環調第348号
令和4年9月9日
福岡市長 高島 宗一郎 様
(環境局施設部西部工場再整備担当)
福岡市長 高島 宗一郎
(環境局環境監理部環境調整課)
福岡市西部工場建替事業に係る環境影響評価方法書についての
環境の保全の見地からの意見について(送付)
令和4年5月2日に提出された、福岡市西部工場建替事業に係る環境影響評価方法書について、福岡市環境影響評価条例第10条第1項の規定に基づき、下記のとおり環境の保全の見地からの意見を述べます。
記
対象事業実施区域周辺は、北西から南には山林地域が拡がっており、北東から南東には主として住宅などの市街化区域が拡がる地域である。
本事業は、まず現西部工場(以下、「現工場」とする)を稼働させながら、西部資源化センターを解体・撤去し、その場所に新たなごみ焼却施設(以下、「新工場」とする)を令和13年度頃までに建設・稼働させる予定である。新工場の稼働後には現工場の解体工事が計画されており、これらの工事及び施設の稼働による複合的な影響が長期間継続するものと想定されている。
これらの地域特性及び事業特性を踏まえて、準備書の作成において、工事用ヤードの設置や現工場解体前の施設内洗浄、新工場の地下構造物の規模等、可能な限り工事計画及び施設計画の詳細を明らかにした上で、適切に調査・予測・評価を行うとともに、その結果を踏まえ、利用可能な最良の技術による環境対策手法や設備の導入を検討する等、実行可能な範囲で環境影響を低減できるよう環境保全措置の検討を行うことが重要である。
1.二酸化窒素、二酸化硫黄、浮遊粒子状物質、有害物質について
ごみ処理状況に応じた排ガス量の減少等に伴い、有効煙突高の低下による最大着地濃度地点等の変化が想定されることから、専門家の意見を聴いた上で適切に予測条件を設定すること。
2.粉じん等について
解体工事に伴う影響を懸念する住民意見が寄せられていることから、環境影響評価の結果を踏まえ、適切な環境保全措置の検討を行うこと。
施設の稼働に伴う影響を懸念する住民意見が寄せられていることから、悪臭の拡散の予測については、福岡市環境影響評価技術指針に基づき、煙突排出ガスと施設からの漏えいの影響、それぞれの特性に応じた適切な手法で予測・評価を行うこと。
対象事業実施区域周辺には池等が存在し、動植物・生態系に係る重要な種及び重要な群落等が生息・生育している可能性も考えられることから、工事の実施に伴う周辺の池等への影響について、適切に調査・予測・評価を行うとともに、必要に応じ、適切な環境保全措置及び事後調査の実施を検討すること。
文献調査によると対象事業実施区域の南側には、人と自然との触れ合いの活動の場として野鳥等の自然観察が出来る西区ふれあいの森が存在しているため、利用状況及び利用環境の状況について現地調査を行った上で、施設の存在に伴う影響について予測、評価を行うとされている。
本方法書では、建設工事の実施に伴う影響については環境影響評価の項目として選定されていないが、上記現地調査結果等を踏まえ、影響が想定される場合には、当該項目についても追加を検討すること。
福岡市地球温暖化対策実行計画を踏まえ、バイオマスを活用した発電の高効率化等の環境保全措置の検討を行うこと。
現工場解体等に伴い裸地が生じ、粉じんや濁水による周辺環境への影響が懸念されるため、必要な配慮をされたい。