6~7月の梅雨時に開花するアジサイは日本が原産国。日本最古の和歌集「万葉集」にも登場するほど、古くから人々に愛されてきました。花のように見えるのは、一般の植物でいうところのガクが発達したもので、白から青や紫などへ時間とともに色を変えていきます。現在では品種改良されて、日本はもちろん、ヨーロッパやアメリカなどでも観賞用に栽培されています。
アジサイが福岡の街中で気軽に観賞できるスポットのひとつが筥崎宮の「あじさい苑」。境内の西奥、本殿の裏手にあり、6月になると社殿を背景に色とりどりのアジサイが咲き誇ります。およそ1700坪の敷地に約100品種、3500株のアジサイが競うように咲く様子は圧巻。近くの「神苑花庭園」では5000本のユリが見頃となるので、こちらもアジサイとあわせて楽しんでください。
桜の名所として名高い福岡城ですが、一帯を整備した舞鶴公園には四季折々にさまざまな花が咲き、アジサイも園内のあちこちに植えられています。苔むした石垣とアジサイのコントラストは風情がありますが、とりわけ美しいのがお堀に面した下之橋御門前に咲くアジサイ。同じ時期、お堀には淡い黄色をしたスイレンが開花します。アジサイとスイレンの花の競演も見事です。
博多区にある龍宮寺もまた美しいアジサイで知られるお寺。こじんまりとして静かな境内は、ゆったり散策するには最適です。ここには人魚の伝説があり、貞応元年(1222年)に博多津(現在の博多港)で捕らえられた人魚を葬ったことから現在の名前になったと伝わります。実際に人魚の骨が本堂に納められているほか、人魚の姿を描いた江戸時代の秘蔵の掛け軸もあるそうです。
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