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更新日: 2017年4月4日

福岡市東部工場建替事業の
環境影響評価準備書についての市長意見書



環保第号1174号
平成12年2月10日

都市計画決定権者 福岡市 様

福岡市長 山崎 広太郎
(環境局環境保全部環境調整課)

福岡市東部工場建替事業環境影響評価準備書についての意見書

平成11年9月30日に提出された福岡市東部工場建替事業環境影響評価準備書について,福岡市環境影響評価条例第19条の規定に基づき,別紙のとおり意見書を送付します。

意見書

1.総括事項

本意見書の作成に当たっては,条例に基づき作成された福岡市東部工場建替事業環境影響評価準備書に記載されている調査,予測,評価及び環境保全措置,並びに事後調査について,現時点で明らかになっている事業概要や環境情報等を参考とし,現地調査をも行うとともに,福岡市環境影響評価審査会の専門的な見地からの意見を聴いたうえで慎重な検討を行った。
検討の結果,準備書に記載されている調査,予測,評価及び環境保全措置,並びに事後調査については概ね妥当と認められるが,下記に記載する個別的事項については所要の措置を講じる必要がある。

 2.個別的事項

(1)水環境に関する事項

1)事業実施区域の廃棄物埋立地が工場の建設地の一部となることから,工場の建設に当たって,特に基礎工事に伴う浸出水による地下水などへの影響について,評価書に記載すること。

(2)動物,植物,生態系に関する事項

1)動物及び生態系に関する環境影響の評価に際しては,調査対象区域と事業実施区域の比較を行う手法が用いられることが多いが,取り上げられる生物種によっては,画一的な比較になじまないものがある。
準備書に記載された動物及び生態系に関する調査,予測及び評価の結論は概ね妥当なものと認められるが,評価書の記載に当たっては,評価対象とする生物種の特性に留意し,誤解を生じさせることがないよう配慮したものとすること。

2)事業実施区域はハンノキ群落を含む樹林やカスミサンショウウオが生育,生息する自然環境が残された地域であることから,改変される自然環境の復元に当たっては,学識経験者等の指導を受けながら,最適な方法の検討に努めること。
また,改変により減少する水量の確保については,土壌の保水力の維持を含め,最大限の配慮を行うこと。
その旨及び基本的な方針について,評価書に記載すること。

3)工事中に確認されたカスミサンショウウオの個体又は卵については,学識経験者等の指導を受けながら,代替の産卵池その他生息に最適な地域に移すこと。
また,ハンノキ群落の移植についても同様に検討を行うこと。
その旨及び基本的な方針について,評価書に記載すること。

4)施工計画の詳細を検討するに当たっては動植物の生息,生育に十分に配慮するように努め,工事中に新たに学術的価値の高い種又は個体が確認された場合,学識経験者等の指導を受けながら,これらの生息,生育環境に対する影響が最小限となるよう十分に配慮すること。
その旨,評価書に記載すること。

(3)事後調査に関する事項

1)復元する樹林地及びカスミサンショウウオの産卵池については,その機能の回復について確認するため,必要に応じ学識経験者等の指導を受けながら,具体的な事後調査計画を策定すること。
その旨,評価書に記載すること。

5.その他

1)今後の評価書の作成に当たっては,住民の十分な理解を得るよう努め,かつ事業の実施に当たっては,環境への配慮に関する努力を払い,信頼を得るよう努めること。

2)新工場完成後に現工場の解体を実施する場合は,必要に応じ学識経験者等の指導を受けながら,ダイオキシン類について周辺住民の不安を取り除くために,最大限の努力をすること。