福岡市西区から唐津市へ抜ける旧唐津街道沿いに美しい松林が広がっています。地元では「生(いき)の松原」として親しまれているこの松林は、玄海国定公園内にあり、古くから景勝地として知られてきました。昔から多くの人がその美しさを歌に詠んでいます。現在でも海沿いの景観が楽しめるドライブルートとして人気の場所で、また都心から近い便利な立地のため夏には海水浴場として多くの人が訪れます。
福岡各地には神功皇后にゆかりのある伝説が数多く残されていますが、この生の松原もそのひとつです。神功皇后が新羅遠征の際に、松の小枝を逆さに植えながら「願いが叶うなら生きよ」と唱えたという伝承が残ります。その松が無事に生きたことから「生の松原」という名称がつけられたそうです。和歌などでは「行き」「生き」にかけて歌われています。
松林で目を引くのが海岸線に築かれた石組み。鎌倉時代の文永11(1274)年に蒙古(元寇)の襲来を受け、博多湾一帯に築かれた元寇防塁を復元したものです。この辺り一帯は弘安4(1281)年に再度、蒙古軍が襲来した弘安の役における激戦地。14万の大軍で押し寄せた蒙古軍と生の松原で戦った様子が「蒙古襲来絵図」に描かれています。
日本各地の海岸線に見られる白砂青松の美しい松林ですが、実は自然にできたものではありません。海から吹く風や砂、潮の影響から田畑を守るため、古くから人々が一本一本手で植え、大切に育ててきたものです。海岸沿いの松林は都市化とともに福岡でも姿を消してきましたが、その一方で、博多湾に松林を復元しようと植樹を続けている団体もあります。いつ時代も松林は人の手で守り、育てられてきたのです。
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