現在位置:福岡市ホームの中の市政全般の中の水道・下水道・河川の中の道路・河川・下水道の中の下水道事業の中の下水道事業の紹介の中の下水道分野の国際貢献・展開についてから下水道分野の国際貢献・展開について
更新日: 2020年7月14日

下水道分野の国際貢献・展開について

福岡市の下水道分野における強みを活用した国際貢献
~水質汚濁・浸水・渇水問題を解決してきたノウハウを世界の水環境改善に活かす~

 福岡市は、これまで都市化の進展に伴い、長期的な給水制限を伴う渇水や、集中豪雨による都心部を中心とした大規模な浸水、閉鎖的な湾の形状から、水質汚濁による赤潮の発生等を経験してきました。

 福岡市では、このような都市問題解決のため、渇水対策として日本で初めて広域的な下水処理水の再利用総合的な浸水対策、水質汚濁対策として水洗化率の向上下水の高度処理の導入等を実施し、各々の課題を一つ一つ克服してきました。また、近年では、汚泥の資源利用等に積極的に取り組んでおり、下水汚泥を処理する過程で発生するバイオガスから水素をつくり、 燃料電池自動車(FCV)へ供給する世界初の水素ステーションを平成27年3月に開設しております。

 福岡市は、SDGsに基づき、これまで培ってきた世界に誇れる下水道技術のノウハウを活かし、アジア等における都市問題解決や地域活性化などに寄与するため、国際貢献・国際協力に積極的に取り組むとともに、ビジネスも含めた事業展開を推進しています。また、海外での貴重な現場経験や海外技術者への技術指導の機会を活かし、福岡市職員自身の技術力向上、人材育成、技術継承へとつなげています。

1.各国での取組み

1)ミャンマーにおける主な取組み

 福岡市とヤンゴン市は水道整備の支援をきっかけに平成26年に「まちづくり協力・支援に関する覚書」を締結し、技術交流が始まりました。 

 現在では両市の関係性は更に深まり、平成28年12月にはヤンゴン市と姉妹都市を締結し、インフラ分野に留まらず様々な交流を活発に行っています。

 この技術交流の中で、雨期に道路冠水や家屋浸水が頻発するヤンゴン市より、浸水対策に関する技術協力の強い要望を受けたことから、「JICA草の根技術協力事業」の採択を受け、ヤンゴン市職員に対して雨水排水計画策定手法等についての技術協力や、排水施設の適切な建設や維持管理についての技術協力を実施しています。

 ヤンゴン市における取組みの詳細について

  

ヤンゴン市内の浸水の様子

技術協力の様子(現地調査)

草の根技術協力事業(第1期)クロージングセミナーの様子


2)フィジーにおける主な取組み

 フィジーでは、福岡市水道局がJICA草の根技術協力事業により漏水防止技術の指導に取り組んでおり、下水道についても技術支援の要請があったことがきっかけで、平成26年度から下水道分野の技術協力が始まりました。

 平成30年度からは、環境省のアジア水環境改善モデル事業を官民連携で実施し、3年間かけて低環境負荷型水処理・資源循環システム普及事業を進めるとともに、地場企業のビジネス展開支援を行っています。

  

 技術指導の様子(水質検査)

地場企業製バイオ製剤の散布

アジア水環境改善モデル事業でのワークショップの様子

3)その他の国における主な取組み

・アラブ首長国連邦(UAE)・アブダビ

 福岡市では、平成26年度に国土交通省発注の「アラブ首長国連邦における本邦下水道技術普及検討業務」を官民連携で実施し、消化ガス発電等の有効利用案や汚泥の減容化及び臭気対策等の本邦下水道技術の導入検討業務を実施しました。

・スリランカ共和国

 福岡市では、平成29年度に国土交通省発注の「スリランカ共和国等を対象とした下水道事業の理解促進・本邦技術の普及方策に係る調査検討業務」を官民連携で実施し、平成30年2月に国土交通省とともに二国間政府会議に出席したほか、福岡市の下水道事業の紹介や下水処理を中心とする技術についての講義を行った。

4)職員の海外派遣実績

本市職員の海外派遣実績(令和2年3月31日時点)
年度 派遣人数 累計
昭和59年度~平成28年度87名87名
平成29年度33名120名
平成30年度40名160名
令和元年度30名190名

2.海外からの研修員受入について

 福岡市では、海外からの研修員を受け入れ、下水道の計画、設計、維持管理、経営についての講義や実習を通じ、技術的な支援を行っています。

 

研修員受入事業の様子(講義)

研修員受入事業の様子(工事現場視察)


研修員受入事業の様子(浸水対策施設の視察)

研修員受入事業の様子(水処理センター視察)

研修員受入事業の様子(水質検査実習)


海外からの研修員受入実績(令和2年3月31日時点)
年度 受入人数 累計
昭和59年度~平成28年度196名196名
平成29年度15名211名
平成30年度15名226名
令和元年度6名232名

3.水・環境ソリューションハブ(WES Hub)での活動

 福岡市では、下水処理水の再利用技術や国際貢献の実績等が評価され、海外展開に先駆的な地方公共団体として、「水・環境ソリューションハブ(WES Hub)」に登録されており、拠点都市のひとつとして、国や他の都市と連携し、日本の優れた技術、ノウハウを海外に発信し、本邦下水道技術の国際展開に貢献する役割も担っています。

※水・環境ソリューションハブ (WES Hub;Water and Environment Solution Hub) とは、水・環境インフラの国際展開をより一層加速させる観点から、国交省および先進都市によって構成された、日本の下水道分野における水・環境インフラの技術・政策を海外に積極的に提供していくための連合体です。

4.国際貢献事業を通した人材育成・技術継承

 福岡市では、国際貢献・ビジネス展開を推進するとともに、市職員の人材育成・技術継承を図るため、下水道・道路・河川の所属を横断した「下水道国際展開ワーキンググループ」を設置し、活動を行っています。

 下水道整備も概成し、改築更新事業にシフトしてきている福岡市においては、若手職員が計画を一から考えて建設する経験を積む機会は限られてきています。そこで、技術協力を推進していくことで得られる海外技術者への技術指導や貴重な現場経験等を活用して、若手職員と現地職員双方の技術力向上を図っています。 

 この国際協力の場を若手職員の人材育成・技術継承のフィールドとして活用した取り組みが評価され、令和元年度国土交通大臣賞「循環のみち下水道賞」のアセットマネジメント部門を受賞することができました。

国土交通大臣賞「循環のみち下水道賞」(国土交通省ホームページ)(外部リンク)