福岡市は、これまで都市化の進展に伴い、閉鎖的な湾の形状から水質汚濁による赤潮の発生や、長期的な給水制限を伴う渇水、集中豪雨による都心部を中心とした大規模な浸水等を経験してきました。
このような都市問題解決のため、水質汚濁対策として下水の高度処理の導入、水洗化率の向上、渇水対策として日本で初めて広域的な下水処理水の再利用、総合的な浸水対策等を実施し、各々の課題を一つ一つ克服してきました。また、近年では、脱炭素化への取組みとして、下水バイオガス発電、バイオガスから水素の精製(世界初の水素ステーション)、下水熱利用や、下水汚泥の有効利用への取組みとして、下水汚泥固形燃料化、リン資源の有効活用等を実施しております。
福岡市では、これまで培ってきた世界に誇れる下水道技術のノウハウを活かし、アジア等における都市問題解決や地域活性化などに寄与することで、国際貢献・国際協力に積極的に推進し、アジア等における知名度、ステイタス、そしてプレゼンスを向上させるとともに、福岡市国際ビジネス展開プラットフォームを活用した事業展開を目指しております。また、海外での貴重な現場経験や海外技術者への技術指導の機会を活かし、福岡市職員自身の技術力向上、人材育成、技術継承へとつなげています。
福岡市が技術協力を行っている主な国
福岡市は、第13回アジア太平洋都市サミットへのカント―市の参加を契機として、技術交流を深め、令和4年度は、国土交通省の「本邦優位技術の普及方策に係る調査検討業務」に福岡市国際ビジネス展開プラットフォーム会員企業とともに参画し、職員を同国に派遣する等、カント―市との関係性を構築してきました。
このような中、カント―市より、浸水被害による道路冠水や家屋の浸水をはじめとした問題解決のため、「JICA草の根技術協力事業」を活用した技術協力の要請を受けたことから、JICAへ事業提案を行い、令和5年度末に事業採択を受けました。
今後は、草の根技術協力事業を通じ、カント―市職員に対して、下水道計画や維持管理に関する知識や能力向上に向けた技術協力等を行うこととしております。
福岡市職員によるカント―市の現状調査
JICA草の根技術協力事業に関する現地協議
フィジーでは、福岡市水道局がJICA草の根技術協力事業により漏水防止技術の指導に取り組んでおり、下水道についても技術支援の要請があったことがきっかけで、平成26年度から下水道分野の技術協力が始まりました。
平成30年度からは、環境省のアジア水環境改善モデル事業を官民連携で実施し、3年間かけて低環境負荷型水処理・資源循環システム普及事業を進めるとともに、地場企業のビジネス展開支援を行いました。
現在は、JICAの事業であるフィジー国西部地区汚水処理マスタープラン策定プロジェクトにアドバイザーとして参画しております。
日本での取組みを紹介
日本での取組みを学んだフィジー国職員による実行計画報告会
福岡市職員によるフィジー国の現状調査
平成30年6月、福岡市は世界銀行と都市パートナーシッププログラムにかかるMOUを締結して以降、福岡市の「公共交通指向型開発やエリア特化型の公共空間整備」等のテーマ型研修の実施や「節水型都市づくり」に関するレポートの協力等、当プログラムを通じて知見やノウハウを福岡から世界へ紹介し、途上国の都市が、「住み良いまちづくり」や「競争力を有する都市」を実現できるように支援することを目指してきました。
今般、福岡市は様々な分野における連携や安全・安心で快適なくらしを支える下水道の取組み等に関し、世界銀行より評価を受け、同行の依頼に基づき、「グジャラート強靱な都市プロジェクト:アーメダバード市強靱性事業(G-ACRP)」の一環としてアーメダバード市の下水道管理システム改善に向けた技術協力を行いました。
アーメダバード市市長等による開会式
日本での取組みを紹介
福岡市職員によるアーメダバード市の現状調査
福岡市職員とアーメダバード市職員の意見交換
福岡市では、海外からの研修員を受入れ、下水道の計画、設計、維持管理、経営についての講義や実習を通じ、技術的な支援を行っています。
年度 | 受入人数 | 累計 |
---|---|---|
令和4年度 | 10名 | 245名 |
令和3年度 | 3名 | 235名 |
令和2年度 | 0名 | 232名 |
令和元年度 | 6名 | 232名 |
平成30年度 | 15名 | 226名 |
昭和59年度~平成29年度 | 211名 | 211名 |
福岡市では、市職員を海外の国々に派遣し、各地の地域の現状を踏まえた下水道整備計画作成方法の指導などの支援を行っています。
年度 | 派遣人数 | 累計 |
---|---|---|
令和4年度 | 8名 | 198名 |
令和3年度 | 0名 | 190名 |
令和2年度 | 0名 | 190名 |
令和元年度 | 30名 | 190名 |
平成30年度 | 40名 | 160名 |
昭和59年度~平成29年度 | 120名 | 120名 |
福岡市では、海外から視察者を受入れ、総合的な雨水対策や、アジア最大級の供給エリアをもつ下水処理水の再利用に関する情報提供を通じ、技術的な支援を行っています。
年度 | 受入人数 | 累計 |
---|---|---|
令和4年度 | 30名 | 1253名 |
令和3年度 | 3名 | 1223名 |
令和2年度 | 1名 | 1220名 |
令和元年度 | 27名 | 1219名 |
平成30年度 | 81名 | 1192名 |
平成29年度 | 151名 | 1111名 |
福岡市では、独立行政法人 国際協力機構九州センター(JICA九州)が実施するJICA課題別研修下水道システム維持管理を活用し、平成24年度より研修員の受入事業を行っており、これまで、28カ国から82名の研修員を受入れています。
日本での取組み紹介
日本での取組み紹介
日本企業の工場視察
日本での取組みを学んだ研修員による実行計画報告会
福岡市では、これまで培ってきた世界に誇れる下水道技術のノウハウを活かし、国際貢献・国際協力の取組みを進めてきました。これらに加え、国際会議や国際イベント等の機会を捉えて、優れた下水道技術や国際貢献の実績等を情報発信することにより、福岡市のプレゼンス向上や、さらなる国際貢献の推進につなげることを目的として広報動画を作成しております。