大正12年5月31日生(平成13年9月30日逝去)
西島伊三雄氏は,洗練されたデザインセンスと高い創造性を持つ日本を代表するグラフィックデザイナーとして,国内外より高い評価を受ける一方,ユニークで親しみやすい童画を通して,地域に密着した伝統文化や生活文化を鮮やかに描き出し,人々の心に忘れかけた安らぎと郷愁をもたらしています。同氏の代表的な作品の一つに,福岡市営地下鉄各駅のシンボルマークがありますが,誰からも親しまれ愛されています。
同氏は,博多どんたくを風土に根ざした市民文化として位置づけ,次世代への継承や市民の祭りへ発展させる指導的役割を果たされるとともに,自ら描いた童画やポスター等により,博多どんたくの広報・普及活動を行い,さらには,毎年ボランティアで扇やうちわ,てぬぐいの図柄を描いて募金協力を行うなど,生涯を通じて博多の文化を守り育てることに尽力されました。
また,同氏は,博多の古き良き伝統へ熱い思いを寄せ,昭和48年には博多町人文化連盟を結成し,放生会幕だしの復活,博多町人文化勲章の制定などを行うとともに,平成7年に開館した博多町家ふるさと館の初代館長として,博多に伝わる伝統芸能の復活に尽力されました。
さらに,同氏は,昭和53年に開催されたサンフランシスコの桜祭りに,100名の博多どんたく隊の団長として参加して以降,ハワイへの博多祇園山笠の派遣、ボルドー市への福岡文化使節団派遣等に尽力されました。また、福岡文化連盟理事長として,韓国釜山市との文化交流にも積極的に関わるなど,国際交流や観光振興においても貢献されました。