環境局施設部では,所管施設の活動から生じる環境への負荷を自主的かつ継続的に低減させていく活動を行っています。
PDCAサイクルという現状改善活動を基本として,計画(Plan),実行(Do),点検(Check),見直し(Action)を繰り返しながら環境負荷の低減を図っていきます。
施設部では,西部工場が平成12年10月6日にISO14001の認証を取得し,平成15年度からは西部工場以外の施設部の各施設においても,西部工場の認証取得と運用のノウハウを活用し,ISO14001の規格に基づいた活動に取り組んできました。令和2年度からは,ISO14001に基づいた活動から,独自システムによる活動に移行し,活動を継続しています。
具体的には,以下のような取り組みを行っています。
焼却処理での完全燃焼を図り,ダイオキシンと相関があるといわれている一酸化炭素濃度の低減を図ります。
節水型都市づくりに協力するため,プラント処理水である再使用水の利用用途の拡大や雨水の利用促進等を図ります。
照明等の設備の運用の見直し等により,所内消費電力量の削減を図ります。
裏紙の利用や両面コピーの促進,古紙の回収活動等により,森林資源の保全と古紙の再資源化に寄与します。
地球温暖化の原因となる炭酸ガス削減に寄与することを目的に緑化を推進します。
工場施設を利用した環境学習を通じて,市民の環境意識の高揚を図ります。
〇環境活動の取り組みを「環境報告書」としてまとめています。
「環境報告書」はこちらからご参照ください。
工場からの排ガスについては,大気汚染防止法ほかによりSox,Nox等の排出量に規制基準値が設けられています。
ここではそのうち,ダイオキシンについて解説します。
ダイオキシンとは,ものを燃やすと発生しやすい有機塩素化合物で,無色の固体でほとんど水には溶けません。炭素,酸素,水素,塩素が熱せられる過程で意図せずに発生してしまうため,ごみの燃焼で発生してしまいます。日本では,ダイオキシンの約9割がごみの焼却炉から発生しているといわれています。また,ダイオキシンは森林火災や火山活動でも発生するため,自然界にも存在しています。
ダイオキシン類の安全性の評価では,耐容一日摂取量(TDI)を指標に用います。耐容一日摂取量とは,ダイオキシン類を人が生涯にわたって継続して摂取したとしても,健康に影響を及ぼすおそれのない一日あたりの摂取量です。人の体重1kgあたり4pgと定められています。実際に人体内に摂取した量と耐容一日摂取量を比較して,安全性の評価を行います。
ダイオキシン類は,ものを燃やすところから発生し,大気中に出ていきます。大気中の粒子などに付着したダイオキシン類は,地表に落ちてきたり川に落ちてきたりして土壌や水を汚染します。福岡市では毎年度,一般環境のダイオキシン類濃度を調査しています。
(調査結果についてはこちらをご参照ください)
ダイオキシンは人に対して発ガン性があります。また,動物実験において妊娠中のダイオキシン摂取が胎児に奇形を起こすこともわかっています。しかし,日本の通常の環境でのダイオキシン汚染レベルでは,ダイオキシン類によりガンになることも奇形を生じることもないと考えられています。
焼却炉でごみを燃焼させると,ガスが発生します。発生したガスは,この後に各種装置を通って無害化され工場外へ排出されますが,各種装置が耐えられるくらいまでガスの温度を下げなければなりません。工場では高温ガスを冷やすためにボイラを設置しています。ボイラでは,熱いガスを冷たい水の流れる配管に当ててガスを冷やしますが,このときに水はガスに温められて蒸気になります。この蒸気を,給湯や冷房に利用したり,タービン発電に利用して電気を起こして工場内や近隣の公共施設で使用したりします。さらに残った電気を電気事業者に売っています。