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飯田屋敷跡の大銀杏(2023年撮影)
大名二丁目(中央区役所の北側付近)の飯田屋敷跡には樹齢約400年の銀杏の木が残されています。屋敷の主、飯田覚兵衛は加藤清正の重臣でした。覚兵衛は清正をしのんで、この銀杏の苗木を熊本城から移植したそうです。木は市が指定する保存樹となっており、老齢により腐朽が進行しているため、現在再生治療を行っています。
江戸時代、飯田屋敷の隣には、福岡藩士の田代家の屋敷がありました。この家には小春という腰元(配膳係)が仕えていました。ある日、小春は大切な来客に食膳を運んでいると、不注意から失敗をしてしまいます。激怒した主人は「無礼者」と小春を手討ちにしてしまいました。それからというもの、来客に食膳を運ぼうとすると、貴重な茶わんや皿が消え、来客が帰った後には元に戻るという不思議な出来事が続きました。これを小春のたたりと考えた主人が祠を建立しました。小春姫大明神は地下鉄大濠公園駅から北に進んだ荒戸一丁目の民家の一画に祭られています。
市政だより中央区版 令和6(2024)年10月15日号に掲載されました。