見過ごしがちな福岡グルメ 「やきとり」に九州鶏肉文化の真髄を見た!

ラーメン、もつ鍋、水炊き、明太子……挙げ始めればキリがない、福岡グルメ。福岡に行ったら一度は食べてみたいと狙っている方も多いのでは? そんなラインナップから漏れがちなのが、やきとり。やきとりは全国どこでも食べられるし、おいしいものがたくさんある福岡でわざわざ食べなくてもいいって!?  いえいえ、違うんです。

福岡市内にあるやきとり店の数は660軒。人口10万人あたりで考えると、21大都市中第1位。家庭での鶏肉の購入量と支出金額も、全国52都市中1位。福岡は、やきとりが名物といえるほど、食べられているんですね。

福岡に限らず九州は鶏肉の一大消費地。薩摩や宮崎の地鶏、中津の唐揚げ、博多の水炊きなど、鶏肉を使った名物も多数あります。それには歴史的な背景があるようで……。福岡で鶏を食べるようになった起源は諸説ありますが、黒田藩が財源確保のために鶏を輸入し、卵の生産を始めて全国に売るようになったことが始まりとも言われています。

さて、そんなやきとり、福岡ではどんなふうに食べるの? まず、焼き鳥を注文すると、ポン酢ダレがかかったキャベツが大皿で出てきて、その上に焼き上がった串が順番に置かれていきます。ほとんどの店でキャベツはおかわり無料なので、遠慮なくどうぞ。タレか塩かを自由に選べますが、鶏肉本来の味わいを生かすため、塩で食べるのがおすすめ。濃いタレの味わいを楽しむ関東とは、文化が違います。「せせり」や「四つ身」といった、関東では見慣れない串もありますが、積極的にトライ! ちなみに「せせり」とは鶏の首肉で、「四つ身」はもも肉。どちらもよく動くため身が締まり、食感に弾力があります。食べ終わった串は、テーブルに置いてある筒状の串入れにポイ。これも便利です。なぜ関東では見かけないんでしょうか。

ちなみに、福岡のやきとり屋さんで「バラ」と言えば、豚のバラ肉のこと。「焼き鳥じゃないじゃん!」なんて意見は無粋というもの。一説には、「焼き鳥」は鶏肉を指すが、「やきとり」は串の焼き物全般を指すという話も。このお店がおいしいかどうかは、バラを食べればわかるなんて言われるほど、バラはやきとり屋に欠かせない一品です。脂分が多いので、お腹がいっぱいになる前の、早い時間に食べるのがおすすめ。

慣れないと戸惑う、でも確かにおいしい福岡やきとり文化。見逃していたあなたは、ぜひ一度お試しあれ。

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