残暑厳しい中、食欲が今ひとつ…という人でも食べたくなるのが麺類。特に、うどんとそばは冷たいものでも温かいものでも人気です。その「うどん・そば」が博多発祥って知っていました?
博多祇園山笠発祥のお寺としても知られる博多駅前1丁目にある「承天寺」(1242年)の境内には「饂飩蕎麦発祥之地」という石碑が建っているのです。承天寺を開いたお坊さん・聖一国師は仁治2年(1241年)に中国から帰国した際に、製粉の技術を持ち帰ったといわれます。当時は、多くの僧侶たちが博多(那の津)から仏教修行のために中国へ旅立ち、教典とともに多くの書物と技術を持ち帰ったのです。このおかげで、きめ細かい粉が作られるようになり「饂飩・蕎麦・饅頭」などの粉物食文化が全国に広まっていったのでしょう。
饅頭も、聖一国師が博多の町を毎日托鉢して歩いていたときに、親切にしてくれた茶店の主人に製法を教えたと伝えられています。教えた饅頭は「甘酒饅頭」で蒸したもの。また羊羹の作り方も伝えたそうで、中世(鎌倉、室町時代)茶道の発展とともに饅頭も羊羹も広がりました。2008年には饅頭発祥の碑も建てられています。
ちなみにお茶も博多に最初に伝わっています。日本最古の禅寺「聖福寺」(1190年)を開いた栄西禅師が茶種を持ち帰り、背振山に植えたのが最初といわれ「茶祖」と呼ばれました。
これら承天寺、聖福寺は博多駅から大博通りを歩いて数分のところにあります。他にもいわれのある寺社仏閣が多数あり、境内や庭園の樹木も大きく、秋も深まると見事に色づいた景色を見せてくれます。食べながら歩きながら、博多の歴史に触れてください。
*托鉢
出家者の修行の一つで、家々を回り最低限の食糧をもらうもの。この行為は民に功徳を積ませるため。
福岡市広報課長 佐々木 喜美代
(※2009年8月20日時点の情報です)