特定外来生物「アライグマ」について
アライグマはもともと日本にいなかった動物ですが、近年国内で急速に生息を拡大し、多くの地域で農作物や家屋に侵入する被害が深刻化しています。
アライグマは外来生物法に基づく「特定外来生物」に指定されています。(参考:外来生物法について)
- アライグマの特徴
- アライグマの捕獲について
- 福岡県アライグマ防除実施計画による防除
- 福岡市アライグマ防除実施計画書(県計画に統合予定)
- アライグマ生息状況について
- 相談窓口
1. アライグマの特徴(出典:環境省九州地方環境事務所)
(1)国内への定着経緯
アライグマは北米大陸原産の雑食性の動物で、日本にはペット等として持ち込まれ、逃げたり、捨てられたりしたものが野生化したと考えられています。
(2)形態
頭胴長(尻尾を除く)41~60センチメートル、尾長20~41センチメートル、体重4~10キログラム
写真提供:環境省 説明記入:福岡市
(3)生息環境
寒冷な北海道から温暖な九州まで生息しています。
水辺の森林地帯を好みますが、農耕地や市街地まで幅広い環境で生息できます。
ねぐらや巣として樹洞などを使いますが、家屋や神社仏閣の屋根裏もよく利用します。
(4)繁殖生態
野外での寿命は5年、飼育下での寿命は13~16年。
メスは満1歳から出産可能で、4~6月に平均3~4頭の子供を産みます。
(5)行動
夜行性で昼間は暗い所に隠れていますが、昼間でも行動することがあります。
行動範囲は40~100ヘクタールと言われています。
(6)食べ物
雑食性で魚類・両生類・鳥類・昆虫・野菜・果実・畜産飼料・残飯など、水の中から樹上のものまで、さまざまなものを食べます。手先が器用なため、ミカンは皮をむいて食べ、スイカは穴をあけて中身のみをくり抜いて食べます。
(7)他の動物との見分け方
タヌキやアナグマと見分ける最大の特徴は、尻尾のしま模様です。
(8)アライグマによる被害
在来の生物を捕食することによる生態系への被害や、畑などに侵入して農作物を食い荒らす農業被害、住居や伝統建築物に侵入して傷つけるなどの生活被害が全国で発生しています。出産・子育て期の春~初夏ごろに家屋侵入や農作物被害が多くなります。
かわいらしい外見とは違いどう猛であり、えさをやったり、頭をなでようとして近づくと危険ですので、絶対にしないでください。好んで人を襲うことはないようですが、突発的な遭遇による咬傷事故(犬が襲われ、引き離そうとして咬まれるなど)の事例があります。
アライグマはアライグマ回虫症をはじめ様々な病気を持っている可能性があります。咬まれた場合は感染症になるおそれがありますので、病院を受診してください。
(9)アライグマによる被害を防ぐために
住まいやその周辺にアライグマを住みつかせないようにしましょう。
アライグマは主に森林や農地に生息していますが、住宅の屋根裏や物置などにも住み着き、家屋を破壊したり、糞尿による被害を与えるので、市街地においても注意が必要です。
- 庭や農地に果実や野菜を放置しない。
- 家庭ごみを屋外に放置しない(ふた付きのポリ容器に入れる)。
- 屋外で飼っているペットの餌の食べ残しを放置しない。
- ベランダの下、屋根裏、物置へ侵入させないよう物理的に遮断する。壁の穴などを塞ぐ。
- すみかとなる廃屋を解体する。
2. アライグマの捕獲について
(1)アライグマ捕獲用箱わなの貸出
アライグマによる生態系や生活環境への被害を防止するため、防除従事者の登録を受けた方に、アライグマ捕獲用箱わなを貸し出します(農業被害は対象外)。
貸出を希望される方は、環境調整課までご相談ください。
対象
防除従事者の登録を受けており、アライグマによる生活環境への被害を受けている方(農業被害は対象外)
生活環境への被害の例
- ごみを荒らされた
- 家庭菜園の野菜や果物を食べられた
- 庭で飼っていたメダカや金魚を食べられた
- 糞尿などで家屋や庭を汚される
注意事項
- 箱わなを設置する場所は、福岡市内の自己所有地または管理地で、安全性が確保できる場所にしてください。
- 農業被害は対象外となります。農業被害の場合は、農林水産局農業振興・イノシシ等対策担当にご相談ください。
- 箱わな設置後は、毎日の見回りや餌の補充等の管理を行ってください。
- 捕獲されたアライグマの回収は平日のみとなりますので、土日祝日やその前日、年末年始(12月27日から1月5日)は、箱わなの扉を閉めてください。
- 捕獲しようとする場所がある区の区役所で、箱わなの引き取り、返却を行ってください。
- 箱わなの貸出台数には限りがあるため、在庫が無い場合はお待ちいただくことになります。
箱わなの貸出から返却までの流れ
- 箱わなの借用希望者は、環境調整課に連絡(電話、電子メール等:連絡先はページ最下部に記載)します。
貸出期間:原則、2週間
貸出数:1基
費用:無料(箱わな設置時に使用する軍手や餌などは借用者の負担になります。)
- 箱わな引き取り日時について、区役所総務担当課から借用者へ連絡があります。
- 借用者は、区役所総務担当課で箱わなを引き取ります。
- 借用者が箱わなを設置します。設置後は借用者が毎日の見回りや餌の補充などの管理を行います。
- アライグマが捕獲された場合は、借用者が委託業者に連絡します。
- 捕獲したアライグマの回収日時について、委託業者から借用者に連絡があります。
- 委託業者が、箱わなごとアライグマを回収します。
- アライグマの運搬終了後、委託業者が箱わなを借用者に返却します。
- 借用者は、箱わなを洗浄して区役所総務担当課へ返却します。
捕獲できなかった場合も、借用者が箱わなを洗浄して、区役所総務担当課へ返却します。
【参考】防除実施報告書(様式)(エクセル:13KB)
防除実施報告書(記入例)(エクセル:19KB)
(2)委託業者によるアライグマ捕獲
アライグマによる生態系や生活環境への被害を防止するため、委託業者による箱わなを使ったアライグマ捕獲を無料で実施します。防除従事者登録は必要ありません。捕獲を希望される場合は、環境調整課までご相談ください。
対象
アライグマによる生活環境への被害を受けている方(農業被害は対象外)
※事前に、被害状況や箱わなの設置が可能かなどついて詳細な聞き取りを行います。
被害の例
- ごみを荒らされた
- 家庭菜園の野菜や果物を食べられた
- 庭で飼っていたメダカや金魚を食べられた
- 糞尿などで家屋や庭を汚される
注意事項
- 箱わなを設置する場所は、福岡市内の自己所有地または管理地で、安全性が確保できる場所になります。
- 農業被害は対象外となります。農業被害の場合は、農林水産局農業振興・イノシシ等対策担当にご相談ください。
- 箱わな設置後は、毎日の見回りや餌の補充等の管理を行ってください。
- 捕獲されたアライグマの回収は平日のみとなりますので、土日祝日やその前日、年末年始(12月27日から1月5日)は、箱わなの前に障害物を置いてください。
- 箱わなの設置は、屋外となります。
- 箱わなの台数には限りがあるため、在庫が無い場合はお待ちいただくことになります。
捕獲依頼・手続きの流れ
- 依頼者は、環境調整課に連絡(電話、電子メール等:連絡先はページ最下部に記載)します。
- 箱わな設置日時等について、委託業者から依頼者に連絡があります。
- 依頼者立会のもと、委託業者が箱わなを設置します。
- 箱わな設置後は、依頼者が毎日の見回りや餌の補充などの管理を行います。
- アライグマが捕獲された場合、依頼者が委託業者に連絡します。
- 捕獲されたアライグマの回収日時について、委託業者から依頼者に連絡があります。
- 委託業者が、箱わなごとアライグマを回収します。
(3)鳥獣保護管理法に基づく捕獲許可
防除従事者登録の他にも、農業や生活への被害等があり、ご自身で捕獲する場合は、鳥獣保護管理法に基づく捕獲許可を取得すれば捕獲できます。
詳しくは下記へお問い合わせください。
- 鳥獣保護管理法「有害鳥獣捕獲許可」・・・福岡市農林水産局森づくり推進課(092-711-4846)
※アライグマは鳥獣保護管理法において狩猟鳥獣に指定されているため、狩猟期間中であれば、狩猟が可能です。
市内での狩猟に関することは県のホームページ(「狩猟をするためには」)をご確認いただくか、福岡農林事務所
農山村振興課(092-735-6123)にお問い合わせください。
3. 福岡県アライグマ防除実施計画による防除
福岡県では、アライグマによる生態系、農作物及び生活環境に関する被害の軽減と分布域の拡大防止のため、令和6年3月に「福岡県アライグマ防除実施計画」(以下、県計画)を策定し、アライグマの防除従事者を養成するための講習会を随時開催しています。
この講習会受講者で希望する方は、県計画に基づく防除従事者登録を行うことで、狩猟免許を所持していなくても、福岡市内で「箱わな」を使ってアライグマを捕獲することができます。
県計画の詳細については、福岡県ホームページをご覧ください。
福岡県ホームページ「福岡県アライグマ防除実施計画」
(1) 【募集終了】令和7年度 市アライグマ防除講習会 参加者募集
- 日時:令和7年9月2日(火曜日)午後2時から午後4時
- 場所:アクロス福岡606会議室(中央区天神一丁目)
- 対象:市内に住む18歳以上
- 定員:30人(応募者多数の場合抽選)
- 料金:無料
- 申込期間:令和7年8月8日(金曜日)まで
- 申込方法:
ファックス(092-733-5592)もしくは
メール(k-chosei.EB@city.fukuoka.lg.jp)に参加者全員の応募事項を書いて問合せ先へ
- 応募事項:催し名、氏名(ふりがな)、電話番号、郵便番号・住所、年齢
- 問合せ先:福岡市環境局環境監理部環境調整課(092-733-5389)
※受講後、県計画に基づく防除従事者登録を行うことで、狩猟免許を所持していなくても、福岡市内で「箱わな」を使ってアライグマを捕獲することができます。
(2)令和7年度 福岡県アライグマ防除講習会 参加者募集
アライグマのことを知り、対策に関わってくださる方を対象とした「福岡県アライグマ防除講習会」が開催されます。
講習会の詳細については、福岡県ホームページをご覧ください。
福岡県ホームページ「福岡県アライグマ防除講習会」
(3)福岡県アライグマ防除実施計画に基づく従事者登録
対象
以下のいずれかに該当する方が対象となります。
- 福岡県アライグマ防除講習会を受講された方
- 鳥獣保護管理法に基づくわな猟免許を所持されている方
申請方法
登録申請手続きは、インターネット(電子申請)及び窓口での書類提出によって受け付けています。
インターネットによる電子申請は下のボタンをクリックしてください。
申請様式
添付書類
注意事項
- 防除従事者証の交付を受けることにより、福岡市内でのアライグマ防除が可能となります。
- 申請後、従事者証の交付まで時間を要します。
- 防除を実施する際には、幅35cm、奥行90cm、高さ50cmより小さい箱わなを使用してください。
4. 「福岡市アライグマ防除実施計画書」(県計画に統合予定)
福岡市では、外来生物法に基づく「福岡市アライグマ防除実施計画書(対象期間:令和13年3月31日まで)」(以下、「市計画」)を作成し、主務大臣の確認を取得しています。
なお、令和6年3月に県計画が策定されたことに伴い、市計画は県計画に統合する予定です。
現在、市計画に基づく捕獲従事者の登録申請の受付は行っておりません。
福岡市内でアライグマの防除をされたい方は、県計画に基づく従事者登録申請をお願いします。
5. アライグマ生息情報について
(1)生息調査における発見等の状況
(2)市民等からの相談・情報提供件数
年度別相談・情報提供件数の一覧表
| 年度 |
相談・情報提供数(件) |
| R6 |
146 |
| R5 |
99 |
| R4 |
66 |
| R3 |
50 |
| R2 |
34 |
| R1 |
15 |
| H30 |
16 |
| H29 |
9 |
| H28 |
17 |
| H27 |
10 |
| H26 |
47 |
※アライグマ以外の可能性がある情報も含まれています。
(3)福岡県内の分布
福岡県ホームページ「特定外来生物アライグマの県内分布」
6. 相談窓口
- 箱わな貸出、委託業者による捕獲、アライグマ防除従事者登録に関すること
環境局環境調整課(092-733-5389)
- 農業被害に関すること
農林水産局農業振興・イノシシ等対策担当(092-711-4852)
- その他(飼育、死体の処理などについて)
※家屋に侵入して住み着いているなど、駆除したい場合は民間の害獣駆除業者にご相談ください。
電話帳の「消毒業」欄に掲載されている有害鳥獣(イタチなど)の駆除業者が対応している場合があります。
環境省ホームページでは「認定有害鳥獣捕獲等事業者」を掲載しています(認定有害鳥獣捕獲等事業者)。
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