子どもの予防接種
発熱,のどの痛み,犬の吠えるような咳などの症状があり,のどに厚い膜を作り窒息死することもあります。現在では,患者発生数は年間0~1名程度ですが,ジフテリアは感染しても10%程度の人に症状が出るだけで,残りの人は症状が出ない保菌者となり,その人を通じて感染することもあります。
普通のかぜのような症状で始まりますが,続いて咳がひどくなり,顔をまっ赤にして連続的にせき込むようになります。乳幼児は咳で息ができず唇が青くなったり(チアノーゼ),けいれんが起きることがあります。肺炎や脳症などの重い合併症を起こし,乳児では命を落とすこともあります。
土の中にいる破傷風菌が,傷口から人の体内に入ることによって感染します。菌の出す毒素のために,口が開かなくなったり,けいれんを起こしたり,死亡することもあります。患者の半数は本人や周りの人では気がつかない程度の軽い刺し傷が原因ですが,土中に菌がいるため,感染する機会は常にあります。
「小児マヒ」とも呼ばれ,日本でも1960年代前半までは流行を繰り返していましたが,現在は,予防接種の効果で国内での自然感染は報告されていません。しかし,現在でもインド,パキスタン,アフリカの一部などではポリオの発生が見られることから,これらの地域で日本人がポリオに感染したり,日本にポリオウイルスが入ってくる可能性があります。
ポリオウイルスはヒトからヒトへ感染します。感染した人の便中に排泄されたウイルスが,口から入り喉又は腸に感染します。ほとんどの場合は,症状が出ず,一生抵抗力(終生免疫)が得られますが,ウイルスが血液を介して脳・脊髄へ感染が広がり,麻痺を起こすことがあります。ポリオウイルスに感染すると100人中5~10人は,発熱,頭痛,嘔吐などかぜに似た症状があらわれます。また,感染した人の中で,約1,000~2,000人に1人の割合で麻痺を起こすことがあります。一部の人には,その麻痺が永久に残り,麻痺症状が進行すると呼吸困難により死亡することもあります。
乳幼児の細菌性髄膜炎を起こす細菌はいくつかありますが,原因の半分以上を占めているのが「インフルエンザ菌b型」という細菌で,通称「ヒブ」といいます。ヒブは,せきやくしゃみなどを介して鼻や喉から体内に侵入しますが,そのほとんどは症状を起こしません。しかし,まれに鼻や喉で増えたヒブが血液中に入り込み,細菌性髄膜炎,肺炎,喉頭蓋炎,敗血症などの重篤な全身感染症を引き起こす場合があります。
ヒブによる細菌性髄膜炎(ヒブ髄膜炎)は,5歳未満の乳幼児がかかりやすく,特に2歳未満での発病が多いようです。年間約600人が発症し,その約5%が死亡,約25%が発育障害や聴力障害などの後遺症が残るといわれています。
これから接種を開始する人は5種混合ワクチンの接種が基本となります。ただし、すでに4種混合ワクチン、ヒブワクチンの接種を開始している人は原則として同一ワクチンで接種を完了させることとなっております。
(標準的な接種方法)
初回として、生後2か月から6か月までに接種を開始し、20日以上の間隔をおいて3回接種します。その後、6月~18月の間隔をおいて、追加として1回接種します。
【副反応】
主な副反応は、接種部位の紅斑、硬結、腫脹、発熱、気分変化、発疹、食欲減退、嘔吐などが報告されています。また、重大な副反応ではショック、アナフィラキシー、血小板減少性紫斑病、脳症、けいれんなどが報告されています。
・4種混合ワクチン
(標準的な接種方法)
1期初回として、生後2~11か月に、20~56日までの間隔をおいて3回接種します。その後12~18月の間隔をおいて(最低6か月以上)、1期追加として1回接種します。
また,4種混合ワクチンに代えて,ジフテリア・百日せき・破傷風を予防する3種混合ワクチンと不活化ポリオワクチン(単)の接種を受けることもできます。
生後2か月~7歳5か月の間であれば,過去に生ポリオワクチンを受けそびれた人も,不活化ポリオワクチン(単)の定期接種を受けることが可能です。
【副反応】
4種混合ワクチンの臨床試験において,承認時までに得られた主な副反応は,接種部位の副反応として注射部位紅斑,注射部位硬結,注射部位腫脹など,注射部位以外の副反応として発熱,気分変化,下痢,鼻漏,咳嗽,発疹,食欲減退,咽頭紅斑,嘔吐など見られました。また,重大な副反応では,極めてまれにショック,アナフィラキシー様症状,血小板減少性紫斑病,脳症,けいれんなどが3種混合ワクチンで報告されています。
・ヒブワクチン
(標準的な接種方法)
生後2か月になったら,27~56日の間隔をおいて,初回の3回接種します。その後7~13月の間隔をおいて追加の1回接種します。
※標準以外の接種方法については,「福岡市の予防接種」をご参照ください。
【副反応】
主な副反応は,接種部位の反応として,発赤,腫脹,硬結,疼痛など,接種部位以外の副反応として,不機嫌,不眠傾向,食欲不振,下痢,嘔吐などが報告されています。
また,重い副反応として,ショック,アナフィラキシー様症状,けいれん,血小板減少性紫斑病があらわれることがあります。
(標準的な接種方法)
11歳になったら、ジフテリア・破傷風を予防する2種混合ワクチンを1回接種します。
【副反応】
注射部位の発赤・腫脹(はれ)、硬結(しこり)などの局所反応が主で、7日目までに約30.4%認められます。硬結(しこり)は少しずつ小さくなりますが、数ヶ月残ることがあります。特に過敏なお子さんで肘をこえて上腕全体がはれることがまれにあります。通常高熱は出ませんが、接種後24時間以内に37.5℃以上になった子が約0.1%あります。重い副反応はなくても、機嫌が悪くなったり、はれが目立つときなどは医師に相談してください。
麻しんウイルスの空気感染・飛沫感染・接触感染によって起こります。感染力が強く,発熱,せき,鼻汁,めやに,発しんを主症状とします。ウイルスに感染後,無症状の時期(潜伏期間)が約10~12日続き,その後,症状が出始め,最初3~4日間は38℃前後の熱で,一時熱が下がりかけたかと思うと,また39~40℃の高熱と発しんが出ます。高熱は3~4日で解熱し,次第に発しんも消失しますが,しばらく色素沈着が残ります。主な合併症としては,気管支炎,肺炎,中耳炎,脳炎があります。麻しんにかかると数年から10数年経過した後に亜急性硬化性全脳炎という重い脳炎を発症することがあります。(約10万例に1~2例発生)麻しんにかかった人のうち数千人に1人の割合で死亡することがあります。
風しんウイルスの飛沫感染によって起こり,軽い風邪症状で始まり,発しん,発熱,後頸部リンパ節の腫れなどがみられます。発しんも熱も約3日間で治るので「三日ばしか」とも呼ばれます。大人になってかかると症状は重くなり,妊婦が妊娠早期にかかると,心臓病,白内障,聴力障がいなどの病気を持った子どもが生まれる可能性が高くなります。
麻しんウイルス及び風しんウイルスを弱毒化して作ったワクチンです。
1歳から2歳の間に麻しん又は風しんにかかる可能性が高いので,1歳になったらなるべく早く1期の予防接種を受けるようにしましょう。
2期の接種は,小学校入学前の1年間,いわゆる幼稚園,保育所等の年長児が対象となります。麻しん又は風しんの予防接種を同時に行う場合は,麻しん風しん混合ワクチンを使用することとされており,麻しん又は風しんのいずれかにかかったお子さんも混合ワクチンを使用することが可能とされています。(混合ワクチン以外に,それぞれ単抗原の麻しんワクチン,風しんワクチンの接種も可能です。)
また,ガンマグロブリン製剤の注射を受けたことがあるお子さんについての接種時期については,かかりつけ医と相談してください。
主なものは,接種後1~14日に発現のピークがある発熱と発しんです。接種直後から数日中に過敏症状と考えられる発熱,発しん,かゆみなどが出ることがありますが,通常1~3日で治ります。アナフィラキシー,血小板減少性紫斑病,脳炎及びけいれんなどの副反応がまれに生じる可能性があります。
日本脳炎ウイルスの感染でおこります。ヒトからヒトへ感染することはなく,ブタなどの体内で増えたウイルスが蚊によって媒介され感染します。
感染者のうち100~1,000人に1人が脳炎を発症します。7~10日の潜伏期間の後,高熱,頭痛,嘔吐,意識障害,けいれんなどをおこす急性脳炎になります。脳炎のほか髄膜炎や夏かぜ様の症状で終わる人もいます。脳炎にかかった時の死亡率は約20~40%ですが,神経の後遺症を残す人が多くいます。
流行は西日本地域が中心ですが,ウイルスは北海道など一部を除く日本全体に分布しています。
1期初回として,3歳に,6~28日までの間隔をおいて2回接種し,翌年(おおむね1年経過後)に1期追加として1回接種します。これらの3回の予防接種で日本脳炎に対する抵抗力(基礎免疫)ができると考えられています。
さらに9歳になったら,2期として1回接種します。
乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンは,臨床試験において,生後6月以上90月未満の小児123例中49例(39.8%)に副反応が認められ,その主なものは発熱(18.7%),咳嗽(11.4%),鼻漏(9.8%),注射部位紅斑(8.9%)であり,これらの副反応のほとんどは接種3日後までにみられたとされています。多くの小児に対して使用された実績がないため,現在,重篤な副反応に関するデータの収集及び評価を行われているところであり,今後も十分注意が必要であると考えられています。
結核菌の感染で起こります。日本の結核患者はかなり減少しましたが,まだ2万人を超える患者が毎年発生しているため,大人から子どもへ感染することも少なくありません。また,結核に対する抵抗力(免疫)は,お母さんからもらうことができないので,生まれたばかりの赤ちゃんもかかる心配があります。乳幼児は結核に対する抵抗力(免疫)が弱いので,全身性の結核症にかかったり,結核性髄膜炎になることもあり,重い後遺症を残す可能性があります。
BCG接種後は,接種したところは日陰で乾かしてください。10分程度で乾きます。
接種後10日頃に接種局所に赤いポツポツができ,一部に小さいうみができることがあります。この反応は,接種後4週間頃に最も強くなりますが,その後は,かさぶたができて接種後3か月までには治り,小さな傷あとが残るだけになります。これは抵抗力(免疫)がついた証拠です。自然に治るので,包帯をしたり,絆創膏をはったりしないで,そのまま清潔に保ってください。
ただし,接種後3か月が過ぎても接種のあとがジクジクしているようなときは医師の診察を受けてください。
副反応としては,接種をした側のわきの下のリンパ節がまれに腫れることがあります。ときにただれたり,大変大きく腫れたり,まれに化膿して自然に破れて膿が出ることがあります。このようなときは医師の診察を受けてください。
また,お子さんが接種前に結核菌に感染している場合は,接種後10日以内に接種局所が赤く腫れたり化膿したりし,通常2週間から4週間に治癒する一連の反応が起こることがあります。これをコッホ現象といい,この反応がお子さんに見られた場合は,接種を受けた医師に連絡してください。
乳幼児の細菌性髄膜炎を起こす細菌はいくつかありますが,その原因の2割が肺炎球菌です。肺炎球菌は,多くの子どもの鼻や喉にいる身近な細菌です。ただし,子どもの体力や抵抗力が落ちたときなどに,細菌性髄膜炎,菌血症,肺炎,中耳炎などいろいろな病気(感染症)を引き起こす場合があります。また,最近は抗菌薬の効かない耐性菌が増えてきています。
肺炎球菌による細菌性髄膜炎(肺炎球菌性髄膜炎)は,5歳未満の乳幼児がかかりやすく,特に2歳未満での発病が多いようです。年間約200人が発症し,死亡例と後遺症例をあわせると,40%近くに達するといわれています。
生後2か月になったら,27日以上の間隔をおいて,1歳未満の間に初回の3回接種します。その後,生後12~15か月(初回接種終了後60日以上の間隔をおく)に追加の1回接種します。
※標準以外の接種方法については,「福岡市の予防接種」をご参照ください。
主な副反応は,接種部位の反応として,紅斑,硬結,疼痛,圧通など,注射部位以外の副反応として,感冒,食欲減退,嘔吐,傾眠,発熱などが報告されています。
また,重い副反応として,ショック,アナフィラキシー様症状,けいれんがあらわれることがあります。
子宮頸がんは子宮の入口にできるがんです。日本では,1年間に約11,000人の女性が子宮頸がんにかかり,約2,900人が死亡しているといわれています。最近は,特に,20~30代の若い女性で子宮頸がんにかかる人が急増しています。
子宮頸がんは,発がん性ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することでかかる病気だといわれています。発がん性HPVは,特別な人だけが感染するのではなく,誰でも感染するありふれたウイルスです。また,感染したからといって必ずがんになるわけではなく,子宮頸がんになるのは感染した人のうち1%未満であると考えられています。発がん性HPVのうち,子宮頸がんから多く見つかるタイプはHPV16型と18型といわれています。
子宮頸がん予防ワクチンは,HPV16型と18型の発がん性HPVの感染を防ぐことができるワクチンで,2価(16,18型)の「サーバリックスⓇ」と4価(6,11, 16,18型)の「ガーダシルⓇ」と9価(6,11,16,18,31,33、45,52,58型)の「シルガードⓇ9」があります。
(標準的な接種方法)
1回目の接種から1か月後(「サーバリックスⓇ」の場合)又は2か月後(「ガーダシルⓇ」「シルガードⓇ9」の場合)に2回目の接種をし,1回目の接種から6か月後に3回目の接種をします。2回目の接種間隔は,ワクチンの種類によって異なります。
また、「シルガードⓇ9」は1回目の接種を15歳になるまでに受ける場合、2回目を6か月後に接種することで2回の接種で完了することができます。
「サーバリックスⓇ」 | 「ガーダシルⓇ」 | 「シルガードⓇ9」 | |
---|---|---|---|
頻度10%以上 | かゆみ、注射部分の痛み・赤み・腫れ、胃腸症状(吐き気、嘔吐、下痢、腹痛など)、筋肉の痛み、関節の痛み、頭痛、疲労 | 注射部分の痛み・赤み・腫れ | 注射部分の痛み・腫れ・赤み、頭痛 |
頻度 1~10%未満 |
発疹、じんましん、注射部分のしこり、めまい、発熱、上気道感染 | 発熱、注射部分のかゆみ・出血・不快感、頭痛 | 浮動性めまい、悪心、下痢、注射部分の痒み・内出血、発熱、疲労、無力症 |
頻度1%未満 | 注射部分のピリピリ感、ムズムズ感 | 注射部分のしこり、手足の痛み、筋肉が硬くなる、下痢、腹痛、白血球数増加 | 嘔吐、腹痛、筋肉痛、関節痛、注射部位の出血・血腫・熱感・しこり、倦怠感、無力症 |
頻度不明 | 失神、血管迷走神経発作(息苦しい、息切れ、動悸、気を失うなど) | 無力症、寒気、疲労、倦怠感、血腫、失神、浮動性めまい、関節痛、筋肉痛、おう吐、吐き気、リンパ節症、蜂巣炎 | 悪寒、注射部分の知覚消失、感覚鈍麻、失神、手足の痛み、リンパ節症、蜂巣炎 |
重い副反応 | まれに、アナフィラキシー様症状(血管浮腫、じんましん、呼吸困難など) | まれに、過敏症反応(アナフィラキシー反応、気管支痙攣、じんましんなど)、ギラン・バレー症候群、血小板減少性紫斑病、急性散在性脳脊髄炎など | まれに、過敏症反応(アナフィラキシー反応、気管支痙攣、じんましんなど)、ギラン・バレー症候群、血小板減少性紫斑病、急性散在性脳脊髄炎など |
水痘(水ぼうそう)は,水痘・帯状疱疹ウイルスの直接接触,飛沫感染あるいは空気感染によって感染します。潜伏期は通常13~17日です。特徴的な発疹が主症状で痒みを伴います。発疹は最初は斑点状丘疹,その後3~4日は水疱で,最後は顆粒状の痂皮を残し,間もなく痂皮は脱落して治癒します。発疹は身体の被覆部分に多い傾向がありますが,頭髪部にも現れます。
対象年齢は1~2歳(1歳の誕生日の前日から3歳の誕生日の前日まで)で,3か月以上の間隔をおいて2回接種します。標準的には,1回目を生後12か月から生後15か月に達するまでに接種し,2回目を1回目終了後6か月から12か月までの間隔をおいて接種します。
※3~4歳の方に対する経過措置は平成27年3月末で終了しました。
まれにワクチンの接種直後から翌日に発疹、じんましん、紅斑、かゆみ、発熱などがみられることがあります。全身症状として、接種後1~3週間ごろに発熱、発疹がみられることがありますが、通常、数日中に消失します。また、帯状疱疹になることがありますが、ワクチン接種を受けない場合とくらべて、同じか低い頻度です。まれに、局所症状として発赤、腫脹、硬結などがみられることがあります。また,重い副反応として,アナフィラキシー様症状(じんましん、呼吸困難、口唇浮腫、喉頭浮腫など),急性血小板減少性紫斑病(接種後数日から3 週ごろに紫斑、鼻出血、口腔粘膜出血など)があらわれることがあります。
B型肝炎はB型肝炎ウイルスの感染により起こる肝臓の病気で,かかると,急性肝炎となりそのまま回復する場合もあれば,慢性肝炎となる場合もあります。また症状が出ないまま感染が持続し(この状態をキャリアといいます),年月を経て慢性肝炎・肝硬変・肝がんなど命に関わる病気を引き起こすこともあります。
感染経路は,肝炎ウイルス(HBs抗原)陽性の母親から生まれた新生児や肝炎ウイルス陽性の血液に直接触れたような場合,また肝炎ウイルス陽性者との性的接触などの場合です。
対象年齢は0歳(1歳の誕生日の前日まで)で,1回目と2回目は,27日以上の間隔(4週後の同じ曜日の日から接種可)をおいて接種。3回目の接種は,1回目の接種から139日以上の間隔(20週後の同じ曜日の日から接種可)をおいて接種します。
標準的には,生後2か月に達した時から生後9か月に達するまでの期間に3回接種します。
主な副反応として,注射部位の疼痛,発熱,倦怠感,注射部位の腫脹,掻痒感があります。まれに湿疹や痙攣,血小板減少症などがみられることがあります。
また,重い副反応として,頻度不明ですが,アナフィラキシー様症状(血圧低下、呼吸困難、顔面蒼白など),多発性硬化症,急性散在性脳脊髄炎(ADEM),視神経炎,ギランバレー症候群,末梢神経障害があらわれることがあります。
ロタウイルスによって引き起こされる急性の胃腸炎で,乳幼児期(0~6歳ころ)にかかりやすい病気です。ロタウイルスは感染力が強く,ごくわずかなウイルスが体内に入るだけで感染してしまいます。ふつう,5歳までにほぼすべての子どもがロタウイルスに感染するといわれています。乳幼児は,激しい症状が出ることが多く,特に初めて感染したときに症状が強く出ます。主な症状は,水のような下痢,吐き気,嘔吐(おうと),発熱,腹痛です。脱水症状がひどくなると点滴が必要となったり,入院が必要になることがあります。
ロタウイルスワクチンには接種回数,接種期限が異なる2種類のワクチンがあり,同様の効果があります。
ロタリックス(1価):出生6週0日後~出生24週0日後までに2回接種します。
ロタテック(5価) :出生6週0日後~出生32週0日後までに3回接種します。
標準的には生後2か月~出生14週6日後までに1回目の接種を行います。
出生15週以降の初回接種は安全性の観点からおすすめしていません。
主な副反応として,発熱,嘔吐,下痢等の胃腸炎症状があります。また,腸重積症(腸の一部が腸の他の部分に入り込み,腸が閉塞した状態)の発生リスクが増加する可能性があるとされています。特に1週間以内は腸重積症のリスクが高まるとされているため,次の症状が1つでもある場合は,速やかに医療機関を受診しましょう。
・嘔吐を繰り返す
・泣いたり不機嫌になったりを繰り返す
・ぐったりして元気がない
・血便が出る
子どもの予防接種に戻る