【福岡ガチ永住ブログvol.20】FUKUOKAラバーな外国人10人に聞く「世界中から福岡を選んだ理由」前編

東京から引っ越してきた田中結です。福岡在住歴が1年8カ月となり、少しずつ福岡の方言が出るようになりました。特に敬語の方言「〜ですからね」(※1)は、会話をやわらかくしてくれてとっても便利なので多用しています。次に使いこなしたい方言は、友達が言っていてかわいかった「〜やったとかいな?」(※2)です。

(※1)Becauseの意味ではない。接続詞ではなく語尾として使われている印象
(※2)だったっけ?の意味。自分自身に問いかけるときによく使われる印象

さて、大名のバーでバイトしているからか、福岡在住の外国人の知り合いも増えてきました。トップの写真は、フィンランド人と香港人、私、韓国人の多国籍な乾杯の様子です。世界中からわざわざ福岡を選んで来るなんて、きっと日本人以上に大きな理由があるはず。

福岡在住の外国人たちに、福岡を選んだ理由をインタビューさせてもらいました。

 

■多国籍なヨガスタジオを作ったアメリカ人

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アデリン(27歳)
職業:ヨガスタジオオーナー
出身:アメリカのNY州
福岡在住歴:4年目                     

薬院にあるアデリンさんのヨガスタジオでインタビューさせていただきました。ビルの5階にあり、大きな窓からの見晴らしが抜群のスタジオです。

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(ハーブティーでおもてなししてくれました。お茶碗でお茶を飲むという斬新なスタイルですが、ランチョンマットと組み合わせるととってもかわいい)

もともと外資系の研究機関のマーケッターとして働いていたアデリンさん。中国で3年、福岡で半年勤務したそう。日本駐在中に福岡のバーで旦那さん(福岡出身の日本人)と出会ったんだとか! その後結婚し、旦那さんは他の街に引っ越すことも考えていたそうですが、アデリンさんが「福岡がいい!」とゴリ押し。自身も研究機関の仕事を辞め、平成29(2017)年4月に薬院に英語でのヨガレッスンスタジオ「FIT IN FUKUOKA」(http://www.fitinfukuoka.com/)をオープンさせました。

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なぜヨガスタジオなのか聞くと、「オフィスでずーっとPC仕事をするより、コミュニケーションする仕事がしたかった」のが理由。現在、スタジオの生徒さんは日本人と外国人が半々。国籍は、アメリカ、イギリス、フランス、スイス、ラトビア、中国などさまざま。ヨガだけでなく、ピクニックやハイキング、ランチやワイン会もあります。仲間たちとワイワイできるので、来日した外国人のコミュニティにもなっているようです。

福岡の印象をお聞きすると「すぐに福岡の快適さに気づいた。人がフレンドリーで優しい」とのこと。大濠公園で人が走っているのを見て「グー!(スポーツする環境が整ってて素敵)」とも言っていました。また、「東京はインターナショナルだけど、福岡は日本の文化が根付いていて日本らしい」という印象なのだそうです。三社参りが面白かったそうですよ。

きっとアデリンさんのもともとの性格と福岡が合っていたんじゃないかなあ。福岡も、友達が友達を紹介してくれたり、面倒見がとっても良い人が多いですよね。ヨガスタジオというコミュニティを作っているアデリンさんは、とっても福岡人らしい働き方をしているなと思いました。

 

■親不孝通りでライブするアメリカ人ラッパー

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ニック(27歳)
職業:ラッパー、英語教師
出身:アメリカのフロリダ
福岡在住歴:1年目

子どものころからゲームやアニメが好きで日本に興味を持っていて、日本への留学を決めたというニックさん。この日着ていた上着は「ドラゴンボールZ」とベイシングエイプのコラボジャケット。ちなみにいちばん好きなアニメは「フリクリ(FLCL)」。「ストーリーがやばい。めっちゃ変。主人公の男の子が男の人になる話。音楽のthe pillowsもやばい」とのこと。

アーカンソー大学から、平成26(2014)年に大分の立命館アジア太平洋大学(APU)に4カ月間留学。卒業後、大手英会話スクールの講師として再び来日。勤務地は福岡を希望したそうですが叶わず、最初の1年は岐阜に。転勤を申し出てやっと福岡にきました。現在は大手英会話スクールを辞めて個人で英語教師をやっています。

そこまで福岡にこだわった理由は親不孝通りにあり。ニックさんはラッパーとして、親不孝通りのクラブやライブハウスで活動しているのです。東京ではなく、なぜ福岡を選んだのか聞くと「福岡にはユースケがいるから」。

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(左:日本人ラッパーのユースケさん。右:アメリカ人ラッパーのニックさん。二人は仲良し)

“ユースケ”とは、福岡で活動するラッパーのBaby t-rexのこと。二人とも「LEVELCORE」「One Selected Few」というふたつのHIP HOPユニットに所属しています。ユースケさんは大分APU時代の同級生。クラスメイトではありませんでしたが、ある日、ニックが大分のDJバーで飲んでいると大好きな曲が流れたのでフロアに飛び出て踊っていたら「フロアにもう一人だけ踊っている奴がいて、それがユースケだった」。話しかけてみると、お互いラップをやっていることがわかってすぐに仲良くなったとか。運命か!

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(親不孝通りのクラブ「キースフラック」でのLEVELCOREのライブの様子。平成29年10月にファーストアルバムをリリースしました)

留学をきっかけに、ここまで熱心に取り組むことに出会えたのは本当に運命的。ニックはラップがめちゃくちゃうまいし、ユースケさんも中毒性が高いフローで相当いいです。ぜひみなさんもMV(https://youtu.be/V2JuxbqzAg8)を見てみてください。

最後に福岡の気に入っているところを聞いてみると、「福岡はパーティーもできるしリラックスもできるから好き。人生はパーティーだけじゃないからね」という名言をいただきました。

 

■九大の大学院で未来のエネルギーを研究するエジプト人

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ハテム(27歳)
職業:大学院生(博士課程)
出身:エジプト
福岡在住歴:2年目

九州大学の大学院で高温プラズマの維持・制御の研究をしているハテムさん。ハテムさんの研究室がある筑紫キャンパスにお邪魔して来ました。

福岡に来た理由を聞いてみると、「九大の評判が良かったから」とのこと。エジプトの大学から海外の大学院に進む際、アメリカ、ドイツ、日本(九州大学)を選べたそうですが、九大の研究は進んでいるという理由で日本に決定。九大にはプラズマ境界力学実験装置「QUEST」があって、世界でもトップレベルの研究ができるんだとか! 全然知らなかった、九大すごい。

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福岡の住み心地は「街がめちゃくちゃキレイ、安全!」。これだけ人口が多いのに整理整頓がされていて、子どもが一人で歩けるくらい安全なのがすごいんだとか。「僕は自然が好きだから、海と山がある福岡が快適。自転車でキャンプしながら佐賀や熊本にも行ったりする」そうです。日本語が完璧ではないハテムさんは役所や賃貸などの契約が大変だったそうですが、「自立は難しいけどサポートが手厚いから大丈夫」。市役所では職員さんが窓口で丁寧に接してくれるし、九大は学生サポーターがいてくれて、アパートの契約や趣味でやっているテコンドーの大会の登録手続きまで全てついてきてくれるそうです。

住環境には満足している一方で、日本的なワークスタイルに驚いたそう。「普通は金曜日は週末の準備のために午後2時に仕事を終わったりするのに、日本人は逆。金曜日は休みの前だからと言って遅くまで働いているよね」と言っていました。「でも仕事の厳しさは慣れたよ。みんなそうしているから」というハテムさん。「日本人に道を聞いたら、その場所まで連れて行ってくれる優しい人が多い。だから自分もそうするようになった。とっても嫌いな納豆も、日本人がみんなそうしているから毎朝食べている」と言っていて、仕事以外でもあらゆる面で郷に従っているようです。柔軟性の塊!

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(高温プラズマを閉じ込めるドーナツ型磁場装置の像)

毎日研究で忙しそうなハテムさんですが「今は研究室の一番年上だから責任がある」とがんばっていました。私にもわかりやすく説明するために言った「僕たちは太陽を作ろうとしている」という言葉が印象的。世界でもまだ実用化されていない、未来のエネルギーにつながる研究なんだそう! 超すごい! 

初対面のときは「おまんじゅうが大好きで、特に博多通りもんはスナック感覚で軽く20個は食べられる」という話をしていたから、エジプト人て甘党なんだなあという印象だけでしたが、こんなにすごい研究をしていたなんて驚きでした。優秀な研究者がわざわざ来てくれる福岡、強い!

 

■優秀な人材が福岡を気に入ってくれている!

実は全部で10人の外国人にインタビューをしたのですが、一人ずつの話がおもしろすぎて1つの記事にまとめきれませんでした。ということで、後半に続きます。

アデリンさん、ニックさん、ハテムさんの3人は、転勤先や留学先が福岡にあったという理由。優秀な人たちが福岡に来てくれて、しかも住み心地も気に入ってくれているのはとってもうれしいですね。

後編では、福岡市の「外国人ビザ」で衝撃を受けましたのでそちらをまとめたいと思います。