福岡市立の中学校で、学校の放送設備を使い、在校生が「ラジオネーム」で寄せた声をラジオパーソナリティ兼タレントの椎葉ユウさんが本物のラジオ番組のように紹介。
「悩み相談」、「推しの先生」、「体育大会へ向けて」、「卒業」など様々なテーマについて、普段伝えられないような多様な価値観や悩みを相談・共有し、学校に来ることを楽しいと感じてもらうことで、いじめ防止や学校での居場所づくりの一端を担っています。
体験した生徒からは「投稿した内容をきっかけに友達ができた」、「自分とは違う考えを知ることができた」、「匿名なので普段は言えないことが言えた」などの声が聞かれ、現在では、福岡市内の中学校、約10校で、それぞれの学校の特徴を活かした「校内ラジオ」が広がりを見せています。
校内ラジオは2020年、コロナ禍に誕生しました。当時、椎葉さんが公民館にラジカセを持ち込んで曲を流したり、メッセージを読んだりしながら人権に関するイベントを行っているのを見て、瀧田校長(当時、香椎第2中学校校長)が、自身の学校でも人権学習の一環として「ラジオっぽく柔らかく講話をしてほしい」と依頼。その直後、コロナ禍により全校生徒が集会することができなくなり、「じゃあ、集まらずに各クラスで聴けばいいから放送室使いますか」、「それってもうラジオですね」の会話から誕生しました。
高島市長が板付中学校の「校内ラジオ」へ参加しました
当日は、ひとつ目のコーナー、「これしか勝たん」から始まり「板中のここがイイ」へ突入、リクエスト曲紹介後に高島市長がスペシャルゲストとして、校内ラジオへ参加しました。
板付中学校の生徒達から、まずは一問一答で市長個人への質問。
「中学生の頃、一番苦手だった教科は何ですか」、「たくさんの前で話すとき、大切にしていることは何ですか」、「どんな趣味を持ってますか」などの質問が出ました。
高島市長は、「普段、個人への質問を聞かれることはないんですよね」と大きく一呼吸。
続いて、市政に関する質問は少し時間をかけて質問していました。
「市長になろうと思ったきっかけは何ですか」、「子どもの医療費の負担が減るなど、子育て世代の人々を助けてくれるのはなぜです
か」、「これまでの活動で特に大変・困難だったことは何ですか」といった質問が出ました。
市長は、子育て世代や次世代を担う人々へ還元することは未来の福岡に繋がること、そして、天神ビッグバンなど色々とチャレンジをするのは、経済が元気になることで増えた税収で、全小中学校へのエアコン設置が可能になったり、第2子以降の保育料が無料にできたり、全ての家庭へおむつ等を届けたりといった様々な施策を行うことができることと都市の成長がもたらす生活の質の向上について回答しました。
また、大変だったことの1つとして、福岡市動物園へゾウが来園するまでの苦労話など、普段は聞けない話に生徒達はじっくり放送に耳を傾けていました。
最後は板付中学校の生徒達へ「成功の反対は失敗ではない、成功の反対は挑戦しないこと。だから、どんどんチャレンジして欲しいと思います」とエールを送りました。
(校内ラジオを体験して)
市長
ラジオを始めてみて、みんなのリアクションとか、始めて良かったなって思うことはどういうところですか。
生徒
ラジオって私たちの世代は聞くことがないし、テレビも離れてる感じがあります。普段はインターネットで自分が調べたいものだけ調べるという感じですが、ラジオの曲紹介で知らない曲を知ったりして、色々なものと繋がることですごく視野が広まったなって思います。
市長
自分が選んだ情報じゃないことまで耳に入ってくるから色々知れるよね。
生徒
僕も今日、僕のラジオネーム「ダジャレキングの再来」が呼ばれてめちゃくちゃ嬉しかったです。
市長
昔はインターネットがなかったので、簡単に意見を送れなかったよね。でも、そうやって読まれた快感を覚えて、ハガキにラジオネームとかペンネームとか書いて、ラジオ番組にずっとハガキを送ってた「ハガキ職人」っていう人がいたんだよ。それを追体験できたっていうのは、なかなか面白い経験だね。
生徒
私も匿名っていうところがいいなと思うんです。自分の意見を他の人が言ってくれるから、自分の名前が出ることが恥ずかしい人でも自分の意見を言える。だから色々な人の意見が聞ける。意見の幅が広がるみたいな感じがします。
市長
そうですよね。
そういえば、「いじめゼロサミット」がスタートした頃、参加者の1人が「学校で良かったことやあの人がこういうことをして素晴らしいといったことをみんなに聞かせたい、みんなでシェアしたい」って言ってるのを聞いて、すごくいいと思ったから福岡市全体にも広げたいと思って、市政だよりの中に、「ハッピーボックス」っていう市民の方から良かったことや嬉しかったことを投稿してもらうコーナーを作ったんだよね。
市長
番組の中で人気コーナーはできてるんですか。
椎葉さん
板付中学校は今日は2回目なので、まだ模索中ですね。1回目は、うちはこんなクラスですよとか、あの先生はこうですよとか、クラスや先生のことが多かったんですよ。今回は2回目なので、「板中の良いところ」や「やり直したいこの後悔」みたいなネタ的なものも入れました。3回目は冬だから、多分、卒業前のありがとうみたいな感じですかね。
瀧田校長
感謝や感想、思い出とかですかね。3学期は職員と保護者にもアンケートをとって、保護者の意見も少し読んでもらおうかなと思っています。
椎葉さん
僕が学校へこれどうですかというより、学校ごとに校長先生や先生、生徒会や実行委員とかが、こういうことをやりたいっていうのがありますね。体育大会前だったら、みんなで気持ちを1つに盛り上がりたいからその思いを書かせようかとか、ゲストにブロックリーダーを呼ぼうとか。学校の思いや課題などを受けてから僕はアドバイスみたいな。1つは何でも言いたいことや悩みを書いてねというのが多いですね。
(これからラジオでやりたいこと)
市長
これからどんなことしたいとか、やっていきたいことありますか。
生徒
これがあって本当に良かった、生きてて良かったみたいなことをみんなと共有できたらなお楽しいかなと思います。
椎葉さん
誰かがすごく良いことしてて、こっちも温かくなったみたいなね。聞いてる人は誰が書いたか知らないんだけど、みんなで共有すると、温かい気持ちになってるからね。
生徒
自分もその当事者の思いになったりとか。
生徒
3年生が3年生に良かったと言ってもそれはあまり意味がないというか。でも職員や保護者とか周りの人が良かったよと言ってるとか、大人の意見を取り入れることで、3年生の受験とかにも繋がってくるのかなと思います。
市長
なるほど。
自分も当時、勉強つまらなくて苦手だったし、例えば数学を解いて答えが出たとしても、問題変わった時点で答えも変わるし、どうしてやってるのかなと思ってたんだけど、後になってから、数学を頭で訓練しておくと物事を考えたりする時に、これがこうということはこうなるんだと論理的に考える思考を訓練していたんだというようなことが分かって。あの時の勉強はこういうところに役立ってたんだと。
あと証明も。数学で1つずつAはBであると証明していくことは、実際の人間社会やビジネスをしていく上で、人に証明や説明する時の順序だてとかに役立つんだなと思って。社会や理科も後になって、あの時の意味ってこうだったんだとか。今はそのトレーニングをやってるって思ってやるといいかなと思うね。
市長
校内放送する上で何か気をつけていることはありますか。
生徒
自分だけが書きたいことじゃなくて、それを聞いている人たちも、嬉しくなったり共感できる、みんなが楽しめるようなことを書くようにしてます。
市長
素晴らしいね。ネタキングのネタ聞いてみたいな。あとは。
生徒
自分にあったエピソードにプラスしてみんなが面白くなるような内容とか。
(この先の板付中学校)
市長
これからラジオを使ってどんな板付中学校にしていきたいと思いますか。
生徒
実際だったら恥ずかしくて言えないことが言える場なので、色々な人の意見を聞いてまとめて、たくさんの人の意見が通るよういい方向にやっていきたいです。
生徒
このラジオで学校に来るのが楽しみになったり、ラジオの面白いコーナーで学校全体の仲が深まったり、活気が出たりしたらいいかな。
生徒
次回、冬にもあるので気持ちを共有して、板付中学校良いところとか、みんな一人一人思うことがあると思うので。
そして、日常に潜んでるありがたいことに気づけるように情報共有していけば、より良くなっていくかなって思います。
市長
確かにそうですね。素晴らしい。
一対一で話すのが得意な人もいれば、書くことが得意って人もいるしね。全校生徒全員に聞いてもらえるっていうのは、ラジオの強みなので、この良さをもっと発見して、椎葉さんのプロフェッショナルな力をお借りしながら、素敵な板付中学校にしてください。
椎葉さん
校内ラジオはライフワークだと思ってるので、色んな学校でお呼びがかかればいいと思っています。
瀧田校長
子ども達がすごく考えて発表してくれるので本当に嬉しかったですね。もっともっと学校を活気づけたり変えていくのは、みんなの力だと思ってるんで。先生たちは君たちをサポートするっていうことが仕事だと思ってるからね。どんどん発信して頑張って行きましょう。
市長
今日は、みなさんありがとうございました。