いざという時に,身近な物や周囲の人と協力して怪我人や急病人を搬送する方法を紹介します。
●毛布と物干し竿などの丈夫な棒2本を使って応急的な担架を作成します。
1 準備するもの・・・毛布1枚,丈夫な棒2本
2 床に広げた毛布の端末から3分の1のラインより20cm程内側に1本目の棒を置く。
3 2で置いた棒を中心に,毛布を短い方の端末から折り返す。
4 2本目の棒を,折り返した毛布の端から20センチ以上内側に置く。
(注意:2本目の棒より毛布の端末側で,毛布が2枚重なる部分を十分確保する。)
5 4で置いた棒を中心に,毛布の端末2枚をきれいに折り返して完成。
(折り返した毛布は1で置いた棒を超えて,十分なマチができるように注意する)
6 傷病者を毛布の上に乗せ,搬送者2名~4名が棒を持ち上げ搬送する。
●シャツなどの上着数枚と丈夫な棒2本を使って応急的な担架を作成します。
1 準備するもの・・・シャツ数枚,丈夫な棒2本
2 1名が棒2本の端を握り,周囲の人が棒を握っている人のシャツを下から裏返しながら脱がす。この時,シャツのボタンは
頭が通る分だけ外して他のボタンはしっかりとめておく。脱がしたシャツは握っている2本の棒に被せていく。
3 2と同じ要領で,数人分のシャツを棒に被せて完成。
(注意:被せたシャツ同士は重なるように調節する)
4 傷病者をシャツの上に乗せ,搬送者2名~4名が棒を持ち上げ搬送する。
●毛布、シーツを利用する方法で、傷病者の胸腹部を圧迫することが多いので注意します。
1 準備するもの・・・毛布1枚
2 傷病者を毛布の上に斜めに寝かせる。
3 傷病者の左右と下の毛布を折り返して,傷病者を包み込む。
4 傷病者の頭上の毛布を角から数回巻いて,搬送者の持ち手を作る。
5 後方に引きずりながら搬送する。
●背部から後方に移動する方法
1 傷病者の上体を起こし,後ろから支える。
2 傷病者の背後から,傷病者の片方の腕の肘から手首の間を自分の両手でつかむ。この時,自分の腕は傷病者の両脇から通
す。
3 立ち上がりながら,2でつかんだ傷病者の腕が自分の胸の位置まで来るように引き上げ,後方に搬送する。
(胸の位置まで引き上げることが困難な場合は,中腰の姿勢で後方に引きずりながら搬送する)
●背負って搬送する方法1
1 傷病者を背負って立ち上がる。
2 傷病者の太ももに自分の腕を通し,両手首をつかんで搬送する。
(腕の長さによって,腕を平行または交差させる)
●横抱きで搬送する方法(小児、乳児や小柄な人は横抱きにしたほうが楽に搬送できます)
1 傷病者の背中と両膝の裏を持ち,抱きかかえながら搬送する。(傷病者には搬送者のの首につかまってもらう)
●傷病者の前後を抱えて搬送する方法
1 1人目の搬送者は,「1人で搬送する方法」の「背部から後方に移動する方法」と同じ要領で,傷病者の片方の腕を両手で
つかみ,自分の胸まで引き上げる。
2 2人目の搬送者は,傷病者の両足を交差させ,脇に抱えて搬送する。1と2の持ち上げる動作は同時に行う。
【ポイント】
* 傷病者の首が前に倒れるおそれがあるので、気道の確保に注意します。
* 2名がお互いに歩調を合わせ、搬送に際して傷病者に動揺を与えないようにします。
●傷病者を左右から抱えて搬送する方法
1 搬送者2名が傷病者の両側について,それぞれ傷病者と肩を組む。肩を組んでいないほうの手を,傷病者の膝裏に通して搬
送者同士の手を繋ぐ。搬送者2名で息を合わせ,抱え上げて搬送する。
1 搬送者3名は仰向けになっている傷病者の両側につき,それぞれ自分の両腕を傷病者の背中の下に差し込む。
2 搬送者3名は息を合わせて,真上に持ち上げる。
【ポイント】
* 足側の膝をつき、頭側の膝を立ててしゃがみます。
* 両腕を傷病者の下に十分入れます。
* 3名が同時に行動します。
* 隣のベットへの移動など,近距離での移動に使用します。
【搬送法全体のポイント】
* 傷病者の状態、けがの部位や病気の種類により、最も適切な方法で運びます。
* やむを得ない場合にとどめ、努めて複数の者による搬送を心がけましょう。
福岡市民防災センターが行う出張講習の中で,ご要望があれば搬送法の指導も実施しています。
詳しくは下記のリンクから防災センター出張講習のページをご確認ください。