福岡の街が全面的に「博多」と呼ばれる季節、それが7月、博多祇園山笠の時期です。6月1日から博多は山笠の法被を着てうろつきまわる男衆でいっぱいになります。長法被と呼ばれる当番法被は山笠期間中の正装なので、結婚式もお葬式も冠婚葬祭は全部この衣装でOK。一流ホテルといえど、法被姿で出入り自由です。
さて、福岡・博多で生活しようと思ったら、覚えなければならないものが2つあります。特に地場企業に就職して、地域に密着した仕事をしていこうと思っている人はなおさらです。それは何かといえば「博多手一本」と「博多祝い唄」。まず会合があるたびに、協議がまとまると「異議はありません」という意味で手一本が入れられます(手締めなどの言い方がありますが、博多では手一本入れると言います)。この後には異議を唱えないという暗黙の了解があるのです。会合だけではなく、飲み会のあとでもなんでも、とにかく「博多手一本」なのです。
足を軽く開き、手は肩幅以上には広げません。そしてかけ声は
よー、シャンシャン(これが手拍子の音)、まひとつ、シャンシャン
いおうて(祝うて)三度、シャシャンシャン
この「いおうて」はほとんど「よーと」にしか聞こえません。これが入ると会合はお開きです。
「博多手一本」の前に唄われるのが「博多祝い唄」で、おめでたい席では最後の締めとして、必ずといっていいほど唄われるので覚えておきましょう。15日早朝の追い山櫛田入りには、一番山笠だけが唄うことを許されていますので、それを聞くのもおすすめです。下手な人に習うと、唄の出だしや節回しが正調ではないので、必ず上手な人に習いましょう。もっとも効果的な覚え方は、山笠に参加することです。きっとクセになりますよ。
福岡市広報課長 佐々木 喜美代
(※2009年6月20日時点の情報です)