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更新日:2024年8月30日

共働事例インタビュー「NPOと大学と地域と保育」

地域の親子が集まって食事をしている様子

「地域食堂(子ども食堂)みん食Minna」の様子

地域の子ども達と大学生が一緒に遊んでいる様子

大学生によるこどもの居場所づくり「たべラボ」の様子


インタビューした方のご紹介

  • 特定非営利活動法人 アクションタウンラボ 目叶(めがの)さん
  • 九州産業大学 芸術学部 ビジュアルデザイン学科 真島(まじま)先生
  • 地域食堂(子ども食堂) みん食Minna(みんしょくみんな)代表 吉田さん
  • かかりつけ保育士 Wellbeing YUI(ウェルビーイング ユイ) 吉武さん

所属・役職等は取材時(令和5年度)のものです。



福岡市東区にある「まちスポ福岡東」に、地域住民の方から相談があり始まった地域食堂(子ども食堂)。そこに大学が加わり、さらに、保育士がプロボノとして関わられています。
NPO、地域、大学、またプロボノとして関わる皆さんに「共働」について伺いました。
※「まちスポ福岡東」は、特定非営利活動法人アクションタウンラボ(アタラボ)が管理・運営するまちづくり活動の交流拠点です。


特定非営利活動法人アクションタウンラボ 目叶(めがの)さん

※2024年3月アタラボを退任、現在は子どもの未来研究室副代表

Q共働のきっかけを教えてください。

・「アタラボ」は、NPOや地域の方々の活動を活性化するため、周辺の大学や自治会、公民館や学校とのつながりを大切にしています。
また、中間支援組織として、相談窓口を設置しています。2年くらい前に九州産業大学の真島先生が来られ、子どもに関する複数の課題解決の思いがあるようでした。

・一方で、この場(まちスポ福岡東)を使って、地域食堂(子ども食堂)ができないかと下原校区の住民である吉田さんが相談に来られ、ぜひ!ということで、20224月から「みん食Minna」が始まりました。1年ほどたった時、真島先生の声掛けで、子ども食堂開催時に、学生による学習支援をしたり、一緒に遊んだりする居場所づくり「たべラボ」の企画が始まりました。同じころ、「かかりつけ保育士」として活動中の吉武さんに出会い、学生による居場所づくりのボランティアに対し、保育士の視点から環境設定や言葉かけの指導をしていただいています。
共働って、互いの信頼関係があって成り立つものだから、何の前準備もなくいきなり「共働しますよ」って生まれるものじゃない。核となるメンバーはゆったりとつながっていて、事業を進めていく中で、足りないところを満たす人(団体)を探して、強化していきます。

・我々が始める共働もありますが、この場で出会った人たち同士が、名刺交換して、「一緒にできますよね?」と。それを我々が支援する場合もあります。


Q共働の価値や、共働を行うメリットとは何ですか。

・メリットとしては、自分たちだけでは足りないところを強化することができるってことかな。事業に必要な専門性や知識を持っている人たちを集めることにより、より深みのある事業になるだけでなく、そうした人たちから学びを得て、次の事業につなげていけるし、ステップアップにもつながります。

・普段の自分たちの領域でだけ活動していたら、気づけないことに気づいたり、さらなる新しい活動の芽が生まれていくきっかけになります。そうなると、どんどん新しい価値の創出になりますよね。


Q共働をする中で苦労することはありますか。

・簡単に言うと、一つの言葉でも、イメージすることが違う場合があることを想定しておくことです。多様な文化的背景を持つメンバーがチームの中にいるのは当たり前なので、「何を言っているのか、意味しているのか」を理解しようとすることが大事です。同じ目標に向かっているつもりでも、本当に同じなのかと常に確認します。互いの土壌が違うのでアプローチ方法も違うこともあるし、事業が進んできて、「そんなことだったの?」となることもあります。だから、都度、確認や調整は重要になりますね。それと、互いを尊敬しあいながら、対等に話ができる関係を作ることが、大切だと思います。萎縮してしまっては、真価が発揮できないからですね。


Q共働で事業を実施する上でのモチベーションは何ですか。

・「おもろいね!」っていうところです。今この社会にはないけれども、あったら絶対みんな楽しくなるよねって思う仕組みを作ることが、モチベーションなのかな。あと、人が笑顔になってくれること。よかった、助かった、面白かった、またやろうって。この言葉もすごくモチベーションに繋がりますよね。「また、なんかやろう」って、最高の言葉です。


Q共働のポイントや気を付けているところは何ですか。

・コミュニケーションと対話の頻度が、一番大事かなと思います。あとお互いが尊敬しあえる関係性を持つチームを作ること、この二つを心がけています。忌憚なく話すことができれば、非常に建設的な、目的に向かってより先鋭化された集団になれるかなって。能力を十分に発揮してもらうために一番大事なのは、対話かなと思います。


九州産業大学 芸術学部 ビジュアルデザイン学科 真島(まじま)先生

Q共働するメリットや価値はどこにあると思いますか。

・「たべラボ」に参加している学生は、子どもたちの学習支援だけでなく「みん食Minna」のチラシやポスターのデザイン、イベント企画なども担当しています。共働することは、大学でデザインや心理学、経済学の基礎を学び、学外での実践で応用が利くかどうか、臨機応変に対応できるかどうかを試す“実験・研究の場“でもあります。学外の活動において、様々な立場の対象者と共働することは、学生の視野を広げ、偏りのない多様性を学ぶことになります。


Q共働をするうえで大変なところはありますか。

・それぞれの役割や立場、世代が違うもの同士が共働することは、参加する目的や達成目標が一緒とは限りません。そうした中での上手くコミュニケーションを取り、ギクシャクしないようにお互いに心配りすることは大変です。それもまた共働の一番大事なことではないでしょうか。


地域食堂(子ども食堂) みん食Minna 代表 吉田さん

Q共働するメリットや価値はどこにあると思いますか。

・お互い様の精神で共働しているので、「みん食Minna」としてできることはやろうと思っていて、「まちスポ福岡東」の事業で関われることは関わろうと思っています。

・私たちは子ども食堂の開催だけで手一杯ですが、九州産業大学の学生や先生と繋がったことで学習支援を行うことができているんです。共働することで活動の可能性は広がるっていうのはありますね。

・「まちスポ福岡東」に本当に助けてもらってるんです。一緒にすることによって、場所代・水道光熱費がかかりません。

・また、「まちスポ福岡東」では、フードドライブをしていて、そこで集まった食材を提供してもらったり、逆に「まちスポ福岡東」に高齢者の方から食事を食べてないと相談があったら、食材を提供したり、いろんな利用者に対応しています。


かかりつけ保育士Wellbeing YUI 吉武さん

Q共働するメリットや価値はどこにあると思いますか。

・専門的なアドバイスも含めて、私個人が持っている人的・物的リソースを「アタラボ」に還元できますし、お互いにWin-Winの形で子どもたちにとって豊かな環境を創ることができることかなと思います。

・共働することで子どもたちの環境がより豊かになっていくことに、めちゃくちゃ魅力を感じています。

・子どもの前に立つ一人の大人として、共働は永遠のテーマだと思っています。先が見えない今の時代、答えのない未来に進んでいく子どもたちにとって、誰かと何か共働することは、必要な力です。それを目の前で大人が見せることで、そのまま子どもたちは吸収します。それこそが楽しさであり学びであり、子どもたちに伝えたいことでもあります。