認知症の人への対応は、ご本人のこれまで生きてこられた背景や関わる方との関係性によって異なり、正解があるわけではありません。お互いが笑顔で過ごすために、認知症の人への対応について参考にしていただければと思います。
●日によって、頭の中が真っ白になって何もわからなくなる時があるけど、いつもわからないわけではないんです。認知症の人は何も分からないと決めつけずに、ゆっくり気持ちを聞いてほしい。(本人)
→矢継ぎ早に質問したり、意見を言ったりしても、本人は理解が追い付かずかえって混乱してしまいます。一方的に認知症と決めつけられた、サービスを押し付けられたという嫌な気持ちだけが残り、逆効果です。
あせらず、一つ一つ時間をかけて説明し、本人の思いをゆっくり聴き取り、納得してもらいましょう。目指すべきは「説得」より「納得」です。
●人に迷惑はかけたくないです。自分のことはだいたい自分でできるつもりでいるけれど、日にちや約束の日が覚えられないんです。どうしたら忘れずにすみますか?(本人)
●「どうしたの?」と聞かれても、うまく説明できない事もあります。すぐに忘れてしまう自分に気付くと色々なことが不安に思えて仕方ありません。同じことを何度も聞いても怒らないで下さい。不安だから聞いているんです。(本人)
→聞いたことを忘れてしまう、覚えることができないのがこの病気です。
「指摘」「注意」「修正」は、本人のストレスにつながり、認知機能低下が進行する一因になってしまうばかりか、介護者の怒った表情やキツイ言葉はその後の人間関係に悪影響を及ぼしてしまいます。本人の気持ちに寄り添い、本人の言葉に耳を傾け、優しい声かけで安心させてあげてください。
●いつも出来ていたはずの事ができなくなって、パニックになることがあります。落ち着いて最初からやってみようと思うけれど、その最初が分からなくてますます混乱してしまい、とても不安です。もう元の自分に戻れないんでしょうか。
→パニックになって落ち込んでいる時は、あえて手を出さず、見守ってあげてください。
安易な口出しは、本人のプライドを傷つけます。危険がない場合は、優しく見守ることも必要です。