福岡市は水道整備の支援をきっかけにヤンゴン市と交流を重ね、2016年12月7日にミャンマー連邦共和国ヤンゴン市と姉妹都市を締結しました。
渇水や浸水被害等の経験から市は水資源開発や雨水整備計画に取り組み、さまざまな都市の問題を克服してきました。これらの技術はアジア諸国から注目されています。
ミャンマーは、130以上の民族が住む多民族国家です。英国から独立した1948年から1989年までは国名を主にビルマ連邦と称していました。人口は5,741万人(2014年)、首都はネピドーです。ヤンゴン国際空港へは、成田国際空港(千葉県)からの直行便やバンコク、シンガポールなどアジア主要都市を経由した便が就航しています。
1989年にラングーンから改称されたヤンゴン市の人口は521万人(2014年)、面積は599平方キロメートルです。2006年まで首都であったヤンゴン市は、国内最大の都市で、経済の中心地です。
黄金の仏塔(パゴダ)が輝く仏教寺院では、ヤンゴン市民が熱心に祈りを捧げています。天然物の真珠、宝石、竹・籐(とう)製品、雑貨などミャンマー中から良い品が集まる「ボージョーアウンサンマーケット」やヤンゴン市の庁舎など英国統治時代の建築物も見どころです。
2012(平成24)年にJICA(国際協力機構)専門家として市職員をヤンゴン市に派遣し、水道分野の技術協力を開始したことから、交流が始まりました。2014年に「まちづくり協力・支援に関する覚書」を締結し、交流を促進。昨年5月には、ヤンゴン市で実施する上水整備準備調査のODA(政府開発援助)事業を官民連携で受注しました。
市の姉妹(友好)都市締結は2007年の釜山広域市(韓国)以来で、8都市目です。文化・芸術分野での市民交流や民間を含めた人的な交流が活発化するほか、水道事業など地場企業のODA受注や現地への進出の促進等が期待できます。
今後、市職員の派遣と、ヤンゴン市職員の研修受け入れを行い、ヤンゴン市の浸水被害克服に向けて排水計画を策定するための技術指導を実施します。
来年ヤンゴン市に「まちづくり協力支援アドバイザー」として赴任する市職員の野田勝也さん(46)に話を聞きました。
長い間の経済制裁が解かれ、発展の途上にあるミャンマーは、世界中から企業が進出し、活気にあふれています。これまでに何度かヤンゴン市を訪問しましたが、そのたびに変化を感じ取れるほど発展し、日本企業もどんどん進出中です。
ミャンマーでは5~9月の雨期に集中的に雨が降ります。ヤンゴン市の排水設備は古く、計画的な整備がなされていないため、頻繁に市街地が浸水しています。また、発展が加速するヤンゴン市では、ごみの処理がこれからますます大きな課題となりそうです。都市問題を克服してきた福岡市のノウハウを生かし、ヤンゴン市の素晴らしい歴史、自然環境を守りながら、両市の架け橋として精一杯務めてきます。
ヤンゴン市の給水衛生局職員のポーン・テッ・ナインさん(32)とティッ・ルィンさん(31)は、水道局と道路下水道局で5カ月間の水道技術等の研修を終えました。
「ヤンゴン市は、経済発展に伴う人口の増加に水道の整備が追い付いていない状況です。水道普及率は4割ほどで、機材の故障や断水も発生し、計画的な漏水防止対策や施設整備ができていません。漏水率が2.3%と世界トップレベルの福岡市で学んだ水道供給の技術を用いて、ヤンゴン市民に安定して水を供給できるよう取り組みます。福岡では、那珂川を船で下りながらビルが並ぶ街を見たことが印象に残っています。タイ料理と中華料理を合わせたようなミャンマーの料理は、日本人の好みにも合うと思います。福岡の皆さんも遊びに来てください」と二人は話してくれました。
市は、オークランド市(米国)、広州市(中国)、ボルドー市(フランス)、オークランド市(ニュージーランド)、イポー市(マレーシア)、釜山広域市(韓国)、アトランタ市(米国)と姉妹都市を締結し、さまざまな交流事業を行っています。
この記事に関する問い合わせは国際交流課(電話番号:092-711-4023、FAX:092-733-5597)へ。
ヤンゴン市訪問団の皆さんが2016年12月6日(火)、表敬訪問のため福岡市役所に来られました。また、翌7日(水)、福岡市とヤンゴン市の姉妹締結式及びレセプションを開催しました。動画でご紹介します。