
福岡市では、海外展開を志すスタートアップや起業家、学生等を対象に、海外市場の理解や海外展開に必要なスキルを学ぶ研修、現地でのネットワーキングや商談機会を通じた実践的な支援を行う海外展開支援プログラムを実施しています。
今回、本プログラムの一つである、福岡市スタートアップを海外(派遣先:アメリカ・ニューヨーク)に派遣し、実践的なマッチング・ネットワーキング支援を行う「海外派遣プログラム」に参加する福岡市スタートアップ3社が決定しましたのでご紹介します。
海外派遣プログラムに参加する福岡市スタートアップは下記の3社です。
ニューヨーク派遣に向けて準備を進められている3社に、本プログラムに対する思いや意気込み等を伺いましたので併せてご紹介します。

機関投資家向けDeFi運用を支える「Execution Layer」を世界へ
株式会社Telihaは、機関投資家向けにDeFi(分散型金融)の運用を安全かつ継続的に実行するための「Execution Layer(実行レイヤー)」を提供するブロックチェーンスタートアップです。 Goldや日本円などのRWA(現実資産)トークンを対象に、「取引」そのものではなく、流動性維持や価格ペグといった市場運用を止めずに回し続けることを本質的な課題と捉えています。

代表取締役:部谷 修平 氏
代表取締役の部谷修平氏は、九州大学在籍時に経済産業省所管「未踏ユース」に採択され、未踏スーパークリエータに認定されたエンジニアです。技術と金融の双方に深い洞察を持ち、数秒の遅れが損失に直結するDeFiの現場要件を前提に、堅牢なシステム設計を行っています。
Telihaの強みは、監視(Monitoring)と自動実行(Execution)を統合した運用基盤です。参照価格との乖離を即座に修正するRebalancer Botや、安全制御を組み込んだ自動運用システムにより、人手運用の限界である「Ops Gap(運用の壁)」を解消。金融機関レベルの安全性を、ソフトウェアとして実装しています。
同社は「Turn intent into living systems.」をビジョンに掲げ、機関投資家やRWA発行体がオンチェーン資産を安心して運用できる世界標準インフラの構築を目指しています。
本プログラムでは、ニューヨークを中心とした金融エコシステムにおいて、キーマンとなる暗号資産(仮想通貨)取引所やOTCデスク、カストディアンとの実質的な商流構築に挑戦。単なるネットワーク形成にとどまらず、事業成長に直結する成果の獲得を目指します。

地域の価値を再編集し、次代につなぐ不動産・空間開発へ
Boutique Residence & Co.株式会社は、地域に根差した価値創出を軸に、不動産・建築・運営を一体で構想するデベロッパーです。単なる建物供給に留まらず、その土地が本来持つ歴史や文化、景観を丁寧に読み解き、次代に誇れる空間として再編集することを使命としています。

代表取締役:大木 健人 氏
代表取締役の大木健人氏は、九州大学および同大学院で建築を学び、野村不動産株式会社にて約5,000世帯・売上1,000億円規模の不動産企画に従事。その後、デジタルガレージにて福岡拠点長として、国内外のスタートアップと地域企業をつなぐ事業開発支援を行ってきました。不動産・建築を起点としたエコシステム構築を目指し、2025年1月末にBoutique Residence & Co.株式会社を創業しています。
同社の強みは、構想段階から事業化、運営までを一気通貫で伴走できるワンストップ型の開発体制です。現在は、シビックプライドの醸成につながる新築開発に加え、アダプティブリユースの考え方を取り入れた改修プロジェクト、さらには世界遺産や歴史的資源など地域固有の資産を活用した開発にも取り組んでいます。民間ならではのスピード感と事業性を両立させながら、観光・文化・経済が循環する持続可能なプロジェクトを現在リリース準備中です。
中長期的には、日本発の高付加価値な不動産・空間開発モデルを海外へ展開することを成長戦略の一つと位置づけています。東南アジアや中東を中心とした投資家やファミリーオフィスとの関係構築を進める一方で、どの市場・スキーム・プロダクトを起点とするかという「最初の一手」の見極めが現在のテーマです。
本プログラムでは、成熟市場であるニューヨークにおいて、現地のデベロッパーや投資家、クリエイターとの対話を通じ、実行可能性の高い海外展開モデルを検証。帰国後すぐに協業検討やプロジェクト検証へ移行できる状態をつくることを目指します。「世界に伍する日本発の街づくり」を掲げ、地域の可能性を世界へと広げていきます。

職人技とテクノロジーで、スポーツの挑戦機会を世界へ
株式会社Yashinは、スピードスケート競技を起点に、スポーツ&テクノロジーによる次世代の競技環境づくりを目指すスタートアップです。家業であるスピードスケート靴職人の高度な技術を、デジタル製造技術と融合させることで、「生まれた場所や環境に左右されず、誰もが自分の最高のパフォーマンスに挑戦できる土台」を世界に広げることを目指しています。

代表取締役:大井 憲太郎 氏
代表取締役の大井憲太郎氏は、福岡大学卒業後、約9年間にわたりスタートアップ企業にてプレシードからシリーズAまでの成長フェーズを経験。IT・SaaS領域において、カスタマーサクセスやプロダクトマネージャーとして複数のサービス立ち上げ・改善に携わってきました。医療・ヘルスケア分野を中心に、データ活用やユーザー体験設計を軸としたプロダクト開発を行い、2025年に独立。同年10月、福岡にて株式会社Yashinを創業しました。
Yashinの強みは、プロダクト視点と現場理解を両立させた事業設計力です。ユーザー課題の構造化から検証・改善までを一気通貫で行うアプローチを活かし、現在は3Dプリント技術によるカスタムスケート靴のプロダクト検証を進めています。属人的になりがちな職人技を再構築し、再現性と拡張性を備えた形で次世代へ継承することに挑戦しています。
本プログラムにおいてYashinが重視するのは、海外市場における「本音の評価」と、将来につながる信頼関係の構築です。スピードスケートは競技人口・市場ともに海外比率が高く、欧州・北米・アジアを中心に大きな成長余地があります。現地の選手・コーチ・関係者と直接対話し、自社の構想や試作品に対する率直なフィードバックを得ることで、事業とプロダクトを国際的な文脈で磨き上げていきます。
Yashinは本プログラムを単なる経験に終わらせることなく、得られた知見を即座に事業へ反映し、Day1から海外を前提としたグローバルな事業づくりに挑みます。
海外展開支援プログラムの詳細は、下記の専用サイトからご確認ください。
令和7年度 福岡市 海外展開支援プログラム事務局(有限責任監査法人トーマツ内)
メール : fukuoka2global@tohmatsu.co.jp
住所 : 〒810-0001 福岡県福岡市中央区天神1丁目4-2