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更新日: 2020年3月23日

搬送法|福岡市消防局

 いざという時に,身近な物や周囲の人と協力して怪我人や急病人を搬送する方法を紹介します。



身の回りの道具を使って搬送する

毛布を使って担架を作成する方法

●毛布と物干し竿などの丈夫な棒2本を使って応急的な担架を作成します。

1 準備するもの・・・毛布1枚,丈夫な棒2本

   1 準備するのは毛布1枚と物干し竿などの丈夫な棒2本。毛布は摩擦抵抗の強いものを選び,棒は毛布の短辺よりも長いものを準備する。

2 床に広げた毛布の端末から3分の1のラインより20cm程内側に1本目の棒を置く。

   2 床に広げた毛布の上に棒を1本置く。棒の位置は,毛布の短辺から3分の1のラインより約20センチ毛布の内側に移動したラインで,棒の両端は毛布からはみ出るように置く。

3 2で置いた棒を中心に,毛布を短い方の端末から折り返す。

   3 毛布の上に置いた棒を中心に毛布を2つに折る。

4 2本目の棒を,折り返した毛布の端から20センチ以上内側に置く。
 (注意:2本目の棒より毛布の端末側で,毛布が2枚重なる部分を十分確保する。)

   4 毛布の上に2本目の棒を置く。2本目の棒を置く位置は,折り返した毛布の端から20センチ以上内側。この時に,2本目の棒より外側で毛布の重なりが十分確保されているように注意する。

5 4で置いた棒を中心に,毛布の端末2枚をきれいに折り返して完成。
 (折り返した毛布は1で置いた棒を超えて,十分なマチができるように注意する)

   5 2本目の棒を中心に,毛布の端末2枚をきれいに折り返す。折り返した毛布の端末は,1本目の棒を越えて,マチができるように注意する。

6 傷病者を毛布の上に乗せ,搬送者2名~4名が棒を持ち上げ搬送する。

   6 傷病者を毛布の上に仰向けで寝かせ,2名から4名の搬送者がそれぞれ棒の端を持ち上げる。傷病者の足側を進行方向として搬送する。

上着を使って担架を作成する方法

●シャツなどの上着数枚と丈夫な棒2本を使って応急的な担架を作成します。

1 準備するもの・・・シャツ数枚,丈夫な棒2本

   1 準備するのはシャツ数枚と丈夫な棒2本。写真では作業着の上衣4枚を準備している。

2 1名が棒2本の端を握り,周囲の人が棒を握っている人のシャツを下から裏返しながら脱がす。この時,シャツのボタンは
 頭が通る分だけ外して他のボタンはしっかりとめておく。脱がしたシャツは握っている2本の棒に被せていく。

   2 搬送者1名が2本の棒の端末を左右の手でそれぞれつかむ。周囲の人が棒をつかんでいる人のシャツを下からめくりあげるように脱がしていく。この時,シャツのボタンは脱がせる際に頭が通る程度はずすが,その他のボタンはしっかりとめておく。脱がしたシャツは裏返しながら,つかまれている2本の棒に通していく。

3 2と同じ要領で,数人分のシャツを棒に被せて完成。
 (注意:被せたシャツ同士は重なるように調節する)

   3 2と同じ要領で残り3枚のシャツも棒に通していく。棒に通したシャツはそれぞれが1部重なり合うように調節する。

4 傷病者をシャツの上に乗せ,搬送者2名~4名が棒を持ち上げ搬送する。

   4 傷病者を毛布の上に仰向けで寝かせ,2名から4名の搬送者がそれぞれ棒の端を持ち上げる。傷病者の足側を進行方向として搬送する。

毛布の上に人を乗せて床を滑らせる方法

●毛布、シーツを利用する方法で、傷病者の胸腹部を圧迫することが多いので注意します。

1 準備するもの・・・毛布1枚

   1 準備するのは毛布1枚

2 傷病者を毛布の上に斜めに寝かせる。

   2 傷病者を毛布の上に仰向けで寝かせる。寝かせる位置は,毛布の対角線上の中央で,傷病者の体が毛布からはみ出さないようにする。

3 傷病者の左右と下の毛布を折り返して,傷病者を包み込む。

   3 傷病者の左右と足側に位置する毛布を角から折り返し,傷病者を包み込む。

4 傷病者の頭上の毛布を角から数回巻いて,搬送者の持ち手を作る。

   4 傷病者の頭上の毛布を角から数回巻き,搬送者の持ち手を作る。

5 後方に引きずりながら搬送する。

   5 搬送者は持ち手をつかみ,後方に引きずりながら搬送する。

道具を使わずに搬送する

1人で搬送する場合

●背部から後方に移動する方法

1 傷病者の上体を起こし,後ろから支える。

   1 仰向けに寝ている傷病者の上体を起こして,背中側から支える。

2 傷病者の背後から,傷病者の片方の腕の肘から手首の間を自分の両手でつかむ。この時,自分の腕は傷病者の両脇から通
 す。

   2 傷病者の背中を支えたまま,両腕をそれぞれ両脇の下から通し,傷病者の片方の腕をつかむ。つかむ位置は,肘と手首の間をつかむ。

3 立ち上がりながら,2でつかんだ傷病者の腕が自分の胸の位置まで来るように引き上げ,後方に搬送する。
 (胸の位置まで引き上げることが困難な場合は,中腰の姿勢で後方に引きずりながら搬送する)
 

   3 搬送者は,傷病者の腕を自分の胸の前で保持したまま立ち上がり,後ろ向きに搬送する。胸の位置で保持したまま立ち上がることが困難な場合は,中腰で後方に引きずりながら搬送する。




 ●背負って搬送する方法1

1 傷病者を背負って立ち上がる。

2 傷病者の太ももに自分の腕を通し,両手首をつかんで搬送する。
 (腕の長さによって,腕を平行または交差させる)

   1 背負った傷病者の両腕を,搬送者の肩の上から,自然と下に垂らした状態で,搬送者が手首をつかんでいる様子。搬送者の腕は傷病者の太ももの下を通っている。   2 背負った傷病者の両腕を,交差させた状態で,搬送者が手首をつかんでいる様子。搬送者の腕は傷病者の太ももの下を通っている。




●横抱きで搬送する方法(小児、乳児や小柄な人は横抱きにしたほうが楽に搬送できます)

1 傷病者の背中と両膝の裏を持ち,抱きかかえながら搬送する。(傷病者には搬送者のの首につかまってもらう)

   1 搬送者が,傷病者の背中を右腕で,両膝を左腕で抱え,お姫様抱っこの要領で抱えている様子。傷病者は両腕で,搬送者の首に両腕を回して捕まっている。

2人で搬送する場合

●傷病者の前後を抱えて搬送する方法

1 1人目の搬送者は,「1人で搬送する方法」の「背部から後方に移動する方法」と同じ要領で,傷病者の片方の腕を両手で
 つかみ,自分の胸まで引き上げる。

2 2人目の搬送者は,傷病者の両足を交差させ,脇に抱えて搬送する。1と2の持ち上げる動作は同時に行う。

   1 搬送者2名で傷病者を抱えている様子。1人目の搬送者は「背部から後方に移動する方法」と同じ要領で自分の胸の前で傷病者の腕を保持し,2人目の搬送者は交差させた傷病者の両足を,自分の腰の横で保持している。進行方向は傷病者の足側。

【ポイント】
    * 傷病者の首が前に倒れるおそれがあるので、気道の確保に注意します。
    * 2名がお互いに歩調を合わせ、搬送に際して傷病者に動揺を与えないようにします。





 ●傷病者を左右から抱えて搬送する方法

1 搬送者2名が傷病者の両側について,それぞれ傷病者と肩を組む。肩を組んでいないほうの手を,傷病者の膝裏に通して搬
 送者同士の手を繋ぐ。搬送者2名で息を合わせ,抱え上げて搬送する。

   1 搬送者2名と傷病者1名が,横向きに並んでいる。並び順は搬送者,傷病者,搬送者の順番。3名はそれぞれ隣の人と肩を組んでいる。搬送者は,空いている方の手を傷病者の膝の下に通し,搬送者同士で手を繋ぐ。繋いだ手が腰の位置に来るように傷病者を抱え上げている。
 

3人で搬送する場合

1 搬送者3名は仰向けになっている傷病者の両側につき,それぞれ自分の両腕を傷病者の背中の下に差し込む。

   1 搬送者3名は仰向けになっている傷病者の両側に,交互に位置するように,片膝立ちの姿勢をとる。搬送者はそれぞれ,傷病者の背中の下に両腕を差し込む。

2 搬送者3名は息を合わせて,真上に持ち上げる。

   2 搬送者3名が,肘を直角に曲げた状態で立ち上がり,傷病者を持ち上げている様子。

【ポイント】
    * 足側の膝をつき、頭側の膝を立ててしゃがみます。
    * 両腕を傷病者の下に十分入れます。
    * 3名が同時に行動します。
    * 隣のベットへの移動など,近距離での移動に使用します。



【搬送法全体のポイント】
    * 傷病者の状態、けがの部位や病気の種類により、最も適切な方法で運びます。
    * やむを得ない場合にとどめ、努めて複数の者による搬送を心がけましょう。




福岡市民防災センター

 福岡市民防災センターが行う出張講習の中で,ご要望があれば搬送法の指導も実施しています。
 詳しくは下記のリンクから防災センター出張講習のページをご確認ください。


    

         防災センター 出張講習