福岡市は市域の3分の1を森林が占め、そのうち約半数がスギ・ヒノキの人工林となっています。
スギ・ヒノキの人工林は成長過程で間伐等の手入れが必要となりますが、長期間手入れがされず荒廃した森林は、木と木の間が狭く、林内に日光が届かず下層植生が生育しないため、雨水と一緒に土が流れ、山地災害等の危険性があります。
福岡市の人工林の8割以上が樹齢41年以上で、木材としての利用時期を迎えていますが、木材価格の長期的低迷などにより、その多くが伐採されずにいます。
森を守り育てるためには、間伐などの手入れを行い、育った木は「伐って、使って、植える」といった森林のサイクルを回すことで、二酸化炭素の吸収など多面的機能を発揮するバランスのとれた森林を維持していくことが大切です。
福岡市では、市が管理している森林(市営林)において植栽、下刈り、間伐、主伐を実施し、森林資源の循環を行っています。
〇林業のサイクル(出典:農林水産省「ジュニア農林水産白書2022年版」)
市が管理している森林(市営林)において、適切な保育(下刈りや間伐等)を行うことにより、森林の持つ公益的機能の拡充・発揮持続を図ることを目的とし、併せて林業の振興を図っています。
実施年度 | 実施場所 | 下刈面積 | 間伐面積 |
---|---|---|---|
平成30年度 | 西区大字西浦 外 | 1.68ヘクタール | 38.39ヘクタール |
令和元年度 | 西区大字西浦 外 | 1.22ヘクタール | 70.67ヘクタール |
令和2年度 | 西区大字小田 外 | 1.42ヘクタール | 77.86ヘクタール |
令和3年度 | 西区大字宮浦 外 | 2.27ヘクタール | 119.67ヘクタール |
令和4年度 | 西区大字宮浦 外 | 3.54ヘクタール | 55.42ヘクタール |
令和5年度 | 西区大字宮浦 外 | 6.23ヘクタール | 51.68ヘクタール |
令和6年度(予定) | 西区大字金武 外 | 9.28ヘクタール | 93.48ヘクタール |
福岡市では、令和元年度より木材として利用可能な時期を迎えた、スギ・ヒノキ林を主伐し、広葉樹等の苗へ植え替えることで、森林資源の循環やスギ・ヒノキによる花粉症対策を図っています。
また、木は光合成によりCO2を吸収して炭素を固定しながら成長しますが、老木より若い木の方が、CO2を約4倍吸収するため、木を伐って苗を植え替えることで、カーボンニュートラルの推進も図っています。
(参考)植林年数によるCO2吸収量の比較
【木を伐採し苗植え替え後の様子(撮影箇所:城南区大字東油山地内)】
(苗植え替え直後の様子)
(苗植え替えから2年後の様子)
実施年度 | 実施場所 | 主伐面積 |
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令和元年度 | 城南区大字東油山地内 | 1.15ヘクタール |
令和2年度 | 城南区大字東油山地内 | 2.03ヘクタール |
令和3年度 | 早良区大字椎原地内 | 3.00ヘクタール |
令和4年度 | 早良区大字椎原地内 | 3.08ヘクタール |
令和5年度 | 早良区大字椎原地内外 | 3.00ヘクタール |
令和6年度(予定) | 早良区大字脇山外 | 4.46ヘクタール |
福岡市のスギ・ヒノキ林において、長期間手入れが行われず荒廃した森林や荒廃する恐れがある森林について、間伐等を行い森林の有する公益的機能が発揮できる森林へ誘導します。
【間伐を実施しなかった森林と実施した森林(平成25年度森林・林業白書掲載(一部改変))】
(間伐を実施しなかった森林)
林床に陽光が差し込まず、下層植生が失われたため、 降水による土壌流出が生じ、根が浮き出ている。
(間伐を実施した森林)
幹や根が太く発達するとともに、下層植生が繁殖し、風害や山地災害等にも強くなった。
〇荒廃森林の整備にかかる実施手順
実施年度 | 主な実施場所 | 間伐面積 |
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平成20年度~平成30年度 | 福岡市内 | 1,216.72ヘクタール |
令和元年度 | 西区大字金武、東区大字香椎 外 | 41.01ヘクタール |
令和2年度 | 早良区大字重留、大字東入部、大字脇山 外 | 43.48ヘクタール |
令和3年度 | 早良区大字椎原、大字小笠木、大字脇山 外 | 39.71ヘクタール |
令和4年度 | 早良区大字東入部 外 | 40.70ヘクタール |
令和5年度 | 早良区大字東入部 外 | 38.85ヘクタール |
令和6年度(予定) | 早良区大字東入部 外 | 37.65ヘクタール |