このページは、福岡市政だより中央区版において連載された、区の魅力を発信するコラム「ぶらり散歩」の記事を掲載しています。名称や内容等は掲載時のものです。
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平尾山荘(平尾五丁目)は、幕末の女流歌人・野村望東尼の閑居地です。本名を「モト」といい、夫の貞貫と共に弘化2(1 8 4 5)年に年に平尾山荘に移り住み、歌人・大隈言道の下で和歌を学びました。モトは幕末の女流歌人として、また維新の先覚者の一人として異彩を放ち、夫の死後、仏門に入り、54歳の時に望東尼を名乗るようになりました。山荘は、高杉晋作など藩内外の志士がひそかに集まり談合する場所となったことでも知られています。
当時の草庵は腐朽してしまいましたが、明治42(1 9 0 9)年に復元され、その後平尾望東会に引き継がれて再建されました。昭和49(1 9 7 4)年には市指定文化財に指定されています。隣接する野村望東尼資料館で、詳しく望東尼を紹介しています。
平尾の住宅街にある平尾八幡宮(平尾四丁目)は、神功皇后、応神天皇、玉依姫命を祭った平尾の産土神(うぶすな=氏神、鎮守の神)として地域住民に親しまれています。
慶長の始め(17世紀前後)に創建地の古宮(現在の市崎付近)から旧平尾村の小高い場所に遷座されたと伝承されています。
5月17日には春の大祭も行われます。
(市政だより中央区版 令和6(2024)年4月15日号に掲載されました)