スタートアップカフェでのイベントで提言 竹中平蔵さんが福岡市民に期待していることとは

福岡市中央区今泉のスタートアップカフェ内にある「福岡市スタートアップ人材マッチングセンター」をご存知でしょうか。スタートアップ企業とスタートアップで働きたい人、双方のマッチングを行う窓口として今年3月29日より始動しており、中には「すでに利用したことがある」という方もいるかもしれません。

センターのオープニングイベントには、福岡市長の髙島宗一郎さんはもちろんのこと、国家戦略特別区域諮問会議の有識者議員の竹中平蔵さん、内閣府地方創生推進室次長の藤原豊さん、日本経済団体連合会副会長の荻田伍さんなど、錚々たる顔ぶれが集結し、ものすごい熱量でスタートアップに関する議論が繰り広げられました。

今回は、その時の様子を少しだけ紹介したいと思います。


イベント冒頭、まず口火を切ったのは髙島市長でした。

「スタートアップ企業の課題は、大企業志向の学生が多く、優秀な人材の確保が難しいことにあります。時代を変え、社会を変えるスタートアップに、ぜひ優秀な人が多く入ってほしい。今回、福岡市スタートアップ人材マッチングセンターの開設により人材の流動化が促進し、いい人材が福岡のスタートアップに流れていくことを期待しています!」

髙島市長の指摘のように、スタートアップ企業は、豊かな経験と広い視野を持つ優秀な人材の確保が大きな課題となっています。米国では政府職員がスタートアップ企業に、あるいはスタートアップ経験者が政府職員にという人材交流が盛んに行われており、公的機関も含めたイノベーションを可能にしているといいます。

日本でも今年2月、国家戦略特区の特例が追加され、国家公務員が公務員を辞めてスタートアップ企業に転職し、その後3年以内に国家公務員に復帰した場合、国家公務員としての在職期間を通算して退職金が算定されるようになる制度が導入されました(創業者人材確保支援事業)。これに合わせて福岡市も条例を改正。ここ福岡でも4月1日から、市の職員がスタートアップに参画しやすくなったのです。

これら制度改革を踏まえて、竹中平蔵さんは次のように語りました。

「アリストテレスは“改革は小事にあらず、されど改革は小事から生まれる”と言いました。国家戦略特区自体が、政策におけるひとつのイノベーションです。ぜひ福岡の皆さんには、この特区と制度を積極的に活用し、イノベーションに繋げてほしいと思います」

20160518_matching01.JPG

この日のハイライトは、竹中さん、髙島市長、藤原さん、荻田さん、福岡地域戦略推進協議会事務局長の石丸修平さん、さらにKaizen Platform CEOの須藤憲司さんの6人による熱のこもったトークセッション。

国家戦略特区における創業者人材確保支援事業の全国初の活用事業者に認定された Kaizen Platformの須藤さんは、ご自身の経験を踏まえて、今回のセンター開設への期待を次のように語りました。

「スタートアップは事業の成長が早く、採用戦略や優秀な人材の確保は事業の成長そのものを左右する非常に重要なテーマです。実際に、創業してから2年間、私の業務時間のうち30〜40%は、採用に割かれていました。弊社はサンフランシスコにもオフィスを持っていますが、米国のスタートアップにおける人材交流は、日本とは明らかに違います。有名な例として、FacebookのCOOであるシェリル・サンドバーグ氏は、政府職員として働いたのちにスタートアップに身を転じ、GoogleやFacebookの事業成長に寄与しています。彼らは“この分野にイノベーションが必要だから、自分がやらなければ”という強い決意でスタートアップに入り、民間のイノベーションを加速させているのです。ですから日本でも、国家戦略特区という枠組みと、今回の人材確保支援の動きができたことはとても重要なことです。私たちのところにも、すでに数件の問い合わせをいただいております。さらなる人的交流の促進を、今後も期待しています」

経済学者であり大臣経験者でもある竹中さんのような人から、スタートアップの最前線で働く須藤さんのような人までが、自由に意見を交わした今回のイベント。髙島市長はこのような言葉でイベントを締めくくりました。

「スタートアップは福岡を見ればわかると言われるように、全国に先駆けたショーケースのような存在になっていきましょう。そしてこれを全国に横展開していきましょう!」

20160518_matching02.JPG

この熱いイベントから1ヶ月超。スタートアップ人材マッチングセンターでは、すでにスタートアップ企業と人材のマッチングが行われています。市の職員など公務員の方だけでなく、一般企業の会社員やフリーランスの方でも、登録や相談は可能です。スタートアップによるイノベーションに積極的に関わりたいと考えている人は、一度相談に行ってみてはいかがでしょうか。

 

【関連リンク】
スタートアップカフェ
https://startupcafe.jp/

アクセスランキング