昭和40年代当初、福岡市では生ごみ主体の埋立場からの汚濁水や臭気などの問題を抱えていましたので、昭和40年代後半から福岡大学と共同で、浸出水の浄化を目的に埋立地改善の実験を始めました。
昭和48年から3年間にわたって福岡市と福岡大学が共同で実施した久山埋立場の大規模実験の結果を踏まえ、準好気性埋立構造の基本概念が福岡大学により提案され、昭和50年に建設した新蒲田埋立場で実用化に成功しました。この方式は、日本各地の埋立場で採用され、昭和54年に制定された旧厚生省(現環境省)の最終処分場指針で日本の標準構造として採用されました。
平成9年に福岡市で開催された「アジア太平洋都市サミット実務者会議」において、西部(中田)埋立場で竹や廃ドラム缶等の材料を使用しての準好気性埋立構造「福岡方式」による埋立地の改善方法などの実技研修を実施したことにより、「福岡方式」が国際的に知られ、関係9ヶ国18都市が興味を示したのが始まりです。また、廃棄物処理の分野を中心に、国際協力機構(JICA)や国連ハビタットを通じ多くの研修生受入や専門家派遣を行ってきました。
福岡大学における埋立
模型槽による実験
(昭和49年)
その後、準好気性埋立構造は「福岡方式」と称され、福岡市は福岡大学と共同でアジア太平洋地域を中心に、平成10年から研修生の受け入れや海外へ技術者を派遣し、埋立場の改善など国際環境技術協力を行っています。
平成23年7月には、準好気性埋立構造「福岡方式」による既存埋立場の改善が、国連気候変動枠組条約で規定するクリーン開発メカニズム(CDM)の新たな手法として認定されました。
国連 CDM会議 会場
CDMの概要
“「準好気性埋立構造(福岡方式)」による既存埋立場の改善”が、
国連気候変動枠組条約(UNFCCC)で規定する
クリーン開発メカニズム(CDM)の新たな手法として認定されました。
平成23年7月15日にモロッコで開催された、第62回国連CDM理事会において、廃棄物の埋立技術である「準好気性埋立構造(福岡方式)」による既存の埋立場で発生するメタンガスの発生自体を抑制する方法がカーボンクレジット(先進国間で取引可能な温室効果ガスの排出削減証明)を認める新たな手法として認定されました。
埋立場内部への通気がないため、内部の嫌気化を招き嫌気性バクテリアによる分解でメタンガスが大量に発生、同時に高濃度の浸出水が発生。
埋立場内部への通気があり、内部が好気化し好気性バクテリアによる分解でメタンガスの発生を抑制、同時に浸出水の浄化も可能。
※世界13ヶ国で「福岡方式」が採用されています。
平成27年3月31日現在
1.海外技術協力 職員派遣
2.海外研修生 受入
3.海外見学者 受入
平成27年3月31日現在
期間 | 派遣要請元 | 派遣人数及び国際協力の内容 |
---|---|---|
平成13~16年度 | 中華人民共和国 山東省ウェイファン市 | 17名 (ハビタットの要請により埋立場建設) |
平成15~16年度 | ベトナム国 ハノイ市 | 7名 ((環境技術協力事業)JICA/自治体職員協力事業) |
平成16~20年度 | サモア | 5名 (廃棄物処理対策)JICA |
平成18~20年度 | パキスタン国 ムルタン市他 | 5名 (廃棄物処理対策向上)JICA |
平成15~24年度 | 中華人民共和国 雲南省蒙自県 | 9名 (中国清華大学との技術協力協定により埋立場建設) |
平成22年度 | 中華人民共和国 上海市 | 5名 (上海万博) |
平成22~24年度 | ベトナム国 ハイフォン市 | 3名 (草の根技術協力)JICA |
平成25年度 | ミャンマー国 ヤンゴン市 | 1名 (技術支援のための埋立場調査) |
その他 平成10年度~25年度 | 36名 | |
合計 | 14ヶ国 | 88名 |
詳しくは別紙「職員海外派遣一覧(国別)」を参照
平成27年3月31日現在
期間 | 研修依頼元 | 研修人数及び国際協力の内容 |
---|---|---|
平成11~18年度 | マレーシア | 52名 (JICA国別研修 廃棄物埋立技術 約1ヶ月間) |
平成14年度 | マレーシア | 1名 (JICA草の根技術研修 約6ヶ月間) |
平成12年度 | 中華人民共和国 広東省広州市 | 1名 (自治体職員協力事業 約4ヶ月間) |
平成14年度 | 中華人民共和国 山東省ウェイファン市 | 1名 (自治体職員協力事業 約4ヶ月間) |
平成17年度 | サモア | 1名 (JICA国別研修 約10日間) |
平成17~20年度 | パキスタン | 31名 (JICA国別研修 約1ヶ月間) |
平成22~24年度 | ベトナム国 ハイフォン市 | 9名 (JICA草の根技術研修 約20日間) |
平成24~26年度 | アジア、アフリカ諸国 | 32名 (JICA課題別研修 約20日間) |
合計 | 13ヶ国 | 117名 |
詳しくは別紙「国内研修受入一覧(国別)」を参照
平成27年3月31日現在
年度 | 国数 | 人数 |
---|---|---|
平成21年度まで | 3,134名 | |
平成22年度 | 45ヶ国 | 203名 |
平成23年度 | 37ヶ国 | 348名 |
平成24年度 | 52ヶ国 | 252名 |
平成25年度 | 63ヶ国 | 245名 |
平成26年度 | 60ヶ国 | 252名 |
合計 | 延べ70ヶ国以上 | 4,434名 |
詳しくは別紙「見学者受入一覧(年度別)」を参照
5月19日~6月11日 | JICA課題別研修員5ヶ国、7名 環境局関連施設で研修 (前期) |
月22日~7月26日 | ミャンマー国ヤンゴン市 技術支援のための埋立場調査 1名職員派遣 |
10月20日~11月13日 | JICA課題別研修員4ヶ国、4名 環境局関連施設で研修 (後期) |
清華大学、福岡市、福岡大学の三者で、環境分野等における技術協力協定を平成15年11月に締結し、埋立技術の専門技術者を現地に派遣するなどの技術協力を行っています。
雲南省蒙自県埋立建設予定地 (平成15年1月)
完成した雲南省蒙自県埋立場 (平成19年3月)
ハイフォン市、ハイフォン都市環境公社(URENCO)、福岡大学、(財)ふくおか環境財団、福岡市の5者による協力関係の進め方に関する覚書を平成25年1月に締結しました。
(平成25年1月)
左から、
ハイフォン都市環境公社PhD.Le Ngoc Tru 社長
ハイフォン市建設局 Msc.Vu Huu Thanh 副局長
福岡市環境局 荒瀬泰子 前局長
福岡大学工学部 松藤 康司 教授
(財)ふくおか環境財団 靍田 徹 前理事長
(平成25年1月)
廃棄物処理に係る国際環境技術協力では、国際協力機構(JICA)と連携したプロジェクトを通じて、準好気性埋立構造「福岡方式」のアジア太平洋地域への技術移転を進め、廃棄物最終処分場に起因する環境汚染の軽減やメタンガス削減の取り組みに協力をしています。
JICA研修員による廃タイヤでの集水管製作実習
(平成25年11月)
(場所:西部(中田)埋立場)
モデルサイト完成記念(平成24年8月)
(場所:ベトナム国ハイフォン市 ディンブー埋立場)