天神の一角、昭和通り沿いにある福岡市赤煉瓦文化館は、その名の通り、レンガの赤と白い帯、銅板葺の屋根が印象的な洋館。明治42(1909)年に日本生命保険株式会社九州支店として建てられた歴史ある建物で、国の重要文化財にも指定されています。以前は歴史資料館として使われていましたが、資料館の機能が福岡市博物館に移転したため、平成6(1994)年から赤煉瓦文化館として市民に親しまれています。
この赤煉瓦文化館、ある有名な建物に似ていると思いませんか?最近、大規模に修復されて話題になった東京駅です。赤いレンガと白い花崗岩で造られた外壁は、19世紀末にイギリスで流行した様式に影響を受けたもの。ドームや尖塔を備えた銅板葺きの屋根と美しいコントラストを見せています。赤煉瓦文化館も東京駅も、明治時代に活躍した建築家・辰野金吾の設計によるものなのです。
辰野金吾は佐賀県唐津市の出身で、工部大学校(後の東京大学工学部)を首席で卒業。イギリス留学の後に日本を代表する建築家として活躍します。赤煉瓦文化館は、辰野と建築家の片岡安が共同設立した建築事務所が手がけ、東京駅に先立つこと5年前に竣工しています。外観だけでなく、アール・ヌーボーの影響を受けた内部の照明や装飾なども美しく必見です。
現在、赤煉瓦文化館は会議室などとして一般市民が利用できるほか、1階には福岡市文学館が開設されています。福岡ゆかりの作家の作品、原稿などの展示に加え、さまざまな文学関連のイベントも開催されています。2ヶ月に1度、「赤煉瓦夜話」と名づけられたイベントは、さまざまな講師が文学について語るもの。明治の洋館で文学について学ぶのも素敵だと思いませんか。
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この記事の内容は,2015年時点のものです。
2019年3月に,赤煉瓦文化館の文学館展示は福岡市総合図書館に移転しました。