具として厳しい冬の期間に制作されていたダーラヘスト。それぞれの村ごとに色や形などデザインに特徴があり、今ではスウェーデンを代表する工芸品となっています。
2019年10月14日、福岡市で実施された、東京2020パラリンピック競技大会の事前合宿に関する福岡市×スウェーデンパラリンピック委員会MOU(基本合意書)締結の調印式にて、SPC事務総長(当時)のヨハン・ストリード氏(Mr. Johan STRID)から、記念品として赤いダーラヘストが市長へ贈られました。
今や世界中で愛されるダーラヘストは、愛好家たちの間では高値で取引されることもあるようです。
これが実写版!ノルウェーの森
多くの物語を持った謎多き城 スウェーデンのオレブロ城
作者: スティーグ・ラーソン(Stieg Larsson)
1954年8月15日~2004年11月9日
スティーグ・ラーソンとパートナーのエヴァ・ガブリエルソンによる推理小説で、「ドラゴン・タトゥーの女」「火と戯れる女」「眠れる女と狂卓の騎士」からなる三部作です。作品は30か国語以上に翻訳され、全世界で800万部以上を売り上り上げる大ベストセラーとなりました。
1作目の『ドラゴン・タトゥーの女』では、社会派ジャーナリストのミカエル・ブルムクヴィストが、大物実業家の不正取引を糾弾する記事に対する名誉棄損裁判に敗れ多額の賠償金を背負い、社会的信用も失ったところから物語が始まります。失意の中で請け負った、未解決失踪事件の調査を進める過程で、背中にドラゴンのタトゥを持つ天才ハッカーのリスベット・サランデルと出会い、2人で協力しながら、わずかな手掛かりを追って突き止めた事件の真相と真実……。日本語翻訳版は、上下巻に分かれてかなりのボリュームですが、二転三転して最後まで気を抜くことができない壮大なストーリー展開に、ページを繰る手が止まらなくなります。
2・3作目は、リスベットの壮絶な過去と彼女の家族にまつわる陰謀のサスペンスです。歴史的・政治的な背景を織り交ぜつつ描かれるのは、IKEAに代表されるようなおしゃれなイメージとはかけ離れたスウェーデンの姿ですが、1作目と同様に、最後まで読者を飽きさせることはありません。あとがきやネットの情報によると、「女性に対する蔑視および暴力」がミレニアム三部作全編を通したテーマとなっているようです。
ラーソンは執筆途中で心筋梗塞に倒れ、作品の出版とその後の成功を見ることなくこの世を去りました。出版社は人気作品の続編の刊行を決定し、ノンフィクション作家のダヴィド・ラーゲルクランツに続編の執筆を依頼し、2019年に新たな三部作が完結しました。
福岡市図書館に全シリーズそろっています。ご興味のある方は、年末年始のステイホームのお供に読んでみてはいかがでしょうか。
ノルウェーの生活費は,世界で3番目、西ヨーロッパにおいても,アイスランド,スイスに次いで3番目に高いといわれています。各国の物価や生活情報等を取りまとめる調査会社NUMBEOによると,ノルウェーの生活費は,日本と比較して約16%高く,住宅家賃は約26%高くなっています。
例えば,市販のミネラルウォーター(500ml)1本の値段は約350円,コーラ(350ml缶)が約370円,カフェのカプチーノ(レギュラーサイズ)1杯が500円程度です。外食では,ファストフードのセットメニューは約1,500円,ビジネス街でのランチ(飲み物付き)の相場は2,000円を超えるようです。一般的な住宅街では,家具付き住宅(85平方メートル)の家賃は1ヵ月約160,000円,ワンルームマンション(45平方メートル)の家賃は約130,000円となっています。
ノルウェーでは,物価が高い分福祉サービスも充実している上に給料も高いため,スウェーデンなどの近隣国から,わざわざノルウェーに出稼ぎに行く労働者もいるとか。
※ノルウェークローネ:1kr (NOK) = 12円
フィーカ(fika)とは、スウェーデン語でコーヒーを飲みながら休憩することを意味しますが、スウェーデン人は、フィーカを単なるコーヒー・ブレイクと解釈されるのを好みません。
家族、友人、恋人、仲間、同僚などと、甘いお菓子とコーヒーを囲んで20~30分ほど談笑するひと時は、彼らには欠かすことのできない大切な時間で、職場でも10時と15時にフィーカの時間を設けているところが多いことからも、フィーカが生活に深く根付いている生活慣習であることがわかります。フィーカ・タイムを共にすることで、絆が深まると信じられています。
スウェーデン人一人当たりのコーヒー消費量は世界トップクラスといわれ,フィーカでも,飲み物といえばコーヒーですが,年代や好みに応じてホットチョコレート,紅茶やジュースなども飲まれています。そして,フィーカに欠かせないのが甘いお菓子。一番人気は,スウェーデンが発祥といわれるシナモンロール(Kanelbulle)で,他にクッキーやケーキなどの焼き菓子,オープンサンドなどの軽食もテーブルに並べられるようです。
フィーカは,コーヒーを意味する“kaffi”のスラング。19世紀に音節を逆にする倒語現象で,kaffiが“fika”になったといわれています。
一家に一台ワッフルメーカーが置いてあるくらい,ノルウェー人にとってワッフルは身近なスイーツ。実際,2019年11月の女子ハンドボール世界選手権大会前の福岡市事前合宿では,わざわざ自宅から持参したワッフルメーカーを使って,チームリーダーが選手たちにワッフルを振舞っていました。もちろん選手たちは大喜び!
生地は小麦粉・卵・牛乳・ヨーグルト・砂糖・ベーキングパウダーなど,一般的なワッフルとほぼ同じですが,挽きたてのカルダモンを混ぜて香り付けをするのがノルウェー流。
ノルウェー・ワッフルは,5枚のハートが重なりあった花のような形をしています。よく熱したワッフルメーカーにバターを引き,生地を流し入れて蓋を閉めたら数分で焼き上がります。ベルギー・ワッフルとは違って,焼き上がりは薄くモチモチとした食感がたまりません。
スライスしたオレンジ,ハチミツ,サワークリーム,ブルノスト(brunost)という茶色で甘めのヤギのチーズ,コケモモジャムなどをトッピングして食べるのが定番です。
オスロ市内中心部にあるノルウェーの国会議事堂
ヴィーゲラン彫刻公園
ザリガニ・パーティは,8月のはじめから9月にかけて,家族や友人同士で楽しまれる夏の終わりの風物詩。主役のザリガニは,生きたまま鍋に入れ塩とたっぷりのクラウン・ディルで茹でた後,冷ましておく。付け合わせの定番は,パンに熟成したヴェステルボッテンチーズ (Västerbottensost) のスライスを乗せたもので,このチーズを使ったキッシュも人気。ビールやシュナップス(蒸留酒)をお供に。
ザリガニをモチーフにしてパーティをセッティングする。ザリガニをあしらった紙製ランチョンマットなどでテーブルを飾り,参加者は紙製の三角帽とエプロンを身に着ける。手指が汚れるので,紙ナプキンや,レモン水を入れたフィンガーボウルも用意しておいたほうが無難。天井からは「月の男」と呼ばれる顔の提灯飾りを下げる。
お皿にきれいに盛り付けられた,ザリガニを手でつかみ,茹で汁をすすった後,身をひねり取って食べる。殻の中の濃厚なミソも忘れずに。音を立ててザリガニを食べるのはマナー違反ではない。身はフォークを使っても,手づかみで食べても構わない。
パーティではまた,伝統的な乾杯ソング『ヘランゴー (Helan Går)』を歌う。参加者は,歌の途中で乾杯を意味する「スコールSkål」の掛け声とともにシュナップスを飲む。”Helan går”とは「全部飲み干せ」の意味で,パーティの間,この’乾杯’を何度も繰り返す。
スウェーデンのザリガニ食の歴史は古く,16世紀にまでさかのぼる。当初は貴族階級が好んで食べていたが,18世紀に入り,広く庶民の口にも入るようになった。現在のようなザリガニ・パーティの形式をとるようになったのは1960年代に入ってから。現在では,ベジタリアンやヴィーガンに配慮した,アーティチョークや豆腐,トマトキッシュなどを食べる”ザリガニ・パーティ”も行われている。
メーラレン湖から眺めるスターズホルメン島の旧市街ガムラスタン (Gamla stan)
1912年ストックホルムオリンピックの開催のために建設され,日本がアジアで初めてオリンピックに参加した大会です。ご存じマラソンの金栗四三のドラマがこの大会で生まれました。