福岡にいながらにして大手企業のTVCMを多数手がけるランハンシャとは、どんな会社なのか?デザイナー堀 愛実氏が語る!

キリンビールやJRAなど、大手クライアントのTVCMを多く手がける株式会社ランハンシャ。最近はプロジェクションマッピングの仕事も増え、九州国立博物館や東京ビッグサイトといった大型施設でその作品を披露している。福岡にオフィスを構えながら全国的な活動をしているランハンシャでデザイナーとして活躍する堀 愛実氏に、福岡で働く魅力と映像制作に対する思いを聞いた。

151028_hash_ranhansha_1.jpg

CGWORLD(以下、CGW):ランハンシャの事業内容を教えて下さい。

堀 愛実氏(以下、堀):ランハンシャはTVCMの3DCG制作が中心の制作会社です。3DCGが使われるものであれば多岐に渡って制作しており、PVやWebムービーの制作、最近ではプロジェクションマッピングやインタラクティブな映像作品も多く手がけています。

今年の1月~3月まで九州国立博物館であった特別展『古代日本と百済の交流』で、プロジェクションマッピングの常設展示が行われていたのですが、企画から映像制作、システムの設置まで全てランハンシャで手がけました。CMでは『キリンのどごし<生>』シリーズやJRAの桜花賞などの3DCG制作をお手伝いさせていただいています。

あと、今年の3月の『AnimeJapan 2015』の開催に合わせて、東京ビッグサイトで行われたプロジェクションマッピング「SPORTING SPIRIT」の制作も、話題性のある大きなプロジェクトでしたね。

151028_hash_ranhansha_2.jpg
九州国立博物館であった特別展『古代日本と百済の交流』で常設展示されたプロジェクションマッピングのワンシーン

CGW:堀さんの現在の業務内容を教えて下さい。

:将来的にCGディレクターになりたいので、徐々にCGのディレクションをやらせてもらっていますが、今はCGデザイナーとしての仕事が大半です。スペシャリストよりもゼネラリストが多い土地柄なので、3DCG制作には幅広く携わっているのですが、大学時代に2Dアニメーションの制作に力を入れていたこともあって、手描きのアニメーションの仕事をいただく機会も多々あります。

151028_hash_ranhansha_3.jpg

CGW:広島県のご出身だそうですが、なぜ福岡で働くことになったのですか?

:実は映像の仕事ができるのであれば東京でもどこでも良かったんです(笑)。最初は2Dの仕事をしたくて職を探していたのですが、弊社代表の下田がランハンシャを起ち上げる前に在籍していた会社で募集していた3DCG制作のアルバイトに興味を持って。それで学生時代に3DCGで作った作品を持って見せたら採用してもらえて福岡に来ることになったんですよね。

広島から福岡に来てみると、3DCGの仕事をはじめクリエイティブ系の会社が多いことを知って驚きました。さらに、仕事で東京に出張するようになって分かったんですが、東京の仕事ってスタジオや関わるスタッフの人数、仕事の規模がとてつもなく大きくて、スペシャリストたちが集まって大人数で制作しますよね。同じ仕事をしているのに名前すら知らない人もたくさんいたり(笑)。

それに比べて福岡の3DCGの会社って、少人数でわいわいと手作りで作っている感じがあるんですよ。私にとってはそこがいちばん重要で楽しいところなので、福岡の働き方は自分に合っているし福岡で働いていて良かったなと思っています。

CGW:”手作りで作っている感じ”とおっしゃいましたが、具体的にどんな作業をしているときに感じるんでしょうか?

:例えばランハンシャでは、自分たちでカメラを持って素材を撮影してみたり、3DCGでどうすればもっとリアルになるかを、まず一度紙粘土と絵の具などで実際に作って実験してみたり。そういう作業を含めて、自分のやったことや考えたことがダイレクトに作品に反映されるのは、やっぱり仕事をしていて面白いところだし、魅力的ですね。

CGW:現在勉強していることや力を入れていることはどういったことですか?

:先ほどもお話したように将来的にCGディレクターを目指しているので、まずは自分ひとりでもクオリティの高い作品が作れるようになりたいですね。そのために、色んな現場に出て人との繋がりをつくったり、どういうものが求められているのかを肌で感じたりしないといけないと思っています。

あとは、”実践あるのみ”でより多くの現場経験を積むようにしています。3DCGの技術を磨くのはもちろんですが、現場に出て撮影をはじめ、幅広く様々なスキルを磨いていきたいなと思っています。画作りの力を評価してもらうことが多いので、そこを更に伸ばせるよう、アナログ的な画作りやアニメーションの手法をもっと追求したり、それを3DCGで表現するときに求められる知識とセンスも鍛えたいですね。

151028_hash_ranhansha_4.jpg

CGW:ランハンシャの良い所はどういったところですか?

:やっぱり、スタッフ全員が各々の知恵と技術を持ち寄ってひとつの作品を作り上げる”手作り感”が一番の魅力です。

また、新しい手法や表現など「新しいことをやってみたい」という気持ちと、挑戦することに対してとても寛大な会社です。私たちの仕事はルーティンではなく、全て新しい挑戦の詰まったオーダーメイドな仕事なので”ぶっつけ本番”な部分があるんですが、基本的に「できないことはない」と前向きな気持ちで取り組んでいるんです。

マッピングを初めてやった時なんかは、どうすればいいか分からない所から始まったんですが「こんな感じでやるんじゃないか」と想像して取り組んでみたり、みんなでホームセンターに行って設置に必要な道具を買い揃えたり。すごく手作り感があるんですよ(笑)。

スタッフがそれぞれ得意とするものを持ち寄って、積極的に新しい映像表現に挑戦し続けるランハンシャ。「できないことはない」というポジティブな考え方の下、自分達らしい”手作り”の映像表現と高いクオリティを追求する彼らは、決して背のびをすることなく、いつも自然体で映像制作を楽しんでいる。

ものづくりが大好きで人を喜ばせるのも大好き。次はどんな作品で私たちを楽しませてくれるのだろう。期待は高まるばかりだ。

【プロフィール】
掘 愛実 / Aimi Hori
1990年広島県広島市生まれ。広島市立大学芸術学部を卒業。2012年、福岡県内のCG会社に入り、2013年、そのときの上司が起ち上げたランハンシャに入社。CGデザイナーとして、「adidas サッカー日本代表新ユニフォーム」、「キリン のどごし<生>」などのCM、その他プロジェクションマッピング制作に携わる。

【関連リンク】
福岡クリエイティブキャンプ2015 公式サイト
http://fcc.city.fukuoka.lg.jp/

"U/Iターン経験者に聞く福岡のここが魅力!

151028_hash_ranhansha_miryoku.jpg

CGデザイナー
堀 愛実

広島県出身[広島県からIターン]

東京と比べて、少人数で制作しているプロジェクトも多いので担当する役割が広く、自分がやったことが作品にダイレクトに反映されることも多いので、達成感があってモチベーションが上がります。

あと、福岡市がクリエイティブ産業の誘致に力を入れているので、今後もクリエイティブ系の仕事は発展し続けると思います。アイデアをどんどん出し合って、一緒に面白いものを作っていけると嬉しいです。

アクセスランキング