2月といえば「梅」でしょう。受験シーズン間近になって来ると、福岡県内だけではなく、九州各地から合格祈願のためにたくさんの受験生が集まってくるのが太宰府天満宮。そして太宰府天満宮といえば「飛梅」です。天神様と呼ばれる天満宮の祀神・菅原道真が都から九州に左遷されてきたとき、後を慕って飛んできたという哀しくも美しい物語があります。本殿に向かって右側に鎮座していますが、もちろんこの「飛梅」は樹齢150年ほどで、飛んできてから10代目にあたるとか。全国に数ある天満宮の紋(ロゴマーク)は現在も梅マークであり、福岡県の花「県花」でもあります。
さてこの「梅」ですが、古くから九州北部に自生していたという説もありますが、奈良時代以前に遣唐使が薬の木として他の中国文化とともに持ち帰ったものといわれています。当時から多くの日本人に愛され、平安時代には広く普及したそうで、「万葉集」にも萩の花に次いで2番目に梅の花を歌ったものが多いようです。
1月中旬くらいになって暖かい日がつづくと「飛梅」はほころびはじめ(花が2、3輪開くこと)、2月半ばころには満開となります。品種は300種以上あるといわれ、ここの飛梅は早咲き種なので、普通に見る梅よりも早く咲く種類です。福岡では早春を告げる季節の風物詩なのです。そして、梅といえば鶯、ホーホケキョの鳴き声で有名ですが、こちらも春告鳥の異名を持ち、このセットは「花札」でおなじみのデザインです。例年だと2月中旬から3月中旬までが梅の花が楽しめる時期、花見といえば桜ですが、香り高い梅見というのも一興です。
福岡市広報課長 佐々木 喜美代