スタートアップが防災にイノベーションを! 福岡発“防災×テクノロジー”が見据える防災の未来

11月10日(木)、アクロス福岡イベントホールにて「フクオカ・スタートアップ・セレクション2016」が開催されました。このイベントは、スタートアップから大企業まで、さまざまなステージにある企業のマッチングを目指したもの。今回は「防災×テクノロジー」をテーマに掲げ、400人超の方が参加して盛大に行われました。

奇しくもこの日は、JR博多駅前で道路が陥没する事故が発生してから、わずか2日後。防災への意識と関心が、否が応でも高まる中での開催となりました。まずは、防災服に身を包んだ高島宗一郎市長が登壇。事故の現状と対応状況を率直に伝え、さらに「防災×テクノロジー」をテーマとしたイベントの意義についてこう語りました。

「昨年のこのイベントでは、高速道路のNEXCO西日本と、ドローンを使ったコンサルティングベンチャーとの出会いがありました。その後、熊本地震が発生した際に、このドローンが高速道路の早期復旧に貢献。それは、このイベントがあったからこそ実現できたことです。九州は自然災害の多い地域ですから、テクノロジーを結集して対応していく必要があります。『防災×テクノロジー』の分野はまだまだブルーオーシャンと言えますし、今後のビジネスチャンスは大いにあると考えます」

その後、キーノートとして、福岡市の「防災×テック」プロジェクトを全面的に支援している日本財団会長の笹川陽平さんが「日本財団の災害復興支援」をテーマに、財団の取り組み内容や東日本大震災、熊本地震での避難所調査等を通して見えてくる課題について紹介しました。

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続いて、特別講演としてスタートアップの運営サポートなどを行うMistletoe(ミスルトウ)株式会社の代表取締役社長兼CEO・孫泰蔵さんがスピーチ。孫さんは、8月24日(水)に福岡市で開催された「防災サミット」での「防災テックラボ(仮)」開設宣言を踏まえて、より具体的なアイディアを提案。さまざまな機能を持つコンテナを組み合わせて、生活拠点や店舗、スタートアップの技術研究開発などを行う「POP UP Commons(ポップ・アップ・コモンズ)」という構想を披露し、会場を沸かせました。

この他、LINE株式会社の江口清貴さんらによる講演の他、オープンイノベーションに取り組む地元企業との商談や展示のためのブースも設置されました。展示ブースでは防災にとどまらず、さまざまなサービスやプロダクトを展開するスタートアップが出展。会場内のプレゼンテーションゾーンでは、国内外のスタートアップ30社超のピッチも行われ、ベンチャーキャピタル11社とのマッチングの機会も。それ以外にも、参加者同士でのランチタイム交流会や名刺交換会などさまざまな交流の機会が設けられました。

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(InstagramなどのSNSに指定のハッシュタグをつけて投稿された写真を、無料でプリントできるサービス「PICSPOT」を手がける陳(チャン)さん。当日はピッチのグローバルステージで登壇。現在は香港やタイなどアジア各国に展開中で、今後は日本にも積極展開していくとのこと)

スタートアップ都市宣言以降、福岡には新しい技術開発とそれを育む土壌が生まれつつあり、スタートアップ界隈は活況を呈しています。今回のイベントも「防災」がテーマでありながらも、堅苦しく考え込むような難しい話に終始するのではなく、“このような課題についてはこうすれば解決するのではないか”“そのためにスタートアップができることはなにか”といった未来志向の話が中心となりました。

備えあれば憂い無し−−いざというときに安心できる備えを、テクノロジーで解決しようという新しい試み。もちろん未来の防災は、スタートアップや中小企業、行政だけでなく、一般市民の力や意識も大切になってきます。さぁ、みなさんも一緒になって“オール福岡”として、防災にイノベーションを起こしましょう!

 

【関連リンク】
フクオカ・スタートアップ・セレクション
http://fukuoka-startup-selection.jp/

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