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更新日:2025年5月1日

生ごみ堆肥を活用した『コミュニティガーデン』の取組み紹介

コンポストで収穫した野菜

福岡市では、持続可能なまちづくりのための取組みとして、事業所から排出される「生ごみの堆肥化」を推進しており、また、生ごみ堆肥を活用した「コミュニティガーデン」をサポートしています。

 

生ごみ堆肥を活用した「コミュニティガーデン」に取組む、ホテルウイングインターナショナル セレクト博多駅前における取組みを取材してきました。

 

ホテルウイングインターナショナル セレクト博多駅前における取組み

ホテルウイングインターナショナル セレクト博多駅前(博多区博多駅前)

運営事業者:株式会社ミナシア

 

九州の玄関口、博多駅のそばにある「ホテルウイングインターナショナル セレクト博多駅前」。

ここでは、ホテルの生ごみを堆肥化し、その堆肥で野菜を育ててレストランで提供するという循環型の取り組みが行われています。

同ホテルの支配人の平野さんとレストラン店長の神﨑さんに、その思いと活動内容を伺いました。

インタビューの様子

 

 

-まず、コンポストに取り組もうと思ったきっかけを教えてください。

平野さん: 当社のマネージャーである橋本が個人的にコンポストをやっていまして、「コンポストでできた堆肥を農家で使ってもらい、できた野菜などをホテルで提供したい」という橋本の思いから始まりました。その前から当社ではSDGsなど環境への取り組みを行っていましたが、4年くらい前に「会社としてコンポストにも挑戦しよう」ということになりました。今では博多駅前店だけでなく、ほかの店舗でもコンポストに取り組んでいます。

種まきする様子

 

-コンポストをやってみて苦労された点はありますか。

神﨑さん:コンポストを置く場所ですね。雨が当たらず、風通しが良い場所。初めは厨房に置いていましたが、風通しが良くないため上手くいきませんでした。その後何度か場所を変え、今は屋外の屋根のある場所に置いています。コンポストの作業そのものはルーティーンになっているので、大変と感じることはあまりないですね。

 

-コンポストから、コミュニティガーデンへと発展した経緯を教えてください。

平野さん:ホテルのレストランで朝食を提供しており、毎日500g程度の生ごみをLFCコンポストというバッグ型のコンポストで堆肥にしています。以前からじゅんなま研さん(NPO法人循環生活研究所)と連携して堆肥の余剰分を活用し、市内の畑で育った野菜を定期的に納品してもらい、レストランで提供しています。しかし、それだけでは実感がなく、お客様にも取組みが伝わりにくい。そこで「自分たちでも野菜を育ててみよう」ということになりました。

野菜を育てる様子

 

-コミュニティガーデンではどんな野菜を育てていますか。

神﨑さん:レストランに面したウッドデッキが空いていたので、去年の10月に木枠のプランターを設置し堆肥を使って野菜を育て始めました。今は水菜や春菊、ルッコラ、小松菜など葉物野菜を中心に育てており、レストランのサラダなどで提供しています。あっという間に大きくなるので、何度も収穫しています。あとは人参のほかミントなどのハーブも育てています。

テラスに面するガーデン

 

-従業員の皆さんの反応はいかがですか。

平野さん:最初に設置して種植えをしたときは、ホテルの若いフロントスタッフたちも一緒にやりましたが、みんな楽しんで取り組んでくれました。プランターの色も自分たちで塗ったので、手づくり感があって愛着が湧いています(笑)。

日常的なガーデンの手入れや収穫は主にレストランのスタッフが行っていますが、ホテルのフロントスタッフも含めて、みんなで育てた野菜を食べてみたりもします。そうすることで、自分たちがやっているコンポストや育てた野菜がどのように使われているのかを実感できますし、お客様への説明にも、より説得力が増すと思うんです。

こういった会社としての環境への取組みを広げていくためには、社員の理解と共感が大切だと考えています。ホテルでの取組みのほかにも、スタッフと一緒に農園へ行って、堆肥を使った畑づくりや野菜づくりを体験する機会もつくっています。去年は暑くて大変でしたが、街中では絶対に体験できないことができるので、とても気持ちが良かったです。今年もまた行きたいですね。

作業風景

 

-お客様の反応はいかがですか。

神﨑さん:お客様から見える場所で野菜を育てているので、「このサラダ、ここで採れた野菜なんですか!?」と驚かれます。そこから、コンポストの話や食の循環の話へと会話が広がっていくこともあります。また、宿泊客だけでなく近所の方も興味を持って覗きに来られたりもします。

ガーデンで育てている野菜

 

-今後の展望について、何か考えていることはありますか。

平野さん:もっと多くの方に、この取り組みを知ってもらいたいと思っています。歩道に面した場所に大きなポスターを貼ったり、プランターに表示をつけたり。将来的には収穫体験のようなイベントもできたらいいなと思っています。

 

-ホテルでの取り組みが、食と農の循環を体験できる場になるのは魅力的ですね。

平野さん:他のエリアの店舗では、畑を借りて小学生などに堆肥を使った苗植えから収穫まで全部体験してもらい、育った野菜でホテルの料理人と一緒に料理をつくる、ということもやりました。お客様にとっても、普段食べているものがどうやって作られているのかを知っていただく良い機会になると思います。ホテル業界も人手不足なのでなかなか難しい面もありますが、いつかはここでもお子様や興味のある方に体験していただく機会をつくりたいと思っています。