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更新日: 2011年3月9日

周船寺川都市基盤河川改修事業の
環境影響評価準備書についての市長意見書



 

環境 第 917 号
平成15年7月30日

福岡市長 山崎 広太郎 様
(下水道局河川部河川計画課)

福岡市長 山崎 広太郎 
(環境局環境都市推進部環境調整課)

  

周船寺川都市基盤河川改修事業の環境影響評価準備書についての市長意見書

  

平成15年2月26日に提出された、周船寺川都市基盤河川改修事業環境影響評価準備書について、福岡市環境影響評価条例第19条の規定に基づき、下記のとおり環境の保全の見地からの意見を述べます。

  

  

 平成9年の改正河川法は、従来にもまして、河川管理にあたっての、環境配慮を求めているところである(河川法第1条、河川法施行令第10条第3項など参照)。今後の河川管理の事業にあたっては、この趣旨が尊重される必要があることは当然である。さらに、当事業は、15年の長期間にわたる事業であること及び事業実施区域は自然環境の残った閑静な環境での事業であることから、下記の点に留意して予測・評価を行い、評価書を作成するとともに、今後の事業計画、保全対策に反映させること。



  1. 全体 
    • アセスメントの前提は、5月から9月までの出水期を避け、原則10月~3月までとなってはいるが、河川に入らない工事で10月~3月以外に工事を行う可能性があるものについて、予測・評価を行い、保全対策を講じ、その結果を評価書に記載すること。
  2. 騒音 
    • 建設工事騒音は、日本音響学会「建設工事騒音の予測モデル」ASJ CN-Model 2002を用いて、工事の進捗状況に対応した、工種別並びに建設機械別に騒音予測を行い、保全対策に反映させること。また、評価書に記載すること。
    • 工事車両の予測・評価地点の選定理由が分かるよう想定される走行ルートを評価書に明記し、説明すること。
    • 道路交通騒音の面的評価については、予測条件(道路、沿道建物の立地など)を明記した上で、予測・評価すること。また、評価書に記載すること。
  3. 生物 
    • 鳥類の調査について、方法書で記載している「ポイントセンサス調査」と準備書で記載している「ルートセンサス調査」及び「任意観察調査」との関連について検討結果を評価書に記載すること。
    • 鳥類について既存資料で夜間生息している情報があるのであれば、同施工区間における工事着手までに確認調査を行い、その結果に応じて適切に保全対策を講じること。また、評価書に記載すること。
    • 工事の水生動物に及ぼす影響についての予測・評価では、水の濁りだけで、予測・評価が行われているが,工事中の一時的な生息域の消失に関して言及されていない。この点に関し、予測・評価を実施し、保全対策について言及すること。また、その結果を評価書に記載すること。
    • 工事が水生動物に及ぼす影響について、濁りに対して耐性があるので、影響がないとされているが、工事のないときの高濃度の継続期間と工事中の高濃度の継続期間は異なっていると考えられる。この点に関し、予測・評価を実施し、その結果を評価書に記載すること。
    • 爬虫類のイシガメは「冬季には冬眠しているので予測対象種に選定しない」とあるが,イシガメの冬眠に関する調査結果がなく、工事区間で冬眠中のイシガメを死亡させる可能性に言及されていない。冬眠中のイシガメに関する予測・評価を実施し、保全対策を検討すること、また、その結果を評価書に記載すること。
    • 生態系の上位種の評価については、種の保存という観点ではなく、生態系の上位にあるという点に重点を置いて予測・評価を行い、評価書に記載すること。
    • 塩湿地植生については、供給される土砂の質の観点からも、予測・評価を行い、その結果を評価書に記載すること。
    • 生態系の予測・評価にあたっては、堰の形式(可動式、固定式)や、単位時間当たりの排出水量の変化等による干潟への影響にも考慮して、予測・評価を行い、その結果を評価書に記載すること。
    • これらの予測の結果によっては、環境保全についてミティゲーションの手法の活用を検討することなど必要な措置を講じること。
  4. 保全対策について 
    • 法面に植裁工法を用いた箇所での橋の構造の検討にあたっては、橋梁下部で動物の移動が途切れないように配慮すること。
  5. 事後調査について 事後調査結果は、堰の統廃合の検討結果も踏まえ、後の工事ないし事業内容に確実に反映させ、想定外の状況についても確実に対応すること。また、評価書に記載すること。