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更新日:2024年8月30日

共働事例インタビュー「NPOと行政機関」

ニエンテの山川さん

Niente 山川さん

フリースクールで子ども達が餃子を作る様子

フリースクール講師活動、料理教室の様子


インタビューした方のご紹介

  • Niente(ニエンテ) 山川さん

ひきこもりの経験をもつ山川さんは、その経験を生かしひきこもり当事者の居場所づくりの活動を行っています。活動を始めるにあたり、行政との共働の相談窓口「共働テーブル」や福岡市NPO・ボランティア交流センター(愛称:あすみん)に相談したことで、関係各所との繋がりが徐々に生まれてきています。
これから共働を始めていく山川さんに、共働テーブルを利用したきっかけや「行政との共働」についてお話を伺いました。
(令和5年11月21日 インタビュー実施)



Q共働テーブルについてはどこで知りましたか。

・「あすみん」で知りました。ひきこもりの経験を活かして、ひきこもり当事者のために何かできないかと思い活動を始めました。その際、解決に至らなくても、当事者に寄り添い、何かお手伝いできることはないかという支援を行うことを目指そうと最初に決めました。解決に向けた支援は行政や専門家が行っているので、どうやってそこに繋げていけばいいかを「あすみん」に相談したところ、「共働テーブル」を紹介していただきました。


Q「あすみん」とは最初から繋がりがありましたか。

 ・「あすみん」に初めて訪れたのは、2022年3月に春日市の女子高生たちが制作した映画『今日も明日も負け犬』の上映会を観に行った時です。それまでは「あすみん」の存在を知りませんでした。この映画を観て、ひきこもりの経験を活かして何かできることはないかと思い、地元の春日市役所に電話をしました。そこで、福岡県ひきこもり地域支援センターを紹介してもらい、さらに「楠(くす)の会」というひきこもりの親の会を教えていただきました。「楠の会」の福岡での集まりが「あすみん」で行われていたので、それ以来、月に一度くらい「あすみん」に足を運ぶようになりました。そこで、ポスターやチラシを見てボランティアやNPOの活動に興味を持ち、少しずつ「やってみようかな」と思うようになりました。そして、いざ活動を始めようと思った時、「あすみん」には学ぶ場がたくさんあると感じました。

 

Q共働テーブルを利用してどうなりたかったか。利用しようと思った理由はなんですか。

・繋がり先を探す際に、公益性のある団体と繋がる方が、活動内容とも親和性が高いのではないかと考えました。行政や医療、福祉などとバランスよく繋がることで、活動を進める際にさまざまな方々に対応できたり、適切な支援先を紹介できるのではないかと思ったのです。しかし、繋がり先を知らなかったことや、自分だけで繋がり先を開拓する方法がわからなかったため、まずは共働テーブルの力を借りて、自分たちの活動に適した繋がり先を見つけたいと考えました


Q共働テーブルを利用して良かったところはありますか。

・一番良かったと感じたのは、「繋がろうとしてもいいんだ」と思えたことです。私にとって、福岡市のひきこもり成年地域支援センターなどの行政の支援機関は、まるで雲の上の存在のように感じていました。でも、共働テーブルに相談した際、福岡市の市民公益活動推進課の職員の方が一緒に相談に行ってくださると聞いて、自由に繋がっていいんだと、可能性が広がりました。

・もう一つ良かったのは、実際に繋がってみたものの、共働に至るにはまだまだ実績が不足していると感じた時でも、「また共働テーブルに相談すればいい」と思えたことです。そのおかげで、挫けずに済んだという部分もあります。自分の活動はまだ小さなものですが、それでも応援してくれる人がいるんだと思えることが、心の支えになりました。共働テーブルのように、市民活動を行いやすい環境を作っている部署があるというのは、福岡市が市民活動を応援している証だと思っています。


Q共働テーブルがもっとこうなったらいいなと思うことはありますか。

・「あすみん」は、ふらっと立ち寄れる綺麗な公民館のような感じで、利用しやすい雰囲気がありますが、「福岡市市民公益活動推進課」という名前を聞くと、途端に利用しづらい印象を受けることがあります。よほどしっかりとしたプランを練っていかないと、何か指摘されるんじゃないかと構えてしまう気持ちがあるんです。でも、実際にはそんなことはないですよね。だから、もう少しカジュアルな雰囲気や、活動内容を紹介する事例があると、利用しやすくなるかもしれません。


Q(共働について)共働の価値やメリットをどこに見出していますか。

・共働の一番のメリットは、自分が苦手な部分をカバーしてもらえることだと思っています。例えば、私の場合、ひきこもりの経験はありますが、心理学や社会保障の制度、医療については全くの素人です。そうした分野にまで手を出してしまうと、知識がないまま発言してしまい、混乱する可能性が高いです。しかし、自分の体験談を伝えたり、当事者の気持ちに寄り添うことに集中できるのは、共働によって他の団体や専門家の助けを借りられるおかげです。このように、共働は非常に大きなメリットとなっています。

・また、共働によって団体としての信頼性も高まると感じています。例えば、全国のひきこもりの家族連合会である「楠の会」と共働することで、参加者に安心感を提供できていると実感しています。発足してまだ1年未満の団体でも、長年活動している団体と共働することで、非常に大きな恩恵を受けることができています。


Q共働テーブルに相談にこられた後、ご自身でアプローチして相談に行ったところはありますか。

・例えば、「福岡ひきこもり」で検索して出てくる公的な場所には、ほとんど足を運びました。

・ひきこもり経験者として「何かお手伝いできることはありませんか」と伝えると、多くの場所で会っていただけました。ただし、何か一緒に活動することはほとんどありませんでしたが、繋がりを持つことはできました。その後も、活動の報告を定期的に送り続けていたら、一緒に活動できる場所も少しずつ増えてきました。


Qこまめにブログを更新されたり、事業を実施した後に、報告が写真付きで載っていることはすごいと思います。

・実益を兼ねて、自分の活動記録としても役立ちますし、いずれ報告する際にも使えると思って、最初から意識して取り組んでいました。毎週月曜日をホームページ更新の日と決めていて、どんなにネタがなくても必ず更新するようにしています。こういったことは、しようと思っていても続かないことが多いので、曜日を決めて必ず更新することを心がけています。ひきこもりの時や親の介護のために家族会を調べていた時に、活動はしているけれどホームページが止まっているところが多く、ホームページが常に更新されていることが意外と大事だと感じました。


Q共働するうえで必要なこと、ポイントなど感じることはありますか。

・恐れずにとにかく繋がることだと思います。最初はあまり人を選ばず、まずは繋がってみました。今、自分にできるかどうかは一旦置いておいて、まずは共働できないかを探ることが大切だと感じています。一緒に話を聞いたり、ただ喋るだけでも、その後の共働に繋がることがあるので、先入観を持たずに、お話の機会には積極的に参加するようにしています。実際、最初は「ここは違うかな」と思った場所が、後から実は良かったということが多々ありました。自分の専門分野だけでなく、広い視野で様々な人たちと話をすることが、結果的に良い方向に繋がるのだと感じています。


Q活動を実施する上でモチベーションを維持する方法はありますか。

・人から感謝されることをモチベーションにしているわけではないんです。むしろ、それだとしんどくなりそうな気がします。私が大切にしているのは、まず自分がやっていて楽しいかどうかです。また、本当は得意ではないけれど、やった方がいいこともありますが、そういったことには手をつけていません。自分が苦手な部分が少ない活動を選ぶことで、モチベーションが下がらずに続けられていると感じます。苦手なことが団体運営において発生しないような設計にしている点が、一番良い方法だと思っています。


Q今後共働したいと考えている方に向けて、何かひとこと。

・ノウハウを持っている人の力を借りることは、非常に重要だと思います。そうすることで、活動の難易度が一気に下がるんですよね。「あすみん」や市の市民公益活動推進課の職員の方々は、同僚でありながら上司のような役割を果たしてくれるので、これから団体を立ち上げようと考えている方には、ぜひその力を上手に活用してほしいです。客観的なアドバイスをいただけるのも大きなメリットです。