
福岡への移住をサポートするプロジェクト「福岡移住計画」。6月4日には、東京・下北沢にあるシェアオフィス「the Association」で、イベント「福岡移住茶論vol.1 移住ライフハック」が開催されました。今回は、その模様をレポートします!
「移住に『根を下ろす』という強迫観念は必要ない」
会場に足を踏み入れると、参加者が座る椅子の上に缶ビールが。実はこれ、参加者に福岡にいる気分を味わってもらう演出なのだとか。
「中洲の屋台で飲んでいると、30分もすればその場にいた人たちがみんな友達になっちゃう。今日も、そんなイベントになりそうですね」
イベントの冒頭、参加者とともにビールを飲みながらそう話すのは、登壇者の米田智彦さん。月間300万以上のユニークユーザー(閲覧者数)を誇るウェブメディア「ライフハッカー日本版」の編集長で、高校生までは福岡で暮らしていた人物です。
そんな米田さんが考える「移住ハック」とは、いかなるものなのでしょうか?
「移住と聞くと、『根を下ろす』という強迫観念に囚われてしまう人が多いような気がします。でも、そんな必要はないと思います。例えばマンションに住むとき、引っ越してみたら隣の人がうるさかった、というケースがありますよね。それがどうしても嫌で、再び別のところに引っ越す人もいると思います。移住もそれと同じで、ダメだったらやめる、という選択肢をとるのもアリなのではないでしょうか」(米田さん)
移住について、深く考えすぎないことも大切だと説く、米田さん。さらに、「地方」に移住する、という固定概念も壊した方がいいとも。
「ぼくは『地方』という言い方が嫌い。自分のいるところが『中央』なんだ、という意識が必要ではないかと思うんです。先日、ロサンゼルスに行ってきたんですが、(首都ではないが、ビジネスやエンターテインメントなどの分野で)世界の中心だなあ、と感じました。グローバルな時代なのだから、『中央と地方』という概念を持つよりも、自分の居場所である東京や福岡が中央なんだ、という意識が必要だと思います」(米田さん)
続いて登壇したのは、フリーの人事コンサルタントとして働きながら、キャンドル作家としても精力的に活動されている佐藤智美さん。
「もともとゲーム関連の会社で人事の仕事をしていましたが、並行してハンドクラフトの作家活動をしていました。震災が起こったとき、『明日、死ぬかもしれないんだな』という思いを持つようになったのを機に『やりたいことをやろう』と決意し、会社を辞めました」
そう語る佐藤さんの出身地は福岡県太宰府市。昨年帰省したとき、福岡市を含めた県内外に多くの魅力的なスポットがあるのを再発見し、今年3月から2拠点生活をスタートさせたのだとか。
現在、1ヶ月のうち3週間は東京、残り1週間が福岡という生活を送っているという佐藤さん。今のところ東京での仕事が中心ですが、いずれは福岡での仕事も増やして、福岡と東京の割合を半々にしたいと考えているとのことです。
続いて、以前、#FUKUOKAにも登場した(https://www.city.fukuoka.lg.jp/hash/news/archives/24 )GMOペパボの今岡佐知子さんが登壇し、「最近、会社の人事異動で東京勤務になったが、今まで暮らしたさまざまな街の中でも1番福岡が印象に残っている」とコメント。
質疑応答で問われた「福岡のデメリット」 登壇者の答えとは?
一方、登壇者によるクロストークの後で行われた質疑応答では、参加者からこんなストレートな質問も。
「福岡の移住を真剣に検討しており、いいところはよくわかりました。だから、福岡の街が持つデメリットを教えてほしい」
こうしたイベントではとかくメリットだけが語られがち。本気で移住を考えているからこそ、知りたいデメリット。この質問に、前出・米田さんと佐藤さんは「教育」と口を揃えます。
「私立の高校・大学が少ないので、選択肢は少ないですね。特に、レベルが高い学校でエスカレーター式に進学させたい、というと行ける場所は東京より限られると思います」(米田さん)
「(高校までは公立校に通うケースが多いので)教育に合わせて住む場所を決める、という必要があるかもしれませんね」(佐藤さん)
子どものいる移住希望者にとって教育環境は移住を決める大きなポイントとなります。登壇者らが指摘する、福岡の“ウィークポイント”。この回答に、質問者やほかの参加者も深く頷いていましたが、こうした全てのファクトを天秤に載せることが情報発信者にとって重要だということを再確認しました。
福岡移住計画は今後も月1回程度、「福岡移住茶論」を開催していくそうです。福岡移住を検討する人はもちろん、「地方に住むならどこに行こうか?」と迷っている人にとっても、大いに参考となるイベントといえそうです。
[関連リンク]
福岡移住計画
https://fukuoka-ijyu.jp/
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