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更新日:2024年8月30日

共働事例インタビュー「NPOと行政」

ドネルモ 見野さん

ドネルモ 見野さん

意見発表の様子

意見発表の様子 (南区共生プロジェクト)


インタビューした方のご紹介

  • ドネルモ 見野さん

「とびこむ・ひらく・くみかわる」をモットーに、超高齢社会におけるつながりや誰かと関わることで一人ひとりの可能性が豊かになる仕組みづくりを行うNPO法人ドネルモの見野(みの)さんに「行政との共働」について伺いました。
(令和5年12月6日 インタビュー実施)


Q今回、南区役所と外国人や地域などとの共働事業に取り組まれていますが、どのようなビジョンや理念を持って活動されていますか。

・この事業は、外国人の交流事業って単発のイベントで終ってしまうことが多いけど、住んでいる外国人の方の声を聞く機会を作りたいよねっていう思いがベースとなっています。南区役所が、外国人向け、特に日本語学校の学生向けの事業を行っているのを知っていたので、これを福岡市で行っていた「共働事業提案制度1」で一緒に共働しませんかと、2019年に南区に提案しました。
その時はそれ以上進みませんでしたが、2022年の秋に、南区から電話があり、「各地域で行われていた外国人の方との交流事業がコロナで中断され、区役所として何か支援出来ないかと考えていた時に2019年の企画書のことを思い出した。詳細をあらためて聞きたいので会って話せますか」と言われました。ドネルモとしても、元々課題として認識していたことだったので、南区でプロポーザルが実施されたときは、より一層、自分事として提案させていただいたっていうことです。

2019年当時は、共働事業提案制度で取り組む気満々だったので、資料をしっかりと作っていました。NPOがいろいろと課題感を感じてアイデアを持っていても、言葉だけだと消えていく。でも、企画書を出しておけば、行政が将来必要と思ったときに、共働として事業化してくれるかなって。あと、南区の中に、企画書を覚えていてくれた方がいたこともよかったと思います。行政のメンバーが皆さん異動してしまい、全員が新しいメンバーだったら、この事業は実現しなかったかもしれません。行政の方は数年で異動してしまうので、そういう意味では、随時、提案は行った方が良いと思います。

※1 共働事業提案制度
NPOと福岡市が共働で事業に取り組むことにより、NPOの専門性を活かした、きめ細かな市民サービスを提供し、多様化・複雑化する地域課題の解決を図る制度(令和5年度で終了)


Q共働の価値について、どこに見出していますか。

・私にとって共働という言葉は、新しい言葉だったんです。というのが、自分が若い頃に共働とか、仕事する上で違う組織の、別会社とコラボってことも言葉もなかったんです。でも、昭和、平成の初めぐらいまでは縦割りでも単体でも出来ていました。それが今、人口減少や少子高齢化が進んでいる中で、今まで通りのやり方ではできなくなったため、単体ではできないことを他者と一緒にやることで可能性を広げる。これがもう共働の価値なのだろうなと思いました。その方が実現の可能性が広がる。

・それともう一つは、他者と行うことで自分の知らなかったことが知れる。井の中の蛙で終わらない。それは、2者でも3者でも、行政とも、よそとやることで、自分の本当の姿が見える。裸の王様とまでは言わなくても、現実を知ることができますよね。異なる経験、知識、意識が共有できるってことですよね。共有することで、理解が深まることが価値かなと思います。

 

Q行政との共働の価値は、どこにあると思いますか

・行政と共働することにより、未来の社会を作っているという気がよりします。それは、まちづくりであったり、地域づくり、社会に向けての仕組みづくり、特に南区の事業は、これまでやったことないことに結構チャレンジしていたりするので、未来の社会に向かって、自分たちがやっていることは、絶対いいことのはずと思ってやらなければならないと思っています。


Q共働をする際、気を付けていることはありますか。

・共働の期間が半年や1年と長期間になるので、関係作りは丁寧にさせていただきたいと思っています。未来の社会を作っていくっていう意味では、パートナーとなった時に良い関係の方がいい。これまで特に苦労したことはないけど、苦労になりそうなので、関係作りを大切にしていくことが大事かなって思っています。


Q事業を行っていく上でのモチベーションをどう高めていくか、見野さん、ドネルモ、それぞれ教えてください。

・私個人としては、人生の中で、財産を残せる。自分の人生の中で、社会に向けて財産を残していけると思える活動に取り組むことがモチベーションを高めていくことにつながるんじゃないかと思っています。あと、モチベーションの源泉は、面白そうとか、楽しそうとか。特に、まちづくりに関することは、地域の方々を巻き込もうとするので、楽しそうに、面白そうにしている人のところじゃないと来てくれないと思っているんです。いかに面白そうで楽しそうで価値あるものにするかってことが、モチベーションアップになっていると思います。それは、自分が、過去の経験で、まちづくりをやっている人たちって、仕事じゃないので楽しくなければすぐ辞めていく。そう考えた時に、面白くなかったらそっぽ向かれるって知っているからです。

・あとビジョンです。これをすることによって、こういう風によくなるとひたすら信じているというか。外国人の事業で言うならば、多文化共生を進めているんですけど、外国人の方が暮らしやすい街になることは、私が高齢になった時に、私も住みやすい福岡市になっていると思うんです。それは、高齢者になったら、やさしい日本語2の方がいいじゃないですか。他者に優しくなれるってことは、外国人だけの問題じゃないと思っているからです。それは私たち、ドネルモのモチベーションでもあるかもしれない。今やっていることを通して、もっと波及効果があるんじゃないか。今これをやることによって、もっと未来に向けて可能性が広がると思っているので、その仕事がそこで終わらない。

2 やさしい日本語
日本人が普段使っている日本語よりも簡単で、外国人にも分わかりやすい日本語のこと。

Q共働を行う上でのポイントを教えてください。

・キーワードは4つで、対話、見直し、相互理解と共有かな。そのうえで大事なのは、ビジョンを共有しておくこと。いつも思うんですけど、仕様書があって、ビジョンが書いてあっても、それぞれの年齢とか経験値とか、これまでの知識とかによって、目指しているものはみんな一緒ですけど、見えている景色にズレがある。だから一緒にやるということが大事だと思うんです。この時に、共時性とか一体感とか、達成感が生まれる。見えている景色が、ようやく同じになる。ここから初めて見直すことが出てくる。だから、共働する時には一緒に行動することが大事と思います。
そして、振り返りで対話して、見直して、改善策があったら改善して、それぞれ理解を深めながら共有する。共有する時に、それぞれの経験とか、知識とか、思ったことが共有できる。共働のポイントは、そこなんだろうと思います。

・これをやっていくと、それぞれの関係性はあると思うんですけど、未来の社会を作っている仲間になるのかなって思っています。いきなり全部しようとすると、大体疲れて疲弊するので、少しずつ、ステップアップする。その過程で達成感があるじゃないですか。「感動はやる気を起こし、達成感は人間を変える。」って大好きな言葉で、どこでも言っています。立場が、NPOであろうが、地域住民であろうが、行政であろうが、達成感を味わって、変わっていくじゃないですか。一人ひとりが変わると、明日が変わると思うんですよ。その変わった人たちの集大成で、最終的に未来の社会が変わると思っています。


Q共働したいと考えている、団体に向けてメッセージをお願いします。

・記憶に残るような記録を作りましょう。記憶に残るような記録をどんどん残していきましょうってことです。本当はそれをどんどん行政の関係部署に提案していくのがいいんでしょうけどね。

・あと、自分のやりたいことをどんどん発信してほしいですね。未来の社会に向けて、自分のやりたい、あったらいいなをどんどん発信してほしいです。今回の南区のこともそうだったと思います。言ったことはいつか実現する時がありますから。